ビジネスで重要なPoCとは何なのか。進め方や活用事例をまとめてみた | AIZINE(エーアイジン)
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ビジネスで重要なPoCとは何なのか。進め方や活用事例をまとめてみた

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新しく何かを始める際には、うまくいくかを事前に試しておきたいですよね。「PoC」と呼ばれるこの取り組みは、ビジネスの場面において重要な役割を担っています。

デロイトトーマツグループが発表した「AIガバナンスサーベイ」では「AI(人工知能)を活用している、もしくは活用に向けた取り組みを始めている」企業の47%がPoCを実施していると発表しました。

このようにAI(人工知能)活用企業の約半数がPoCを実施していることからも、新技術の事前検証がいかに重要かが伝わってきますし、IoTやAI(人工知能)の活用が推進される中、PoCの必要性はどんどん増しているのでしょう。

そこで今回はPoCについてやなぜPoCは重要なのか、またPoCの進め方やPoCを活用している主な業界、活用した事例などをお伝えします。

PoCとは

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PoCとは新しい技術やプロジェクトが実現可能か、どの程度の効果や効能を得られるか、などを検証する工程のこと。
「Proof of Concept」の頭文字をとった言葉で、「ポック」もしくは「ピーオーシー」と読みます。日本語では「概念実証」といい、「実証実験」と同じ意味でよく用いられます。

このことからPoCは簡易的な製品やシステムの使用により、具体的な結果に基づいた判断を可能にするものです。

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なぜPoCは重要なのか

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PoCの重要性はどのような理由からもたらされるのでしょうか。ここではPoCが重要な理由を3つ説明しましょう。

必要なコストを事前に把握できるため

新しい製品やプロジェクトの開発には、コストがどれだけ発生するのかを把握する必要があります。費用面はもちろん、時間や労働力なども考慮しなければなりません。

しかし事前にコストを算出せず製品化に踏み切ってしまうと、費用が思いのほか膨らんでしまったり、生産工数が多く完成に時間がかかったり、といった問題が発生するおそれも。

しかしPoCでは製品を試作するので、開発に必要なコストを把握しやすくなるのです。

実現可能かを判断するため

PoCは新しいアイディアや手法などを実現できるか判断するためにも用いられます。

どれだけ理論上で優れたアイディアであっても、製品やプロジェクトへの落とし込みが困難なケースもありますよね。しかし企業が投下できるリソースには限りがあるため、実現できる可能性が低いものに対して資金や労力を費やすわけにはいきません。
そこでPoCを活用すればアイディアを可視化できるので、実用化が可能かを判断したり、実現が難しい場合は別の方法を試したりすることが可能です。

開発リスクを想定できるため

製品やシステムの開発には、リスクがつきものです。開発する過程でトラブルが発生したり、完成後であっても安全性や使用感に問題が生じたりする可能性は常につきまといます。

PoCでは開発工程にリスク要因がないかを精査できるほか、完成物をユーザーや関係者に使用してもらうことで、製品やシステムを評価してもらうことも可能です。

PoCの進め方

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それではここからはPoCの進め方を解説します。自社でPoCを実践する際の参考にしてみてください。

目的やゴールを設定する

まずはPoCの目的やゴールを設定します。

どのような目的でおこなうのかが明確でなければ、実証に対する意欲が下がってしまい、有用な結果を得られないかもしれませんよね。
有意義な検証をおこなうためにも、目的やゴールを最初にはっきりさせておきましょう。

検証内容を決める

目的の次に必要なのが具体的な検証内容です。そこで検証に必要な方法や期間などを決めていきます。

検証内容も目的と同様、明確にしておくことで実用性の高いデータを得られやすくなります。PoCに携わるメンバーとよく話し合い、検証内容を可能な限り具体化しましょう。

PoCを実行し、得られた結果を評価する

目的と検証内容が決まったら、いよいよPoCの実行に移ります。試作品を製作し、使用してもらうことでフィードバックを受けましょう。

PoCにおいては実証だけでなく、得られた結果の評価も重要です。客観的なデータや使用者のリアルな声を基に、実用性、想定されるリスク、費用などを厳しくチェックします。

結果によっては新たに検証が必要になることもあるので、次に生かせるように課題点を洗い出しておきましょう。

PoCを活用している主な業界

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今度はPoCを活用している業界についてお話しましょう。もちろんPoCは多くの業界で利用されています。PoCを活用している主な業界は以下のとおりです。

医薬品業界

衣料品業界では新薬の開発のためにPoCが用いられます。具体的には動物や人間に新薬用の物質を投与し、有用性や効果を確かめることをPoCの定義としています。
新しい薬は人体への影響が未知数なため、徹底的な検証が必要ですよね。また開発期間や予算の把握にも活用されているのです。

IT業界

IT業界ではシステムの導入やセキュリティ体制の構築などでPoCが実施されます。

例えば企業の導入環境に即したプロトタイプを製作し実際の現場で使用することで、実用性や安定性を検証。

組織全体での大規模なシステム導入には、多くの時間や費用が必要です。実際の現場で試験的に検証することにより、想定外のトラブルを未然に防ぐことを目的としています。

映画業界

映画の制作にもPoCは欠かせません。

長編映画でも再現可能かを判断するために、新しいCG技術を用いた短い映像の制作が必要です。また制作費を獲得するためにもPoCは重要な役割を担います。
考案したストーリーを反映した短編作品を制作することで、関係者からの投資を募ることも。

PoCを活用した事例

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それではここからはPoC及び実証実験の活用事例を5つご紹介します。

埼玉県川口市の事例

川口市は2020年に自動運転バスの実用化に向けた実証実験をおこないました。検証されたのは地震が起こった際に車両を停止させるシステムなどです。

実証実験は2月25日から28日の4日間にわたり、往復3.4キロの距離を走行し、また併せて利用者の呼び出しによる自動走行の検証も実施。
この取り組みによって減災はもちろん、バス利用者の利便性向上の実現に近づきました。

埼玉県内における保育園の事例

埼玉県は、川口市・戸田市の保育園10ヵ所を対象に「スマート保育園」の実証実験をおこないました。スマート保育園とは、IoT及びAI(人工知能)の利用によって、労働及び保育環境が改善された保育園のことです。

検証では「ベビーテック」と呼ばれる子育て支援ツールを無償で導入し、データの収集・分析によって課題を洗い出しました。
埼玉県は今回の検証結果を活用することで、保育士の負担軽減や保育の安全性確保を目指しています。

東芝テックの事例

東芝テック株式会社は、コンビニなどの無人化経営に関わるPoCを実施しました。検証には「オーバルコート大崎マークイースト事業所内売店」を利用し、東芝テックの社員を対象としています。

スマートフォンやタブレットによるセルフレジなどを活用することで店舗を無人化し、運営が成り立つかを検証しました。
東芝テックは今回の検証で得られた結果を、人手不足の解決や店舗利用者にとって快適な環境づくりに役立てるとしています。

関西エアポートの事例

関西エアポート株式会社は、ゴミ回収作業に関する実証実験を試みました。

関西国際空港内のゴミ箱にセンサーを取り付け、ゴミ箱の状態をリアルタイムに把握。無駄な動きを省き少人数での回収が可能になるので、ゴミ回収の効率化が期待できます。

関西エアポートは今回の検証結果を受け、従業員の負担軽減や快適な職場づくりのために、IoT技術や最新テクノロジーを積極的に取り入れる意欲を示しています。

ピクサーの事例

「トイ・ストーリー」などで知られる映像制作会社ピクサーは、新しい技術導入のために検証用の短編フィルムを制作しています。

これは新技術がどのように利用されているのかを確認し、関係者の反応をみるために必要なこと。

例えば1999年公開の「トイ・ストーリー2」では、事前にPoCを実施した質感や表情をリアルに表現するアニメーションが採用されています。

PoCを実施する場合での注意点

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PoCを実施する際には、以下の点に注意しましょう。

PoCの実施を最終的な目標にしない

PoCの実施目的は、製品やプロジェクト、アイディアの実現性を判断することです。

しかしPoCの実行を何度も繰り返していると、当初の目的やゴールを見失うケースが多くみられます。曖昧な目的の元でおこなわれる検証では、有用な結果の獲得や課題の抽出は期待できないでしょう。
PoCは実用化のための手段にすぎません。手段が目的化しないように、今回の検証はどういった理由で実施されているのかを常に振り返りましょう。

大きな規模で始めない

PoCで用いる試作品は、小さくすることをおすすめします。小さくするというのは、機能を必要最低限に抑える、大がかりなシステム導入を控える、という意味です。

検証が大規模になってしまうと費用や時間がかかってしまい、検証結果の評価や実用化へスムーズに移れません。

PoCは小さく始めて、徐々に規模を大きくしながら、検証を繰り返すことが大切です。

 

社員のイメージ

今回はPoCについての説明、なぜPoCは重要なのか、PoCの進め方、PoCを活用している主な業界、PoCを活用した事例、PoCを実施する場合での注意点についてお伝えしました。

PoCは新技術の導入によってビジネスの方向性を決定づけるものです。プロジェクトの成功を左右する取り組みといっても過言ではないでしょう。

しかし検証が困難な場合がある、目標設定が不足している、などの理由で検証への意欲が低下する「PoC疲れ」に陥ることがあります。PoC疲れは、検証に関わる関係者との連携が足りていないときによく起こります。

検証をスムーズに実施するためにも、関係者と積極的に意思疎通を図り、目的の共有を心がけましょう。今回の情報を参考に、ぜひPoCの実施を検討してみてください。

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