あー日本人で良かったー!日本ってサイコー!と思うことの一つに、日本がコンビニ大国ってことがありますよね。夜中に突然アイスやポテトチップスが食べたくなっても、ちょっと出かければそれが手に入る便利さときたら…!コンビニ考えた人ってマジで神としか思えません。
そんな超絶便利なコンビニなんですが、今こうしている間にもすごい進化を遂げています!実はここ数年、世界各地にかなりな勢いで無人コンビニが増殖中なのです。無人コンビニと聞くと、人がいない未来的なアレね…と、どことなく殺風景な店内を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、イメージ通りの店もあればそれ以外にも様々なタイプの店があります。
例えば手のひらをかざして入る店や、移動型になっていてスマホで呼べる店なんてのも!でも人がいなかったらお金を払う方法も謎だらけですし、防犯的に大丈夫なの?ってことも気になりますよね。そこで今回は、近所にいきなり無人コンビニができた時に戸惑わないように、世界の無人コンビニ情報をお届けします。
アメリカと中国の無人コンビニは超進化系!
世界で無人コンビニ界をリードしているのは、残念ながら日本ではなくアメリカと中国なんです。アメリカ > 中国 >>>> 日本 って感じで、日本はこの二カ国に水をあけられてしまっています。そこで、まずはこの二カ国の無人コンビニから見ていきましょう。
桁違いな未来レベル「Amazon Go」(アメリカ)
まずは現時点で間違いなく世界最高のシステムであろう、Amazon Go(アマゾン・ゴー)の動画をご覧ください。
んん?何が起こってるのがよくわからずに二度見してしまいますよね。これを軽く解説すると、
- スマホをかざしてゲートを通る
- 商品を持ってそのまま店を出る
ってことです。ええーっ!?どうやって決済してんのー!?レジないじゃん!世の中どーなってんの?って狐につままれた気分になりそうです。
それではこの不思議現象の仕組みを、準備から決済までザックリ解説していきます。
準備
- Amazon.com(アメリカのAmazon)のアカウントを作成する
- Amazon Goアプリ内でQRコードを表示する
店内へ
- 表示したQRコードをAmazon Goのゲートにかざす
- 店内の商品を手に取る
あなたがどの商品を取ったか認識する
- ゲートを通過する
店外へ
- 決済レシートがスマホに届く
つまりAmazon Goの店内では人間がジーッと見ているよりもはるかに正確に、多数のセンサーとカメラを使って人工知能があなたの行動をガン見しているってことなんです。
一度買おうと思ったものを棚に戻しても大丈夫。人工知能はあなたの行動を見逃さず「あ、やっぱ買うのやめるのね~」と判断してくれます。そしてゲートを通って店外へ出ると、前もって登録したクレジットカードから持ち出した商品の代金が自動的に引き落とされるって仕組みです。
「レジで支払う」という概念をぶち壊したこの画期的なシステムには、最新のテクノロジーが詰め込まれています。そのため出店するためのコストは、大変高額(1号店はハードウェアだけで100万ドル以上=約1億以上)ですが、普及して改良されるとともに削減されていくでしょう。
そしてAmazonは、この「Amazon Go」を2021年までになんと3,000店も出店すると計画しています!(by Bloombergの独自レポート)
Amazon Goで売られている商品の値段は高くも安くもないので、日本に上陸して近くにできたら絶対行かなきゃな感じです。そして一度レジなし体験をしてしまったら、レジありのフツーのお店に行くのが「面倒くさっ」となるのは確実でしょうw
ガチ無人&移動式「BingoBox」(中国)
お次は中国のコンテナ型移動式コンビニ「BingoBox(ビンゴボックス)」で、こちらは本当に無人です。中国の無人コンビニは乱立していて、各社が激しい競争を繰り広げています。
入る時にはスマホをかざしてQRコードを読み取らせて(個人認証)、ドアロックを解除して入店します。店に入るとドアは再びロックされ、客は店内カメラやセンサーで徹底的に監視されます。買うものが決まったらレジでスマホを使ってお金を払い、(ドアロックが解除され)客は店外へ出るという仕組みです。
もし未精算のものを持って店外へ出たら、入店で使ったアカウントに警告メールが届いて次の2つから選択を迫られます。
- 商品代金を支払う?
- 警察へ連絡する?
ここで「②警察へ連絡する」を選ぶ人間はこの世に存在するのでしょうか!?…さすがは中国!ふんわりした曖昧な表現なんて使いませんw
BingoBoxは中国で500店以上ある無人コンビニで、移動式で駐車場などのちょっとした空スペースにも設置できるのでどんどん増えています。しかしガラス張りとはいえロックがかかるという「閉じ込められ感」は、なんとなく怖いと感じてしまうかもしれません。もしシステムの不調で店から出られなくなってしまったらと考えると…。
このBingoBoxは急速に作りすぎたせいか人気がなくなって閉店している店も出てきているので、今後どういった形で改良が進むのか気になるところです。そんな中、BingoBoxはコンビニ激戦区の日本へ進出するとの計画を発表しました。それも北海道を中心として1,000店も!!
未来すぎて怖い「Take Go」(中国)
今度は、中国の無人コンビニ進化系「Take Go(テイク・ゴー)」を見てみましょう。
Take Goは、手のひら(の静脈認証)で入るタイプの無人コンビニです。入店も決済も手のひらをかざすだけだから、スマホを持ち歩く必要すらないのです。こちらはまだ実験段階なのですが、動画を見ると人工知能(AI)が客の質問に答えるシーンがあるので今ある無人コンビニよりさらに進化した店になりそうです。
このTake Goは、最初にスマホのアプリに手のひら、電話番号、プリペイドチャージ式のアリペイ口座などを登録して使う仕組みです。実用化されればスマホが必要なAmazon Goよりお手軽になりそうですよね。
個人情報ガン無視かよーっ!!
レジ省力化が主流、日本のコンビニ
ここからはいよいよ日本の無人コンビニを見ていきましょう!…とは言うものの、日本ではまだ実験段階の店舗がほとんどなので、全国展開されるのは数年先の話かもしれません。
ローソンは、色々なシステム導入でやる気満々
ローソンは積極的に「無人コンビニ」に取り組んでいて、レジ不要の新システムは2019年10月から1,000店舗に導入する予定です。
セルフ決済システムが導入された店では、客はローソンのアプリ(ローソンスマホペイ)を使い、スマホで商品のバーコードを読んで、支払いを済ませることができます。
ローソンアプリでその場決済も良さげですが、個人的には「レジロボ」という新しいシステムが待ち遠しい!(このシステムはパナソニックと共同開発)
このように「レジロボ」は、専用の買い物かごが商品のバーコードを読み取って会計、さらにレジでは自動で袋詰めまでしてくれるんです!ドサッと商品が落ちない秘密は、あらかじめレジ袋が買い物かごの底に仕込んであって、買い物かごの底が抜けてもふわ~と支えてくれているから。
それからローソンでは、深夜(0~5時)だけ無人店舗にする実験も、スタートしました。半年間の実験なのですが、入店にはQRコードか顔認証が必要で、セルフレジで決済するシステムです。
ファミリーマートは、画像認証システムがすごい
ファミリーマートは顔認証や画像認証システムを使った実験店舗をオープンしました(パナソニックと共同開発)。今のところは関係者だけの限定利用ですが、店長がパナソニックから副店長がファミリーマートから派遣されているというところに本気度が見てとれます。
顔認証で入店して、レジはセルフで画像認証で素早くできるところが大きな特徴でしょうか。顔認証はわずらわしい反面、犯罪目的の人が利用しにくいという安心感があるので、自分の好みに応じてコンビニを使い分けるのもいいかもしれません。
セブンイレブンは、無人化には消極的だが海外店舗はすごい
セブンイレブンは「無人コンビニは実用的でない」という方針で、あくまでも省人化の道を進むということなのですが、NECと協力してNECの社員向けに省人型コンビニをオープンしました。
特徴としては、顔認証(または社員証をかざす)、セルフレジでは画像認証で一括読み取り、決済は給与天引き。
韓国のセブンイレブン (韓国語、日本語字幕つき)
台湾のセブンイレブン (中国語、日本語字幕なし)
コンビニじゃなくてもOK、小売店向けシステム
日本の各コンビニの状況を見てきましたが、残念ながら「Amazon Go」のような決済が完全自動というシステムはありませんでしたよね。しかし日本でもいつかは「Amazon Go」のような、レジなしシステムが普及するかも!?なので、その可能性をチラ見してみましょう。
こちらの動画は、NTTデータが実験運用をスタートしたばかりのシステムですが、2022年末までに小売店1,000店に導入しようという目標を立てています。
店が来てくれる移動型!世界の無人コンビニ
コンビニといえばあちこちにあって、買い物がすぐにできて便利というイメージですが、これからのコンビニは移動型であなたのいる場所まできてくれるようになります。
スマホで呼べるコンビニ「Moby Mart」(スウェーデン+中国)
まずはスマホで呼べる移動型コンビニ「Moby Mart」をご覧ください。
スマホでコンビニを呼んで、決済もスマホでできるとは!しかも完全無人で自動運転!にわかには信じがたいかもしれませんが、この「Moby Mart」はスウェーデンのWheelys社と傘下のHimalafyが、中国の合肥工業大学と共同開発したコンビニで、中国(上海)でテスト営業しています。
イメージ動画でなく、実際にテスト走行している動画はこちらです。
いやいや、これめちゃくちゃ高額なんじゃないの?と思うのは当然ですが、なんと今までの店舗建設費の10分の1程度(10万ドル以下、約1,100万円)で作れると発表しています。しかも運営にかかるコストも一日あたりわずか50ドル(約5,500円)って…。
おまけに「Moby Mart」は屋根にソーラーパネルを積んでいる電気自動車だからお財布にも優しく、空気清浄機つきだから地球にもこれでもかってくらい優しいんです!
これだけでもものすごい未来のイケイケコンビニなのですが、さらに「Moby Mart」は屋根にドローンを載せていて、5キロ以内の範囲であればドローン配達もできるっていうんですから、なんかもうすごすぎてお腹いっぱい…w
スマホで呼べる八百屋さん「Robomart」(アメリカ)
小心者が多い日本人にとっては、目立つ「Moby Mart」を近所に呼ぶのってなかなか勇気が必要なことかもしれません。こんなに大きな店じゃなくてもいいし…ちょっと食料品を買いたいだけなのに…という方にとっては、ロボマート社の「Robomart」はいかがでしょうか。
自動車メーカーも移動型コンビニに参入!?「e-Palette」(日本)
移動型の無人コンビニ分野でも遅れ気味な日本ですが、トヨタとセブンイレブンが共同で取り組んでいるシステムをちらっと見ておきましょう。
トヨタの秘策….自動運転技術で「移動型」の無人コンビニ実現へ https://t.co/lguLwM48O5 @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 22, 2018
これは過疎地などの店のないところに導入してくれたら大助かりです。セブンイレブン商品が、日本全国どこでも手軽に買える日が来るといいですねー。
ちょっと変わった日本の無人店
これまでにいわゆる「無人コンビニや店」を見てきましたが、技術の進歩とともに予想もつかなかったような型破りな店や売り方が登場してきています。ここではそういった型にはまらない日本の無人店を見ていきましょう。
LINEで注文できる!パーソナルコンビニ「600」
こちらは小さな冷蔵庫みたいなコンビニ「600」ですが、画期的なのはLINEやslackで商品のリクエストができるところです。これは絶対便利!かゆいところに手が届く日本人好みのシステムですよね。コンビニに行っても欲しいものがなきゃ意味なしですもんねー。仕事場に1台は必ず欲しいです、これ。
100万円の最新システム!Amazon Go型カフェ「Developers.IO CAFE」
Amazon Goは素晴らしいシステムですが、導入コストが大変高額(ハードウェアだけで約1億以上)でしたよね。これと同じようなシステムを実現しつつ、日本のシステム会社が導入システムの金額を激減することに成功しました。店の大きさこそ違いますが、カフェに特化したこのシステムはAmazon Goを超えている部分も!
クラスメソッド社が、2019年2月に秋葉原にオープンした「Developers.IO CAFE」は、Amazon Go型のレジなしカフェにもかかわらず、システムの導入コストはたったの100万円!安いっ!安すぎます!そもそもシステム会社がカフェを直営するというのも画期的なアイデアですよね。
スマホでドリンクを注文して店に入ったらすぐに受け取れて、レジで精算する必要もないとは、忙しい現代人にはもってこいのシステムですよね。クッキーなどの商品を入れているのは100均みたいなカゴというのも、なんだか手作り感があふれていて好感が持てますw
このカフェはシステム会社が「まずはやってみる」の精神でオープンした店で、ここで得られたデータはシステムを改良するためにダイレクトに使われます。日本企業は新しいシステム導入には慎重になりがちなので、まずはシステム会社が自分でシステムを試してくれるというのはありがたいですよね。
こちらはこのカフェの技術を簡単に解説した動画です。
日本に無人コンビニが普及するためには、キャッシュレス化が必要!?
ここまで様々な無人コンビニの形を見てきましたが、そのすべてに共通することはキャッシュレスでした。
無人店に欠かせないのは、(アプリでも顔認証でも)事前に登録したクレジットカードや口座から現金が引き落とされるという仕組みです。そこで改めて日本のキャッシュレス状況を調べてみると、かなりまずいんです…。
2018年に経済産業省が発表したキャッシュレス・ビジョンを見てみると、2015年の各国のキャッシュレス決済比率は次の通りです。
韓国:89.1%
中国:60.0%
イギリス:54.9%
アメリカ:45.0%
インド:38.4%
日本:18.4%
ご覧の通り、日本は現金大好きなキャッシュレス後進国なんです。そのため日本で無人コンビニが普及するためにはキャッシュレス化が必要、と言われてきました。
しかし銀行口座やクレジットカードを持てない人にとって、キャッシュレス化のハードルは高いので「キャッシュレス化は差別である」という考え方がアメリカで出てきました。実際にフィラデルフィアでは、2019年の7月1日からキャッシュレス型の店は原則的に禁止されたので、この流れを受けてAmazonでも現金払いを受け入れる方向になると認めました。
日本では高齢化社会のため、銀行口座は持ててもクレジットカードを持つなどのキャッシュレス化は思うようには進まないでしょう。しかしプリペイドカードのような前払いのシステムはわりと抵抗なく受け入れられているので、今後、無人コンビニが進化するのと同時に現金払いもできるような日本独自のシステムが出てくるかもしれません。
まとめ
今回は、世界の無人コンビニ情報を見てきました。ここでサーッとふり返ってみましょう。
- 無人コンビニの世界は、アメリカと中国が進んでいる
- 世界最高峰の「Amazon Go」、完全無人の「BingoBox」、やりすぎで怖い「Take Go」
- 日本のコンビニはレジ省力化が主流
- ローソンとファミマは無人化に積極的、セブンイレブンは消極的
- 小売店向けの無人化システムも販売されている
- 移動型の無人コンビニは自動運転でスマホで呼べる
- スマホで呼べるのは「Moby Mart」と「Robomart」
- トヨタも「e-Palette」で移動型コンビニに参入
- LINEで注文できるパーソナルコンビニ「600」は便利
- システム会社直営のAmazon Go型の最新カフェはイケてる
- キャッシュレス化なしでも無人コンビニは普及しそう
1970年代に日本にコンビニが入ってきてからはや50年。今では日本人の生活とコンビニは切っても切れない関係となりました。コンビニ大国であるここ日本では、消費者は買い物だけではなく、商品の良さやサービスの質もコンビニに求めています。
今後、日本は超高齢化社会に入り人手不足は加速していくので、無人化のテクノロジーは未来社会の救世主となることでしょう。しかしどれだけ無人化してもコンビニの持つ温かい雰囲気だけは失って欲しくないものです。今やコンビニはただのお店ではなく、町のコミュニケーションスポットとして社会に溶け込んでいるのですから~。