量子コンピュータがもたらす人工知能(AI)の未来 | AIZINE(エーアイジン)
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量子コンピュータがもたらす人工知能(AI)の未来

量子コンピュータがもたらす人工知能(AI)の未来

昨今、人工知能(AI)の言葉を聞かない日はないほど、現在様々な分野で人工知能(AI)が活用されて私たちの生活に役立っていると感じますよね。一方で量子コンピュータはどうでしょうか。なんだかSFめいた響きで、遠い世界のもののように聞こえます。

量子コンピュータは人工知能(AI)の発達に大きな貢献をもたらすことがわかっており、双方は、お互い高め合っているといえるでしょう。量子コンピュータの実現は、従来のコンピュータの概念を変えてしまう大発明となることは間違いなく、日夜世界中で研究が進められています。

今回は、人工知能(AI)がより高度に発達するためには何が必要で、一方でものすごい可能性を秘めている量子コンピュータが、人工知能(AI)にどのように関係しているのかをお伝えしましょう。

人工知能(AI)は膨大なデータから学習して能力を獲得する

人工知能(AI)はひたすら学習する

現在、人工知能(AI)はいろんなところで活用されています。また、これからもさらなる活用と技術の発展が間違いなく期待できるでしょう。みなさんがよく知っている話題としては、自動車の自動運転がありますよね。

日々のニュースを見ていると、もう運転手がハンドルを持たなくても目的地に安全に走ってくれるという社会の実現が、もう間近に迫っている印象があります。また囲碁や将棋の世界では、AI(人工知能)がトッププロ棋士が到底敵わないほどの実力を持つようになりました。

一般的にAI(人工知能)は、膨大なデータから学習を行い、そのデータに潜む傾向やパターン、規則を見出し、予測や判別といったあたかも知能を持っているかのような振る舞いをできるようになります。つまり、たくさんのデータからの学習を通じて、目覚ましい能力を獲得しているのです。

このような、AI(人工知能)の中心となっている技術を機械学習と呼びますが、最近世間で非常に注目されているDeep Learning(ディープラーニング)は、機械学習の中の一つの学習の手法なのです。

量子コンピュータは従来のコンピュータとどう違うのか

量子コンピュータは従来のコンピュータとどう違うのか

次に、量子コンピュータとはどういう特徴があるのでしょうか。量子コンピュータは実は「膨大な計算を一度に処理することができる」のが最大の特長といえます。

量子コンピュータは量子力学(量子物理学)と呼ばれる、物質の原子レベルの目に見えないほどの極微の世界で起っている現象を利用したコンピュータで、その世界では、「0」でもあり「1」でもあるという状態が存在するのです。

またまた訳の分からない言葉が出てきましたね。そうなんです、私たち人間が目にする世界や現象とは違う現象が起きていて、そのような現象を利用すると、たくさんのパターンの計算を一度にできてしまうのです。

量子コンピュータにも2種類ある

量子コンピュータにも2種類ある

そんな不思議な量子コンピュータには、

1. 量子ゲート型
2. 量子アニーリング型
と呼ばれる2種類の方法が主流として研究および実用化が進められているのですが、それぞれ興味深い運命をたどっていると言えるでしょう。

もともと、量子コンピュータは当初、量子ゲート型を目指して研究が始められました。量子ゲート型は現在私たちが利用しているコンピュータの計算のさせ方に近く、汎用性があると期待されています。しかし、量子ゲート型は実用化に向けてのハードルが高いため進歩が遅く、既存のスーパーコンピュータより有利になるほどの計算能力にはまだ達していないのです。

一方、量子アニーリング型は、最初から特定の計算用途にしか役に立たないことがわかっていました。その用途とは「最適化問題」と言われるもので、たとえば、「地図上の20地点の都市を効率よく、すべて回るにはどうすればよいか?」といった問題に対して、無数にあるルートの中から最適なルートを見つけ出すといった問題を解決することに応用できると考えられてきました。

ここまで聞くと、汎用性のある量子ゲート型、用途限定の量子アニーリング型のどちらに将来性がありそうかは、言うまでもないですよね。この量子アニーリング型は量子ゲート型と比較すると、計算の汎用性もないため、「量子アニーリング型は量子コンピュータと呼べるのか?」と怪しまれることもたびたびあり、最初は日陰者扱いされていました。

量子コンピュータと人工知能(AI)との出会い

量子コンピュータと人工知能(AI)との出会い

そんな量子アニーリング型の量子コンピュータでしたが、人工知能(AI)へ貢献できることがわかってくると、一躍主役に躍り出ました。量子アニーリング型の量子コンピュータが唯一得意だった「最適化問題」が、人工知能(AI)の学習に役立つことが分かったことがきっかけで、量子アニーリング型の評価が上がったのです。

前に述べたとおり、人工知能(AI)は膨大な量の学習を行うことで、その品質を高めることができます。量子アニーリング型の量子コンピュータは、まさにその膨大な量のデータを処理する必要がある人工知能(AI)と相性が良かったのです。

さらに、米航空宇宙局(NASA)の試算によると、量子アニーリング型が得意な分野での計算能力は既存のコンピュータの約1億倍近い性能を発揮するとの報告があり、また消費電力が既存のスーパーコンピュータと比べて極めて小さいということも、実用化のモチベーションを高めていると言えるでしょう。量子アニーリング型の量子コンピュータは人工知能(AI)のためにあると言えるかもしれません。日陰者どころか良いことずくめですよね。

 

このように、人工知能(AI)の性能を高めるためには、人間が学習する量とは桁違いの膨大な量の学習が必要で、そのための学習データを用意しないといけません。その作業には、高速な計算処理能力を持つ、従来と全く異なる計算方法を行う量子コンピュータという計算機が役に立つことがわかってきたのです。

ちなみに、その計算方法は、当初量子コンピュータに期待されていた仕組みとは異なる、いわば「亜流」、悪く言えば「偽者」ともいえる仕組みでした。現在、国や世界を代表する企業がこぞって量子コンピュータの開発に引き続き取り組んでいます。

人工知能が今後ますます発達すると、これまで人間がしてきた様々な作業をAI(人工知能)が代替し、人間の負担は劇的に軽減されるでしょう。それに伴い、人間はより創造性や感性を活かした活動に多くの時間を使うことができるようになるはずです。量子コンピュータの活用で、そんな未来が早く来るといいですよね。

参照元 [量子コンピュータ1]突然商用化した夢のマシン
AI開発に実用される量子コンピュータ--人工知能研究を加速
「量子コンピュータが人工知能を加速する」とそれに関連するメモ.
量子コンピュータと従来型コンピュータは共存する

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