シンギュラリティ・技術的特異点は来ない?2045年問題が怪しい理由3つ | AIZINE(エーアイジン)
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シンギュラリティ・技術的特異点は来ない?2045年問題が怪しい理由3つ

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最近ではAI(人工知能)技術の進歩によって、私たちの生活や職場などがより便利で効率的な環境へと変化しています。これを受けて近い将来にシンギュラリティ来るのではないかといわれるようになってきました。しかし、一方でそのようなシンギュラリティは来ないとも言われているのです。

なお、シンギュラリティとは機械が人間の知能を超えることで、大きな変化が社会全般に訪れるというもの。具体的には、人間のする仕事を全てロボットがするようになり便利な世の中になるというものや、人間が機械に支配されるようになるといった恐ろしいものです。

そこで今回は、まず基本的なシンギュラリティの意味や、起こるといわれている理由などを説明した上で、シンギュラリティが来ないと言われている具体的な理由3つと、それを主張する人物について紹介していきます。

また、最後にはこの来る、来ないといわれているシンギュラリティをどのように考えていけばよいのかについてもお伝えしていきしょう。ぜひ、シンギュラリティが来ないといわれている理由について深く知ってください。

シンギュラリティ(技術的特異点)/2045年問題とは

シンギュラリティのイメージ

技術的特異点とも呼ばれているシンギュラリティは、レイ・カーツワイル氏の著者から広く浸透した言葉です。

意味としてはAI(人工知能)やディープラーニングなどが発達することで機械が人間の知能を超え、これにより大きな変化(パラダイムシフト)が社会全般に訪れるというもの。

著名人の中にはこのシンギュラリティによってより便利な社会になるというポジティブな考えの人もいれば、SF映画のような機械が人間を支配するといったネガティブな考えをしている人もいるのです。

なお、レイ・カーツワイル氏の著作では具体的な水準として、1000ドル程度のPCが人間の知能の100億倍を有したときであると定義しています。
そして、このシンギュラリティがいつ起こるのかを具体的に予測し、その際にどのような問題が起こり得るのかを考えたものが、いわゆる2045年問題と呼ばれるものです。

これはレイ・カーツワイル氏が提唱したものであり、指数関数的に賢くなっている機械の計算力を人間の歴史と比較した場合に、2045年がそのターニングポイントになるというもの。

これにより機械は人間を超えた知能と情報共有力を得ることになり、シンギュラリティ後には人間が機械を使うのでなく相互に協力していく関係になっていくのです。

具体的には、機械が人間の技能などをダウンロードすることで、それまで人間がしていた仕事を代替するようになる。逆に人間が自身の脳にデータをインストールするなど機械的なことができるようになり、寿命が伸びるなどメリットが生まれるというもの。

これらはSF映画のような便利な世界が到来することを意味していますが、同時に弊害も生まれることが予測されています。

例えば、まず一部の仕事については人間ではなく機械が行うようになるので、雇用の問題が生まれていくでしょう。

こちらに関しては上手く対応すればそれほどの混乱を呼ぶことはないかも知れませんが、まったく起こらないともいえません。

また、雇用の問題が生まれればそれによって生活困窮者が増えていくため、社会保障が必要になっていくのではないかと予測されているのです。

こちらはベーシックインカムという、働かなくても最低生活できるお金を支給する政策が議論されています。

以上についてはあくまでも予測ですが、シンギュラリティが来ることでメリットではなく、デメリットも生まれるのがこの2045年問題なのです。

この2045年自体は少し先のことですが、デメリットが現実になったとしたら不安を覚えることでしょう。そうならないように今のうちに対策考えていくべきです。それでは次の章ではシンギュラリティ、および2045年問題が起こり得る理由について説明していきましょう。

そもそもなぜシンギュラリティは起こり得ると言われているのか

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シンギュラリティについてレイ・カーツワイル氏は、1000ドル程度のPCが人間の知能の100億倍を有したときと定義しました。こちらのに関しては以下のような理由から。

  1. ムーアの法則を土台とした収穫加速の法則
  2. AI(人工知能)が自己進化できる

それぞれを説明していくと、

まず1にあるムーアの法則とはゴードン・ムーアが提唱した、集積回路の密度が18カ月〜24カ月で倍増するという経験から導き出された法則です。

レイ・カーツワイル氏はこれを人類の進化に当てはめて収穫加速の法則を提唱しました。

これによると機械の計算力が指数関数的に増えていくことと、人類の過去の歴史であった事象、例えばサルから人間が生まれるといったことには関係性があるということなのです。さらに、過去ではなく未来をみていくと、次の事象が起こる時期が2045年付近になっているため、その時にシンギュラリティが起こるのではないかと予測しています。

なおこちらの法則が正しかった場合になぜシンギュラリティが起こるのではないかと予測できるのかというと、

この時点のAI(人工知能)であれば人間よりも賢く、2にあるように自己進化が可能であるからです。

どういうことかというと、AI(人工知能)が自己進化できればどんどん優れたAI(人工知能)になっていきます。そして、この優れたAI(人工知能)によって新しいイノベーションが生まれたり、生まれるスピードが大きく加速していくことになるのです。

したがって、そうしていくと社会に大きな変化が生まれることになり、この状況がシンギュラリティが来たといえるのではないかとレイ・カーツワイル氏は述べています。

以上の説明を聞いていくと、たしかにシンギュラリティは来るのかもしれないと考えるでしょう。しかし、こちらには懐疑的な意見もあります。

そのため、以下ではシンギュラリティが来ないと思われる理由についてみていきましょう。

シンギュラリティが懐疑的である理由3つ

何も起こらないまちのイメージ

シンギュラリティが来ないと思われる理由には、以下の3つがあります。

  1. 経験則から生まれたムーアの法則
  2. 半導体の問題
  3. AI(人工知能)が人間のように理解できているのかという問題

まず1に関しては、

レイ・カーツワイル氏が述べている収穫加速の法則は上でも説明したように、ムーアの法則を基にして展開されているものです。

しかし、こちらは経験則から導き出されたものであるため科学的な根拠は乏しく、これを土台にして大胆な見解を付け加えた収穫加速の法則は問題があるといえます。

実際、収穫加速の法則は数学や生物学といった観点から批判されているのです。

また、ムーアの法則、および収穫加速の法則は半導体の性能がずっと伸びていくことを前提にしていますが、2にあるように半導体ついても問題があります。

というのも半導体がより集積されるようになると「ダークシリコン」という問題が生まれているからです。

なお、この「ダークシリコン」とは半導体がこれまでよりも集積されることで増える消費電力を抑えるために、意図的に電力を供給しないようにすることで生まれる領域のこと。

こちらに関しては密集していけばしていくほど増えていく問題であり、半導体メーカーのインテル社、AMD社がともに指摘しており、このままでは性能の伸び率が鈍化するといわれています。

この他、半導体ではしばらくは集積を推し進められるが、すでに10nmと原子レベルに達しているため、限界は近いといわれているのです。

したがって、何らかのブレイクスルーがない限りは収穫加速の法則は成り立たないので、シンギュラリティは来ないのではないでしょうか。

最後に、仮に半導体の問題が解決され、収穫加速の法則が成り立ったとしても3にあるように、本当にAI(人工知能)が人間のようにものを理解できるのかという問題があります。

現在のAI(人工知能)というものはたしかに一部分では人間を超えた結果を出しているものもあり、将来はより優秀なAI(人工知能)が登場するのは間違いないでしょう。

しかし、現在のAI(人工知能)は結果はわかりますが、その結果を抽出するまでのプロセスがわからないため、正しい判断が行われた、もしくは誤っていたとしてもその理由がわからないものなのです。こちらに関してはどんなに学習を続けたとしても明らかにならないため、このまま単純にAI(人工知能)としての性能が上がっていくだけではシンギュラリティは来ないと考えられます。

以上がシンギュラリティが来ないと思われる理由です。シンギュラリティについてレイ・カーツワイル氏は2045年に来るといっていますが、その根拠となる法則には問題があり、半導体やAI(人工知能)にも課題があります。

したがって、何か新しい革新的なアイデアが生まれればこれらの問題はクリアされるかもしれませんが、現状はシンギュラリティが来ないという確率の方が大きいといえるでしょう。それでは今度はこのシンギュラリティは来ないと主張する主要な人物を紹介していきます。

シンギュラリティはやってこないと主張する主要な人物

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シンギュラリティは来ないと主張している人物の中には著名な企業の社長もいます。

例えば、あのお掃除ロボットのルンバを開発しているアイロボット社CEOのコリン・アングル氏もその一人です。あるインタビューでコリン・アングル氏はレイ・カーツワイル氏の2045年にシンギュラリティが来るという主張を真っ向から否定しています。

これによるとレイ・カーツワイル氏の主張は以下の点で問題があり、シンギュラリティは来ないといえるよう。
  1. AI(人工知能)をよく知らない人たちがシンギュラリティを語っている
  2. シンギュラリティが来なくても便利な時代が来る
まず、1にあるようにこのシンギュラリティという話題を語る際には必ずAI(人工知能)に触れます。しかし、語り手にはAI(人工知能)に対しての知識が少ないことが多く、それによってアルゴリズム的に機械が「認知」はできても、「理解」はできないということが伝わっていないようなのです。

そのため、シンギュラリティが来た際に語られる未来の実現には時間がかかり、レイ・カーツワイル氏の主張している2045年にはシンギュラリティは来ないといえます。

また、2にあるようにシンギュラリティが来ない場合でも、将来には多くの技術が実用化されることで便利な社会になると予想できるでしょう。
例えば、視力をなくした人が機械によって視力を回復するといったことは、現在さまざまなところで研究されているため起こり得ることだといえます。そのため、こういったことが別にシンギュラリティが来ることで初めて実現するのではなく、その前に起こってもおかしくはないのです。

つまり、レイ・カーツワイル氏が提唱したシンギュラリティが来ない場合であっても世の中の技術は進歩していくので、いずれにしても便利な社会になります

したがって、シンギュラリティが来ることで機械が人間の仕事を奪うなどといった主張は、間違っているといえるのです。

 

 

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最後にこの「来る」「来ない」といわれているシンギュラリティをどのように考えていけばよいのかを伝えしていきしょう。

シンギュラリティが来るといってる人はレイ・カーツワイル氏以外にも複数います。もちろん、こういった人たちの意見が全て誤りとは言いませんが、上のコリン・アングル氏が指摘したように専門家からすればあり得ないという意見もあるのです。

そのため、一度シンギュラリティは来ないといっている人たちの意見も聞いたほうがよいでしょう。やはり、双方の意見を聞いていけばどちらが正しいのがわかるはず。

しかしながら、今回のレイ・カーツワイル氏の主張するシンギュラリティについては、その主張の展開に問題をいくつか抱えているため、シンギュラリティは来ないというのが正しいかもしれません。

したがって、シンギュラリティについては少し引いた位置でみるようにして、シンギュラリティが来る、来ないに関わらず将来がどうよくなっていくのかに注目していきましょう。そうしていけば正しく将来について議論できるはずです。

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