大学生を卒業する前に、どうしても避けて通れない就職活動。その中でも難しくて苦手と感じるのは、やっぱり面接ですよね。筆記試験と違って、面接官から直接質問をされると、どうしても緊張してしまいます。
面接といえば、志望する会社に直接出向いて、その会社の人が面接官となって、学生にいろいろな質問をするというのがスタンダードな形です。しかし最近ではAI(人工知能)を使った「SHaiN」というシステムを利用して、会社に出向くことなく、しかもAI(人工知能)が面接官となって面接をすることができるようになりました。
AI(人工知能)が面接をするといわれても、なかなかイメージがわかないという人もいますよね。そこで今回は「SHaiN」を使ってどのように面接をするのか、そして「SHaiN」を使った面接でどのような学生が評価されるのか、お伝えしましょう。
SHaiNとはAI(人工知能)が面接をするシステム
「SHaiN」を手がけているのは、人材コンサルティング事業であるタレントアンドアセスメント。ソフトバンクが人型ロボ「ペッパー」の発表をした際に、AI(人工知能)を面接官にできないかと思ったのがきっかけでした。
そして完成したのが、SHaiNでした。ペッパーを使ってきちんとした会場で面接を行うスタイルも可能ですが、やはり最大のメリットはスマートフォンを使って、いつでもどこでも面接を受けられるという点につきます。このほかにも会社側が「SHaiN」を使うとこんなメリットがあります。
会社側にとっては、膨大なエントリーシートにすべて目を通すのも、1次面接で数多くの学生をひとりひとり見ていくのも大変な作業です。これらをすべてSHaiNに任せることで面接官の負担を軽減し、さらにAI(人工知能)が的確に学生を評価してくれるでしょう。
一方、面接を受ける学生側にとってもメリットが大きいですよね。
このほかにも、一番の特徴としては手の空いている時間に、自分の部屋で面接を受けることが可能です。機械が相手ですから、あまり緊張しなくてすむという人もいるでしょうし、公平に評価してくれるという安心感も生まれるかもしれません。
SHaiNでの面接の流れとは!
では実際にSHaiNをどのように使うのか、見ていきましょう。
- AndroidまたはiOSで、SHaiNアプリをダウンロードしておく
- 応募した会社から送付されたメールに記載されている、本人認証URLをタップ
- 自動的にアプリが起動し、面接開始
アプリが起動すると、そのまま面接が始まります。質問は100問以上にわたり、あいまいな答え方をすると「もっと具体的に」と言われたり、答えた内容によってはさらに突っ込んだ質問をされたりと、油断できないですよね。
質問の受け答えもさることながら、面接の様子を動画で記録されるため、ちょっとした仕草や表情の変化も見られていることになります。誰もいないからといって気を抜いてしまうと、その様子が会社側に筒抜けになってしまいます。
SHaiNが出す質問数はかなり多く、面接自体はだいたい1時間ほどかかります。面接の結果はAI(人工知能)が自動で評価レポートを作成し、会社側に提示。その結果を見て、会社側が合否を判断するという流れです。
SHaiNで評価される項目は11種類
面接終了後、SHaiNが作成する評価レポートは
のふたつから、それぞれに設定されている項目ごとに数値と具体的な文章で出力されます。SHaiNがすることはあくまで評価レポートを作成することであり、実際の合否の判断は行いません。
質問によって評価される項目は、次の7つです。
- バイタリティ
- イニシアチブ
- 対人影響力
- 柔軟性
- 感受性
- 自主独立性
- 計画力
バイタリティの項目に含まれる要素としては「粘り強さ」「責任性」「エネルギッシュ」「打たれ強さ」があげられています。主にメンタルの強さに関わる項目です。
イニシアチブは「上昇志向」「前向き」「知的好奇心」「自発性」「創意工夫」。目的意識の高さや、目的達成のためにどれだけ動けるかを見られています。
対人影響力は「ビジョン」「動機づけ」「巻き込み」「主体的指揮」です。まさにリーダーシップのことですよね。他の人に影響を与えるカリスマ性といった要素も含まれています。
柔軟性は「状況理解」「フレキシブル」「自在性」「適応性」。これは困難にぶつかったときにきちんと状況を把握し、臨機応変に対応できるかを表わします。
感受性は「気持ちへの敏捷性」「共感性」「気配り」「気遣い」「チームワーク」があげられます。チームで仕事をするときに必要な要素が、すべて詰まっていますよね。
自主独立性は「信念的」「度胸」「自己主張」「自律的」。ただ言われたことをこなすのではなく、自分が正しいと思ったこと、したいと思ったことを実際に行動に移せるかどうかという項目です。
計画力は「段取り」「タイムマネジメント」「PDCA」「明確な目標」「優先順位」をあげています。自分で計画を立て、計画通りに実行できるかどうかですよね。ちなみにPDCAは「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」の略、つまり立てた計画を改善しつつ実行できるかということです。
観察によって評価される項目は、以下の4つです。
- インパクト
- 理解力
- 表現力
- ストレス耐性
インパクトに含まれる要素は「好感度」「明るさ」「清潔感」。ハキハキとした受け答えや言葉遣いなどは、当然見られています。
理解力は「頭の回転」「正確性」「迅速性」です。SHaiNが投げかけてくる質問の中には、思わず言葉に詰まってしまうようなものもあるかもしれません。そんなとき、すぐに頭を切り替えられることも大切です。
表現力は「伝達力」「明瞭性」「正確性」「簡潔性」。これはよく面接の前に準備しておくよう言われることですよね。質問に対しては正しくはっきりと、簡潔にわかりやすく答えましょう。
ストレス耐性は「落ち着き」「平常心」「克服力」が含まれています。面接時に緊張のあまり平静を失っていたり、予想外の質問に対して過度に動揺したりといったことを、SHaiNは見逃しません。
SHaiNで評価される学生は、人間相手の面接でも評価される
ここまでSHaiNで評価される項目をあげてきましたが、実は人間相手の面接と評価項目の違いはほとんどありません。違うのは人間が見落としてしまうことも、SHaiNは見落とさないことですよね。
SHaiNによる面接で気をつけたいのは、以下の5点です。
人間の面接官相手なら、多少あいまいな表現でもニュアンスで理解してくれるかもしれませんが、AI(人工知能)はそんな融通を利かせてはくれません。また新しすぎる流行語など、AI(人工知能)が理解できない可能性のある言葉も避けたほうがいいでしょう。
AI(人工知能)相手の面接ならではなのが、面接の様子をこと細かく観察されていること。質問に対する回答の内容だけでなく、回答までにかかった時間、回答の長さ、話すときの抑揚や表情の変化などによって、その人の感情を推測することができるのです。
つまり回答にウソが混じっていたり、答えをまったく用意していなかったりなど、すべてSHaiNには筒抜けなのかもしれません。髪型や服装、化粧の乱れなどがあってはならないのは、人間相手の面接でも同じですよね。
こうしてみると、AI(人工知能)が相手だからといって面接に必要な対策が変わってくるというわけではありません。むしろ人間相手のときよりも、細かいところまで見られて厳しくなるでしょう。
しかし人間の面接官と違って、AI(人工知能)は有名大学だから評価を高くするとか、無名大学だからハジくというようなことはしません。SHaiNは、学生側にとっては公平で公正な評価が期待でき、会社側にとっては大学の名前に関係なく有能な人材を確保できる、画期的な面接システムといえますよね。
さて、「SHaiN」を使ってどのように面接をするのか、そしてSHaiNを使った面接でどのような学生が評価されるのか、お伝えしてきました。
- SHaiNはペッパーやスマホを使って、いつでもどこでも面接ができる
- SHaiNはアプリを立ち上げて認証URLを入れると面接が始まり、1時間ほどかけてさまざまな質問をされる
- SHaiNの面接は、質問による7項目と観察による4項目で評価される
- SHaiNの面接の対策は人間相手のときと変わらないが、行動や表情をこまかく観察されるぶん厳しい部分がある
どんな学生でも公平・校正に評価できるSHaiNは会社側にとってもメリットが大きく、今後も多くの会社で採用されるかもしれません。
確かに面接を受ける側もいつでもどこでも、好きなタイミングで面接を受けられるSHaiNですが、決して気軽に臨んでよいわけではありません。むしろ人間相手の面接よりも、こまかいところまで観察される厳しい面接になる可能性があります。AI(人工知能)が相手になっても、気を引き締めて面接に挑みましょう!
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