近年、さまざまな技術が高度に進化し、私たちの生活の質は向上しています。自動車や電化製品、スマホなどを当たり前のように使っている私たちですが、それらがどのような仕組みで動いているのか、考えたこともない人のほうが多いですよね。
人工知能(AI)とは何かを知っておくと、今後どのようなものに人工知能(AI)が活用されていくのか予測することができます。そこで今回は人工知能(AI)とは何か、初歩的なところからお伝えしていきましょう。これから先の未来が待ち遠しくて、きっとワクワクしてしまうに違いありません!
人工知能とは簡単に言うと「人間の知能を模造したシステム」
人工知能(AI)の定義は専門家の間でも異なっているのですが、一般的には以下のように説明されています。
人工知能とは、人間の知識や知能をコンピューターで再現したもの
つまり人間が持っている知識や知恵、あるいは認識力といった能力を、コンピューターに持たせようというのが人工知能(AI)。コンピューターがあらゆる知識を身につけ、それをもとにコンピューターが自分で判断します。
さらに人工知能(AI)は、段階によっていくつかに分類されます。
- 特化型人工知能
- 汎用型人工知能
- 強い人工知能
特化型人工知能とは、文字通り特定の分野に特化した能力を持つ人工知能(AI)のこと。たとえば自動運転車に搭載される人工知能(AI)は、周囲の自動車や障害物を感知し、状況に応じて最も安全な走行ができるようになっています。
それに対して汎用型人工知能とは、人間のようにあらゆる状況に対応できるようになった人工知能(AI)。先ほどのように「僕に合った服を探してくれ」と言われたら、瞬時にデータを参照して最適な服を見つけてくれます。
では強い人工知能(AI)とはどういうものかというと、それは人間と同じような自意識や感情を持っている人工知能(AI)のこと。まさに「ドラえもん」の世界ですよね。もちろん、まだこのような人工知能(AI)は登場していませんし、汎用型人工知能(AI)もまだ研究段階で実用化には至っていません。
そもそも人工知能とはどうやってできたのか
人工知能とは、つい最近になってクローズアップされたように見えがちですが、実はもう50年以上も前から研究されている分野です。
- 第1次人工知能(AI)ブーム(1950~1960年代)
- 第2次人工知能(AI)ブーム(1980年代)
- 第3次人工知能(AI)ブーム(2000年代~)
日本でいえば戦後の復興が進みつつあった頃である1950年代には、すでに人工知能(AI)という概念が誕生していました。コンピューターの計算能力を利用して、さまざまな問題を解かせることができるのでは、というものです。
しかしこの時はコンピューターの性能があまり高いものではなく、また唐突に複雑な問題を出されてもコンピューターが対応できないという問題もあり、間もなく人工知能(AI)ブームは沈静化していきました。
1980年代になると、コンピューターにデータを蓄積させて、必要な時に瞬時にデータを活用できるようにするという技術が生まれました。いわゆる機械学習の初期段階というわけです。
しかしこの頃のコンピューターでも、以前よりは高度になったとはいえ処理速度も記憶容量も現在とは比べ物にならないほど低いものでした。データが大量になると処理速度が遅くなり、またデータが多すぎて入りきらないという問題も。
しかし2000年代に入ってコンピューターの能力が飛躍的に上昇すると、再び人工知能(AI)の研究が活発になりました。さらにディープラーニングという新しい技術も生まれ、人工知能(AI)は実用段階にまで発展していったのです。
今使われている人工知能とは? 機械学習やディープラーニング
人工知能とはどのようなものかを調べようとすると、必ずといっていいほど出てくるのが「機械学習」や「ディープラーニング」というワードですよね。なんとなくイメージすることはできそうですが、実際にはどのようなことをしているのかというと、次のような内容です。
- 機械学習はコンピューターにデータを与えて、コンピューターが正解を導き出したり、関連性や類似性を見つけ出したりさせること
- ディープラーニングは機械学習のひとつで、人間の脳を模したシステム(ニューラルネットワーク)を使うことで、これまでは扱えなかった複雑なデータを蓄積させることができるようにしたもの。
人工知能(AI)は機械学習をすることでさまざまなことができるようになりますが、ディープラーニングという技術が生まれたことで、さらにその能力が高くなったと考えておけばいいでしょう。
スパムメールの判別やクレジットカードの不正を検知するなど、ディープラーニングを使わなくても人工知能(AI)はさまざまなことができます。しかしディープラーニングを使うことで、以下のようなことが可能となりました。
- 画像認識
- 音声認識
- 言語認識
- 異常検知
これらの機能を使えるようになったことで、人工知能(AI)は飛躍的に進化しています。そしてその一部は、すでに私たちの身近なところにも活用されているのです。
身近にある人工知能とはどんなもの?
私たちが普段、なにげなく使っているものにも人工知能(AI)が搭載されているものが増えてきました。言われないとなかなか気づきにくいかもしれませんが、身近なところに使われている人工知能とは、おもに下記のようなものです。
- 画像認識を使ったもの……センサー、顔認証システムなど
- 音声認識を使ったもの……SiriやGoogleアシスタントなど
- 言語認識を使ったもの……自動翻訳やコールセンター
- 異常検知を使ったもの……自動運転車
これはどういうことなのかというと、ディープラーニングによって、写真や動画内の人物や物体の特徴を読み取ることができます。これによってセンサーの精度が向上し、また強固なパスワードとして機能する顔認証システムもいたるところで利用されています。
また最近はもっと複雑な、たとえばなまりの含まれる話し言葉、殴り書きされた読み取りづらい書き言葉なども、人工知能(AI)は認識できることができるようになりました。人工知能(AI)を使ったコールセンターでは、ちょっと聞きとりづらい言葉でもきちんと対応できます。
自動運転車では、ただセンサーで状況を観察するだけでなく、瞬時に異常を検知する能力も求められます。たとえば前の車が急ブレーキを踏んだ、突然歩行者が飛び出してきたといった危険な状況を瞬時に判断し、最善の行動を取れないと安心して自動運転車に乗れませんよね。
人工知能の未来はどうなるのか
人工知能(AI)の技術は今後、遺伝子学やナノテクノロジー、ロボット工学と組み合わさることで、さらにいろいろなことができるようになると予想されています。例えばこのような形です。
- 人工知能(AI)搭載ロボット
- 人間の体に超小型コンピューターを移植
これまでは映画の世界での産物だった、人間そっくりな人工知能(AI)搭載ロボットが現実のものになるかもしれません。家事をすべて行ってくれたり、話し相手になってくれたり、さらには人生のパートナーになってくれるようなロボットが誕生したら楽しそうですよね。
また、人工知能(AI)を人間の体に移植することも可能となるでしょう。AI(人工知能)を通じて常に健康な状態になるよう自動で管理してくれたり、身体能力が大幅に向上するといったことが期待できます。さらに人工知能(AI)を脳に移植すれば、これまでの人間の能力をはるかに超えた新しい人類が誕生する、なんてことも。
人工知能(AI)の権威とも言われているレイ・カーツワイル氏は、2045年に人工知能(AI)の知能が人間の知能を超えると予想しており、さらにその時期が早まるとしています。
※詳しくはこちら
私たちの社会を人工知能(AI)がガラッと変えてしまうのも、もうすぐ先のことなのかもしれません。
さて、人工知能とは何か、初歩的なところからお伝えしてきました。
- 人工知能とは、人間の知識や知能をコンピューターで再現しようとしたもので、現在はまだ特定の機能に限定された「特化型人工知能(AI)」までしか実用化されていない
- 人工知能(AI)は1950年頃からすでに研究が始まっており、コンピューターの性能向上にともなって人工知能(AI)の研究も一気に進んだ
- ディープラーニングという技術が生まれて以降、画像や音声の認識などもできるよになった
- 身近にある人工知能(AI)の例として「顔認証システム」「音声アシスタント」「自動運転車」などがあげられる
- 今後は人工知能(AI)搭載ロボットや、人間の体に人工知能(AI)を移植することができるようになり、また人工知能(AI)の知能が人間を追い越すとも予想されている
人工知能(AI)の仕組みはとても複雑で難しいですが、今回お伝えしたくらいのザックリとした内容だけでも理解しておきましょう。
すでに人工知能(AI)は生活の身近な所で活用されていますが、今後さらに様々な分野で利用されることが予想されています。人工知能(AI)とは何かを知ることで、人工知能(AI)の進化が楽しみになりますし、また人工知能(AI)をより有効に使いこなすことができるようになるに違いありません!