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AIを使った発注システムで需要を予測!在庫管理を自動で行う仕組みとは

需要予測のイメージ

煩雑な発注業務にAI(人工知能)を活用することで、業務の効率化を図りたいですよね。

株式会社MM総研が実施した「企業の人工知能(AI)導入実態調査(2018年9月)」によると、「最も利用している」もしくは「活用を検討している」人工知能(AI)サービスは、需要予測などのデータ分析サービスであることが分かっています。

この調査は数年前のものですが、昨今のAI(人工知能)サービスの盛り上がりによって、注目度はさらに高まっていますよね。自社でも需要予測のために、AI(人工知能)を使った発注システムの導入を検討している、という担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、具体的にどのようなメリットがあるのか分からず、導入に踏み切れないということも。

そこで今回は、AI(人工知能)を使った発注システムでできることや利用するメリット、活用事例などをお伝えします。

発注作業での問題点

在庫のイメージ

本題に入る前に、発注作業における問題点を明らかにしておきましょう。問題点としては、以下の3つが挙げられます。

業務フローが複雑になる

発注作業では、商品の仕入れや在庫の確認、伝票への転記など、膨大な量のタスクをこなさなければなりませんよね。しかし扱う商品の量が多くなればなるほど、業務フローは複雑になり、効率性の低下や生産性の悪化といった問題が発生するでしょう。

また複雑化した業務フローにシステムを用いないと、それぞれの担当者が適切と判断したやり方で進めてしまう可能性があり、業務の属人化が生じる懸念もあります。

商品の販売機会を失う

また発注作業を全て人の手で進めようとすると、他の業務に人員を割けなくなってしまいます。

それぞれの業務に適切なリソースを投下できない場合に問題となるのが、販売機会の損失。時間や人材などが不足してしまうため、販促活動にまで手が回らなくなってしまうのです。

適切なタイミングで商品を売り出せなければ、利益の拡大は難しいでしょう。

納品に時間がかかる

発注作業がスムーズに進まないと、在庫管理や経理など他部署との連携がとれず、納品に至るまでの工程に遅れが生じてしまいます。

納品は迅速かつ正確におこなわなければなりません。

例えば、商品在庫が不足していて、指定された日付に納品できないとなれば、顧客からの信用を失うことになってしまうでしょう。

AI(人工知能)を使った発注システムとは

システムのイメージ

そこで従来の発注システムにAI(人工知能)機能を加えることで発注に関わる作業を自動化することが可能です。

すると人間を介さずに業務を進められるようになり、人為的ミスの削減や作業時間の短縮など、業務効率化に役立ちます。また、精度が高く正確な需要予測が可能となり、在庫数や発注業務の適正化を実現。

AI(人工知能)を使った発注システムは具体的に何ができるの?

それではこの発注システムは具体的に何ができるのかお話しましょう。AI(人工知能)を使った発注システムでできることの具体例としては、以下の3つが挙げられます。

発注数の制御

出荷数や出荷頻度などの実績から商品をランク付けし、在庫保有日数に応じて発注数を制御。また、在庫数が少なくなってきた商品に対しては、発注勧告をおこないます。

発注状況の分析

過去の在庫数や出荷実績に基づき、発注状況を分析。シミュレーションをおこなうことで、適切な発注数と実際の発注数が異なっていないか確認できます。

分析結果は表で確認できるので、シミュレーションごとの比較も簡単です。

季節ごとの出荷変動を可視化

同じ時期に出荷されている商品の傾向をAI(人工知能)が判断し、まとめてグループ化。それぞれの季節に応じた出荷量の変動を「見える化」することで、発注量の増減時期を捉えやすくなります。

発注時期を事前に把握しておくことで、発注漏れなどのミスを削減可能です。

AI(人工知能)を使った発注システムのメリット

メリットのイメージ

ここまではAI(人工知能)を使った発注システムができることについてお話しました。そこでどのようなメリットがあるのか気になりますよね。

AI(人工知能)を使った発注システムの利用には、以下のようなメリットがあります。

発注数が適正化される

現場によっては、一人の従業員の勘や経験に頼って、発注数を決めるケースが存在します。曖昧な情報に基づく発注では商品数を制御できず、在庫管理が難しくなってしまうのです。

AI(人工知能)を使った発注システムでは、精度の高い需要予測を利用できるので、適切な量での発注が可能。在庫管理にかかっていた負担の軽減や、在庫数の適正化も期待できます。

業務を標準化できる

発注業務が属人化していると、担当者によって進め方が異なるため、作業効率が低下してしまいます。

しかしAI(人工知能)を使った発注システムを適用することでシステムに基づいた作業フローに変更できます。こうして業務が標準化することができるのです。
作業がそれぞれの担当者に依存しなくなるので手順の確認にかかっていた時間が短くなり、業務効率も向上するでしょう。

食品ロスや欠品を軽減できる

またAI(人工知能)を活用することで、スーパーマーケットやコンビニなどで問題となりやすい、食品のロスや欠品に対応可能。食品の納品時間やリードタイムはもちろん、気温や天気など、あらゆる要素を考慮し、最適な発注量を判断します。

すると発注に無駄がなくなるので、機会や廃棄ロスの軽減につながります。

AI(人工知能)を使った発注システムの活用事例5つ

企業のイメージ

それではここからは、AI(人工知能)を使った発注システムの活用事例を5つご紹介します。実際の事例を確認することで、自社で導入したときのイメージをつかんでおきましょう。

発注業務の効率化・ロス削減を実現したリオン・ドール

株式会社リオン・ドールコーポレーションは、NECが開発したAI(人工知能)需要予測システム「DCMSTORE-DF」と、需要予測型自動発注システム「DCMSTORE-EOB」を導入し、3か月間のシミュレーションを実施しました。
その結果、商品の欠品日数が6.5%改善、食品ロス金額が25~40%削減されたのです。

そして今回の結果を元に、NECのシステムを各店舗に順次展開していく予定。

発注作業時間の削減に成功したライフコーポレーション

株式会社ライフコーポレーションが展開する、スーパーマーケット「ライフ」には、発注作業に時間がかかる、という課題がありました。販売期間が短い日配品を対象とした自動発注システムがなかったため、多大な時間をかけて発注数を算出していたのです。
そこで、AI(人工知能)による発注自動化サービス「AI-Order Foresight」を導入したところ、発注業務を年間15万時間削減できました。規模の異なるライフ4店舗においても、同様の削減効果が確認されています。

ライフコーポレーションは、「AI-Order Foresight」を全店舗に導入し、発注作業時間のさらなる削減を目標に掲げています。

日立が開発したシステムを導入し、発注作業を自動化した西友

全国に展開している大手スーパーマーケットチェーン西友は、2019年10月から、日立製作所が開発した「Hitachi Digital Solution for Retail/AI需要予測型自動発注サービス」を導入しています。

従来は、担当者が商品ごとに発注していました。しかしシステム導入後はAI(人工知能)が需要を予測し、発注作業を進めています。

発注業務が人の手を離れ自動化されることで、店舗業務に適切な数の人員を割り振れたり、欠品や食品ロスが削減されたり、といった効果がありました。

在庫数を削減し、発注業務量を半減できた伊藤忠商事

伊藤忠商事株式会社は、グループ会社である日本アクセスと連携し、AI(人工知能)による需要予測及び発注最適化ソリューションを導入。
実証実験の結果、在庫は10~30%減り、発注に関わる作業量が半減したことで、業務効率化も実現しています。

まず飲料や菓子など約1,000点の商品に対しシステムを適用し、徐々に対象を拡大していく予定です。いずれは取引先の物流業務の効率化や、小売業における食品ロス削減が可能なサービスの提供を目指すとしています。

省人型店舗に自動発注システムを導入したセブン&アイ・ホールディングス

そして最後にご紹介するのは株式会社セブン&アイ・ホールディングスです。

セブン&アイ・ホールディングスはNECが開発したAI(人工知能)による発注支援システムを、省人型店舗である「セブン-イレブン三田国際ビル店20F店」に導入しました。
事前にイトーヨーカ堂でおこなった実証実験では、発注時間の35%削減、欠品率の27%改善を達成。

店舗業務の削減をテーマに、発注時間を減らしたり、作業を軽減したりすることで、売上の拡大やコスト削減を目指します。

AIを使った発注システムを利用する上で気をつけておくべきこと

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それでは最後にAIを使った発注システムを利用する上で気をつけておくべきことについてお話しします。AI(人工知能)を使った発注システムを利用する際には、以下の3点に気をつけましょう。

精度を過信しない

AI(人工知能)による発注システムでは、高精度な需要予測が期待できますが、その精度は100%ではありません。大変便利な機能ではありますが、頼りすぎないようにしましょう。

システムはあくまでも業務をサポートするものと考え、最終的な発注は人間の手でおこなうなど、使い分けて利用することをおすすめします。

業務内容に適しているか検討する

また、導入したい発注システムが自社の業務に適用できるか検討しましょう。
業務フローや業種・業界によって、必要な機能は大きく異なります。どれだけ優れたシステムであっても、業務内容に適していなければ使いこなせず、導入効果を得られません。

自社の業種で導入実績があるか、利用する前に確認しておきましょう。

実証実験をおこなう

そして、発注システムを試験的に導入し実証実験をおこないましょう。
本格的な導入の前にシステムを試せれば、既存システムとの連携がスムーズか、作業手順を変える必要があるかなど、業務への影響を確認できます。また検討しているシステムを実際に使ってみることで、従業員の理解も得やすくなることも。

導入後のシステム浸透を促すためにも、使用感をテストできる発注システムを選んでみましょう。

 

需要予測のイメージ

今回は、AI(人工知能)を使った発注システムでできることや利用するメリット、活用事例などについてお伝えしました。

発注業務にAI(人工知能)を活用することで、業務の標準化や効率化が実現します。また、商品の販売機会を確保できたり、迅速かつ正確に納品できたり、企業の経営活動にも良い影響を及ぼします。しかし、発注システムは決して完璧なわけではありません。

精度を過信してシステム任せにしたり、業務内容に合っていないものを導入したりしては、適切な効果は得られないでしょう。可能であれば試験的に導入できるシステムを選び、事前に実証実験をおこなって、機能を確かめることをおすすめします。

今回の情報を参考に、ぜひAI(人工知能)を使った発注システムを利用してみましょう。

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