日々、進歩を続けるAI(人工知能)の世界。AI(人工知能)というコンピューターソフトウェアの強力な計算能力と機械学習という技術を使って株価の予測をさせれば、投資の成功もまちがいなしと考えたいですよね。
株価のチャートは複雑な変化をしますが、その変化は様々な要因により影響を受けた事業経営の数値化であるとされています。その変化の要因となる無数の数字をチェックしながら、計算を繰り返してしていけば、いつかは正確に株価の変化を予測できるでしょうか。AI(人工知能)には機械学習という自らプロセスを変化させる方法がとれることも、変化を予測するには有望な特長です。
AI(人工知能)を用いた株価の予測による投資リターンの改善は可能でしょうか。それでは、株式市場への機械学習の活用と、その事例についてみてみましょう。
AI(人工知能)による株価予測のアルゴリズム
株価の変動のような現象をAI(人工知能)が取り扱う場合、その機械学習のモデルとしてよく使われるのがLSTM。
AI(人工知能)のそもそもの長所の一つは大量のデータを扱うこと。株価はチャートに表されるように時間ともに変化する数値。そしてある時点での株価は直前の株価をもとに決定されることを考えると、このLSTM-RNNによる予測が最適な機械学習モデルといえます。
フィンテック企業、I Know Firstは自己学習アルゴリズムによる投資予測情報を提供する機械学習モデルのサービス企業。株価が形成される要因についての仮設を立て、それに基づいて取引を繰り返す中から、元の仮説とのずれを測定してそれを修正していきます。
AI(人工知能)は人間が判断する場合のように情緒的な要素を持ちません。
AI(人工知能)にとって、「過去に起こらなかったこと」は「決して起こらないこと」。前回のアメリカ大統領選挙やBrexitの国民投票の結果のような大きな状況の変化に対してはAI(人工知能)による予測は役に立ちません。機械学習は小さい変化に対しては有効にプログラムを修正できますが、価値を大きく変動させる環境については対応が難しいのです。
株価を決定する要因として、一般に取り上げられるのはさまざまな経済指標や企業の業績報告などの数値情報です。しかし、これ以外の言語で表される経営情報やニュースなども株価の変動に影響を与えます。このような情報を機械学習に取り込んで予測に反映させることはできるでしょうか。
この問題に取り組むために
機械学習による株価予測の限界
投資家は直近に大きく価格が上昇した株には手を出しません。近い将来、価格が調整されて株価が下落することを懸念するためです。また、株価が急激に下がり続けている株も買いませんよね。このような市場のモメンタムによる売買の決定は1~2ヶ月の期間では有効に働きます。
しかしながら、長期的な株価の変化には市場モメンタムによる影響は少なく、このような方法では株価を予測することはできません。
AI(人工知能)は安定した環境での株価の短期的な予測については適切なデータを導くでしょう。コストも安く、予測値を瞬時に出してくれる貴重な情報源です。しかし、環境が大きく動いたとき、いくつものデータが同時に変化する状況でこれを予測する記述はできません。このような状態では、株価を取り巻く環境自体に何が起こっているのかという洞察が必要になるのです。
機械学習による株価の予測は、短期的な変化を予測する上では頼もしいアシスタント。ただし、業界の動向や経済・政治環境を含めて投資の価値を見極める点については人間が判断する必要があります。AI(人工知能)が得意なこととそうでないことを理解して、機械学習というツールを上手に役立ててください。