シンギュラリティ、とよく聞くけれど意味を説明できない方は多いですよね。そんなの初めて聞いたわ、なんて方もいるでしょう。確かに聞き慣れない言葉だし、なんだか難しそうというイメージを抱くかもしれません。かくいう私もカタカナ語はある程度慣れていたものの、意味がまったくわからず放置してはや半年ぐらいが経ちました・・・。
そんなある日、(普段あんまり話さないのに)弊社のライター仲間であるつっちーが爽やかな笑みを浮かべながら、突然「ポスト・ヒューマン誕生」という本を渡してきました。
何やら彼は最近AI(人工知能)エンジニアについて学んでいるらしく、シンギュラリティのことについてめっちゃ勉強しているようです。
まえだまえださん、この本、めっちゃ面白いですよ!ぜひ読んでみてください!
ありがとう!ん?シンギュラリティ・・・??なにそれ・・・??
えっ、まえだまえださん、シンギュラリティの意味知らないんですか!?AIZINEのライターなのに?
うっ・・・はじめて聞いたわ・・・。
えー、それはAI(人工知能)のメディアのライターとして勉強不足ですよ〜。
・・・すみません・・・。(しょげる)
確かに、シンギュラリティという意味を知らないのはAI(人工知能)を扱うメディアでライターとしてちょっと恥ずかしい!これを機にちょっとでも勉強せねば!
ということで、この記事ではそんな「シンギュラリティ」について読んでいる皆さまが感じている疑問に合わせて回答していく形であれこれ紐解いてみます。そのため、この記事を読めば今までの「シンギュラリティって意味がわからない・・・」という気持ちがスッキリ解消しているでしょう。
ということで今回は「シンギュラリティの意味」について、5分でわかるように解説しました。
シンギュラリティの意味とは「AI(人工知能)が人間の予測不可能に発展し始める地点」のこと
そもそもシンギュラリティの意味ってなんだろう?
では、まず「シンギュラリティ」という言葉の意味そのものについて説明いたしましょう。
もともと英語での「Singularity」は、「風変わりなこと」「非凡なこと」を指していましたが、それが転じて数学で使われる用語となりました。数学での「シンギュラリティ」の意味は「特異点」といって「これまで規則的に適用されてきた法則が通用しなくなる点」のことを指しています。わ、数学苦手だわ。。。なんて方に向けて(私も数学苦手なのでよくわかります)わかりやすく解説すると、こんな感じです。
これを技術の進化に置き換えると、技術の進化はこれまで指数関数的(2×2=4,4×4=16・・・のように、掛け算を重ねてどんどん数値が大きくなること)に進んでいます。この成長の曲線が最初の動きはゆっくりで特に目立った点はないものの、折れ曲がりの地点を過ぎると爆発的に成長します。この「折れ曲がりの地点」が「特異点」です。
こうして「シンギュラリティ」という言葉の意味として、
↓
「規則が通用しないポイント」(数学)
↓
「技術の進化が爆発的に成長するきっかけ」(技術)
と変化していきました。
つまりここでのシンギュラリティとは、簡単に言うと「AI(人工知能)が人類の知能を超えて、人間の予測が不可能になる時」という意味です。この概念を唱えたのはレイ・カーツワイル氏で、彼は自らの著作「シンギュラリティは近いー人類が生命を超越するとき」(邦題は【ポスト・ヒューマン誕生】)でこの技術の進化を「AI(人工知能)の発展」に置き換え、「シンギュラリティ」の概念を広めました。
この本においてレイ・カーツワイル氏は、2029年にはコンピュータがすべての分野において人間を超えてシンギュラリティが起こるのが「2045年」と予測しました。それゆえシンギュラリティは「2045年問題」と呼ばれることもあります。AI(人工知能)がある程度人間とともに発展した後に、AI(人工知能)自身が改良を重ね、ずっと発展していくのです。
ちなみに、こちらの記事でもシンギュラリティの意味を簡単に解説しているので、興味があるかたは見てみましょう。
シンギュラリティの意味とは、今や私達の予想もつかないスピードで進化を続けているAI(人工知能)が、もはや完全に人間の予想を超えてしまう時のことを指すのです。
シンギュラリティの秘訣は「ニューラルネットワーク」にあり!
へー。AI(人工知能)が人間を超えちゃうことはわかった。じゃあ、なんでシンギュラリティが起きるぐらい発展しちゃうの?
では、なぜAI(人工知能)はここまで進化したのかを紐解いてみましょう。AI(人工知能)の思考回路の仕組みには、人間の脳と一緒の仕組みである「ニューラルネットワーク」が採用されていて、これがAI(人工知能)の発展を支える重要なポイントとなっています。
ニューラルネットワークは大きく入力層(感覚層)・中間層(隠れ層)・出力層(反応層)とわかれています。入力された情報に関して多数のニューロンが処理を行い、次のニューロンに情報を伝えていきます。このときに、情報について何かしらの「特徴」を出して、その特徴から何かしらの結果を出すのがニューラルネットワークのポイントとなるでしょう。ここではわかりやすく理科の教科書に載っている「反射」を使うと、
- 入力層(感覚層)→熱湯に手を入れて「熱い」と認識する
- 中間層(隠れ層)→このまま何もしないとやけどする!
- 出力層(反応層)→手を引っ込める
ということになります。そのため、次から「温度50℃以上のものに触れるときは気をつけなければならない」などの対策を行うことができますよね。
これらのネットワークをどんどん深掘りしていくと「ディープラーニング」と呼ばれる機械学習の手法につながります。複雑な情報の処理を行う場合は、ニューラルネットワークにおける中間層をどんどん増やていくことで、1つの層よりも深い思考を行うことが可能となりました。そうすることによって、特徴を出したり物事の予測の正確さが上がるからです。
こうしてAI(人工知能)が「ディープラーニング」という学習方法を身につけたからこそ、あらゆる技術を成長させることが可能となりました。また、これによって膨大なデータを分析させることができるようになったため、よりAI(人工知能)の分析の精度も上がって行き、それがAI(人工知能)の発展にもつながったのです。
シンギュラリティが起こる原因として、AI(人工知能)の発展があるんだけど、それを支えているのが「ディープラーニング」なんだ。
シンギュラリティはAI(人工知能)単体だけでなく、ネットワークがあってこそ発展する!
えっ、でもさAI(人工知能)って言っても機械だし、そんな機械の発展にはどんなに賢くなっても人間が一番なんじゃないの?なんでこんなに発達したの?
そうなんです、実はシンギュラリティが起きる理由はAI(人工知能)単体の発展だけではありません。ということで、AI(人工知能)単体以外でのシンギュラリティが起こる原因をみてみましょう。
コンピュータ科学者でありながらSF作家でもヴァーナー・シュテファン・ヴィンジは、シンギュラリティの起こる過程を分析しました。彼はシンギュラリティが起きる要素を4つに分類しているのです。
- 人工知能の発展
- コンピュータネットワークの発展
- コンピュータの、より親密なインターフェースの発展
- 生物科学の発展
※インターフェース=他のコンピュータをつなぐ装置・ソフトウェアのこと
ここでポイントなのは、シンギュラリティは単なるAI(人工知能)の発展だけではなく、「コンピュータ同士の発展」「コンピュータ同士をつなぐ機械・装置の発展」「(コンピュータを使う)」という、周辺のネットワークとそれをつなぐ機械と、ひいては機械を使う私達人間の進化が必要になってくるのです。ちなみにこのネットワークの中には、「IoT」と呼ばれる、ものがインターネットによってつながる仕組みも含まれています。
なんだか堅苦しい言い方になってしまったので、これを勉強ができるプロセスにたとえてみると
- 人工知能の発展=自分で勉強する
- コンピュータネットワークの発展=勉強ができる友達に出会って一緒に勉強し合う
- コンピュータの、より親密なインターフェースの発展=塾に行って周りの勉強する姿に励まされる
- 生物科学の発展=(塾・学校の)先生のレベルが上がる
という感じです。勉強するとき、一人で勉強するというのももちろん必要なのですが、結構一緒に勉強してくれる友達やライバルがいると余計頑張れる、ということはありますよね。また、(大学受験を受ける人にとっては)予備校で「うわ、周りにこんなに勉強している人がいるんだ・・・」って刺激を受ける、という経験もあるかもしれません。先生の教え方がうまくてどんどん成績が上がる・・・などの要因もあるでしょう。
こうしてお互いが刺激を受けあって発展していく、というのがAI(人工知能)の発展の仕組みなのです。ちょっと意識高い感じがしますよね。
シンギュラリティの起こる原因は、AI(人工知能)単体の技術の発展だけじゃなくて、AI(人工知能)同士のネットワークやそれをつなぐインターフェースや、私達人間がどんどん賢くなっているからなのです。
シンギュラリティが起きるとこんな未来がくる!
へー、シンギュラリティがすごい意味を持っているのはわかったわ。でも、今まであれこれ話してきたけどさ、そんなこと言ってもシンギュラリティってまだ先のことじゃん?今知ってもなんか意味あるのかなぁ?
確かに、シンギュラリティについてまだ先のことだと考えてしまいますよね。また、シンギュラリティについて以下の記事には否定的な意見もあります。
いえいえ、そんなことはありません。シンギュラリティは当初2045年にやってくるとしていましたが、実はそれがだんだん短くなっているのです。「2030年頃に起きるかも?」「いや実はシンギュラリティはもうすでに起こっているのでは」など様々な説がありますが、これもAI(人工知能)が驚くべきスピードで進化しているということを示しているのです。そうなると、シンギュラリティは私達が生きている間に起こる可能性が高くなっているのです、シンギュラリティのことを知っておく意味がありますよね。
では、シンギュラリティが起こるとどんな未来がくるのでしょうか?シンギュラリティが及ぼす影響はかなり大きいものとなることが予想されているのです。
「シンギュラリティに至ると、人間の脳の知識と人間の持つテクノロジー、進化速度、知識を共有する力とが融合してシンギュラリティに到達する」つまり「シンギュラリティがくることによって、これまでの人間と機械が統合された文明によって超越することができる。」
「特異点に到達すれば、われわれの生物的な身体と脳が抱える限界を超えることが可能となり、運命を超えた力を手に入れることができる」
なんだかすごい感じがする半面、「いやいや、何言ってるかわからない・・・」って尻込みする人もいるでしょう。具体的に何が起こるのでしょうか?
ノーム チョムスキー他・吉成真由美編(2017)「人類の未来 AI、経済、民主主義」NHK出版新書内のインタビューにおいて、レイ・カーツワイル氏は「シンギュラリティの発展の技術を応用すると、2030年ごろには今までのデバイス機器が血球サイズになり、血液に入って免疫システムを補助するようになる」と予言しています。また、医療ロボットの発達、や今ある知識によって老化を防ぐ努力をしていますが、これらの結果として、我々の寿命が半永久的に伸びるのではないか、と考えられているのです。
シンギュラリティはすぐそこまで来ているし、シンギュラリティが来たら寿命が今よりも伸びるかもしれないんだ。知っておいて損はないでしょう!それにしてもシンギュラリティってすごいですよね〜。(あっ・・・これつっちーが言ってたことと一緒やん・・・)
以上、「シンギュラリティの意味」について徹底解説しました。
- シンギュラリティの意味=AI(人工知能)の発展が人類の予想を超える時
- シンギュラリティが起きる原因【技術面】=AI(人工知能)が「ニューラルネットワーク」が発展することでどんどん階層が深くなる「ディープラーニング」が可能になったため
- シンギュラリティが起こる理原因【技術以外で】=AI(人工知能)単体の技術が進んでいるだけでなく、AI(人工知能)同士のネットワーク・それを使う人間がどんどん進化しているから
- シンギュラリティが起きたあとの未来=人間の寿命がさらに伸びる!
など、シンギュラリティはAI(人工知能)の発展が目覚ましいことを示す現象ということがわかりましたよね。
もしかしたら、「AI(人工知能)が人間の知能を超えたら、いずれ人間のことも支配するのでは・・・(ガクブル)」と不安に感じている方もいるでしょう。しかしレイ・カーツワイル氏の著作ではこの意味は含まれず、あくまで「AI(人工知能)が人間の中に組み込まれていって、人間はAI(人工知能)もしくはテクノロジーと一体化していく」としています。人間vsAI(人工知能)ではなく、人間とAI(人工知能)がうまく融合して生きていけるような道が開けるかもしれません。
そのため、シンギュラリティの意味を正しく理解して起こりうる未来に対して何かしら対策がとれれば、私達の生活も便利になりますよね!
中西崇文(2017年)「シンギュラリティは怖くない ちょっと落ち着いて人工知能について考えよう」草思社 レイ・カーツワイル著 井上健監訳(2005年)「ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき」NHK出版
レイ・カーツワイル著 井上健監訳(2005年)「ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき」NHK出版
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