これから大活躍するかも!リハビリでのAI(人工知能)活用事例まとめ | AIZINE(エーアイジン)
AI(人工知能)と健康管理

これから大活躍するかも!リハビリでのAI(人工知能)活用事例まとめ

これから大活躍するかも!リハビリでのAI(人工知能)活用事例まとめ

例えばケガや病気から回復したときに、寝たきりだとすぐに歩くことができないですよね。そんなときに日常の動きができるようにするため、訓練します。それが「リハビリ」

まえだまえだ
まえだまえだ

そういえば子どもの頃に左足を骨折して、リハビリとしてギプスをつけながら歩く練習をやった記憶がある。でも、片足で歩く練習って脚のバランス感覚や力が必要だったから、結構大変だったな。

このようにリハビリでは歩くだけではなく、食事をする、排泄するなどの日常動作ができるようにすることも目標の一つです。実はリハビリでは、「今日はこんなことをやってみましょう」「次これをやりましょう」など患者さんの様子をじっくり観察しながら判断するので、人の方が得意な仕事だと考えられています。ところが、最近ではこのリハビリに対して、AI(人工知能)が導入されつつあるのだとか。

え、それってどういうこと?リハビリのどんなところでAI(人工知能)が使えるの?と疑問に感じる人も多いでしょう。もしかしたら、万が一あなたがリハビリを行うようになったときに、サポートとしてAI(人工知能)がいた・・・なんて未来もあり得ます。そんな時のために、ぜひこの記事の事例を知っておくと「あー、こんな感じのことやっていたわ!」といつか役立つかもしれません。

それでは今回は、「AI(人工知能)がリハビリで活躍している話」についてお伝えしましょう。

そもそもリハビリ(リハビリテーション)とは

リハビリのイメージ

まずはリハビリについて、説明しましょう。

リハビリの正式な名前は「リハビリテーション」と言います。リハビリテーションとは「re(再び)habilitare(人間らしい状態にする)」という意味があり、それが転じて、一般的には病院で行うような、患者さんの機能回復訓練のことを示すようになりました。

例えば昔の私のように一時期片足で歩くことができない、という状況だと、だんだん歩き方を忘れてしまう可能性があります。また、病気によって脳や脊髄、その他体に障害を持ってしまった時は、普段通りの生活を送ることが難しくなってしまいます。そんな時にリハビリが必要になります。

そして私たちが「食事する」という行動をとっても、おはしを持ったり噛んだりするなどいろんな行動がありますよね。この行動が一人でできるようになり、買い物などの日常生活が送れるようになり、問題なく働けたりコミュニケーションを取れるようにするのがリハビリの最終目標です。

ちなみに厳密にいうと、リハビリには4種類あります。

  • 医学的リハビリテーション:病院などで行う機能訓練のこと
  • 職業リハビリテーション:障害のある人が社会で働けるようにする職業訓練・職業指導などのサービス
  • 社会リハビリテーション:家庭や地域社会・職場での適応を目指すための経済的保証・福祉サービス
  • 教育リハビリテーション:障害を持っている子どもが、自分らしい人生を送るために支援する障害児教育・特別支援教育などの教育

今回は、その中でも「医学的リハビリテーション」について取り上げます。

この医学的リハビリテーションを支援するのが、主に次のような人たちです。

  • 理学療法士(PT):主に歩いたり立ち上がったりの練習・指導など、運動を行う
  • 作業療法士(OT):日常生活での作業を指導する
  • 言語聴覚士:難聴や失語症をはじめとした言葉に障害を持っている人が、話せるように訓練する
まえだまえだ
まえだまえだ

私が骨折したときに歩く練習を一緒に手伝ってくれたのは、理学療法士さんだったのか〜!

その中でも、主にAI(人工知能)が活躍するのは理学療法士の仕事です。でもなぜ、理学療法士の仕事でAI(人工知能)が活躍するのか、次でその理由をみていきましょう。

リハビリとAI(人工知能)はどんな関連性があるのか

理学療法士のイメージ

一般的にリハビリを行う理学療法士は、AI(人工知能)でなくならない仕事と言われています。なぜなら、コミュニケーションが必要とされるから。リハビリには、ただ機能訓練をこなすだけではなく、リハビリを受けている人とリハビリを指導する人の手の温もりやリハビリをしながらの会話など触れ合いが必要です。

そうなると、なぜリハビリにAI(人工知能)を導入するの?と疑問が湧いてきますよね。それを解説するために、AI(人工知能)の得意分野から分析しましょう。

AI(人工知能)の得意分野は、多くのデータを記憶することやデータを分析することです。となると今どんな姿勢で歩いているのか、病気は普通の人と比べてどれくらいまで回復しているのかなどは、AI(人工知能)の方が正確に分析できるでしょう。

リハビリでは、コミュニケーションをとる以外にも今患者さんがどんな状態なのか、次にどんなリハビリをする必要があるのかを考えています。このため、リハビリでAI(人工知能)を使って、リハビリの計画や現状の姿勢の分析などを行うこと、リハビリをより効率的に行うことができるようになりました。

また、今まででは理学療法士さんごとに患者さんに接した経験や知識量によって差が出てしまうことが課題でした。AI(人工知能)が分析をすることによって、リハビリを受ける私たちも平等にリハビリを受けられるようになり、より良いリハビリを受けることができるようになるかもしれません。

では、次からその「リハビリの計画を作る」「リハビリで姿勢を判定する」などの具体的な事例について解説しましょう。

リハビリでのAI(人工知能)活用事例:リハビリの計画作成

計画のイメージ
リハビリは長期的なので、入念な計画が必要になります。理学療法士さんが患者さんが日常生活を支障ないレベルに回復させるためには、まず最初にこんなことをやって、次にこんなことやって・・・と計画を立てるのは、実に時間がかかること。特に一人で多くの患者さんを抱えている場合は、さらに大変ですよね。

そこでNEC北原病院グループが連携して、AI(人工知能)がリハビリの計画を作成する手助けとなるシステムを作りました。

リハビリの計画を作成するのに当たって、必要なプロセスは以下の3つです。

  1. 患者さんがどれくらい回復するのかを予測する
  2. リハビリにおける目標を作成する
  3. その目標に達するために、どんなリハビリが必要かプログラムを作る

特にこの中で人によって経験や勘・知識量の差が開きやすいのが、「患者さんの回復の度合いの予測」と「リハビリにおける目標の作成」です。なぜならたくさんの患者さんに当たっている人の方が、リハビリをやるごとにどれだけ回復するのかを実際に見てきているから。

そこでこの2点にAI(人工知能)を使うことで、リハビリの計画作成を効率化しつつ平均的な質をあげるようにしました。

その結果、リハビリの計画作成にかかる時間が約60%も短縮したのだとか。さらに脳血管系の病気で入院しリハビリを行う患者さんは平均で約3ヶ月病院にいる必要がありましたが、これを1ヶ月程度に減らすことができました。

 

まえだまえだ
まえだまえだ

病院にいる期間が短くなるのは、とてもありがたい!さらに患者である私たちにとっては、今までよりも自分にあったリハビリを受けられるようになるかも。

リハビリでのAI(人工知能)活用事例:リハビリの支援

支援するイメージ

例えば一人で歩くことが難しい患者さんがリハビリをする場合、リハビリを助ける人が一緒に支えますよね。確かに触れ合いという意味では大切なのですが、やはり助ける人の方の体に負担がかかってしまうのが課題でした。

そこでトヨタ自動車株式会社脳卒中などの下半身のまひに対するリハビリ支援のロボット「ウェルウォークWW-2000」を開発しました。このロボットは、患者さんの動きを機械で検知しながら画面で歩いている姿勢をうつしたり、歩く速度を調整するなどリハビリを支援する機能がついています。これなら、理学療法士さんも体の負担が減流に違いありません。

ちなみにもともとこのロボットには「ウェルウォーク WW-1000」という一世代前の機種があり、その機種にも同じような機能がついていました。しかし、今回AI(人工知能)をつけることで、よりリアルタイムに歩き方をチェックできるようになりました。例えば歩いている時の姿勢がおかしい場合は歩きながらフィードバックをもらうことができたり、歩きながらゲームを楽しむこともできるとのこと。

まえだまえだ
まえだまえだ

これなら、今自分の姿勢がどうなっているのかをチェックできるし、楽しくリハビリを続けることができそう!

この「ウェルウォークWW-2000」に搭載されているAI(人工知能)が、株式会社ネクストシステムが開発したVisionPoseです。VisionPoseとは静止画・動画から骨格の動きを検知することができるAI(人工知能)で、リハビリで歩いている時の姿勢や骨の動きを分析してくれるでしょう。

※VisionPoseについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください

リハビリをする理学療法士さんの負担を減らし、患者さんがリハビリを楽しくできるという点では、今後このようなロボットが増えるかもしれません

リハビリでのAI(人工知能)活用事例:仮想空間でAI(人工知能)がリハビリの手助けをする

仮想空間のイメージ
いざリハビリの計画を立てて、ロボットがアシスタントしても、最終的に大事になるのは「自分の力」ですよね。また、リハビリの時間は1回1時間など、限られていることが多いです。そうなると、早く動けるようになりたい人は自分の力でリハビリの練習をしたくなるかもしれません。

実はAI(人工知能)が仮想でリハビリのお手伝いを行う研究が進めています。メキシコの国立神経外科研究所では、脳卒中や脳の障害によって上半身のまひが起こった人に向けて「Gesture Therapy」という治療法を作ろうとしています。この方法はカメラとセンサーをコンピュータにつなげて、患者さんが腕を動かそうとする動きを検出します。それを仮想空間につないで、掃除や料理などの生活のシミュレーションにつなげるのだとか。

まえだまえだ
まえだまえだ

すごいー!これなら、患者さん自身でもどう動けば良いのかわかりますよね。

また、この動きに関してはAI(人工知能)が評価をします。それによって動きの難易度を調整したり、次にどんなことをやるべきなのかを示してくれます。もちろん、リハビリを担当する人にも定期的に連絡をとるようになれば、さらにリハビリで回復できるスピードが早くなる可能性もあります。

リハビリはこれまで、病院だけで行うと考えられてきました。そのため早く回復したい!という人でも、このようなソフトウェアを使うことで自宅でリハビリができるようになるでしょう。

今後のリハビリとAI(人工知能)の関係性

高齢化社会のイメージ

これまで理学療法士の仕事はAI(人工知能)によってはなくならない仕事とされてきましたが、リハビリにおける一部の仕事をAI(人工知能)が担当するようになってきています。それは理学療法士の方の負担を減らすため、という目的も大きいです。

現在の日本の平均寿命は男性81.25歳、女性が87.32歳と超高齢化社会になっています。その中で「健康寿命」という元気で自立して過ごせる年齢が男性72.14歳、女性74.79歳(平成28年現在)この健康寿命を過ぎた約9〜12年は、日常で何かしらの介護や助けが必要になり、時にリハビリも必要になる可能性があります。

つまりリハビリ自体の需要は、どんどん伸びています。一方で理学療法士は病院の規模によって配置される人数が決まるのですが、1つの病院に置いて1人、多くても数人という病院がほとんどのこと。そうなると、患者さんのリハビリに対応するのに負担がかかってしまいます。患者さん側にとっても、リハビリを進められないと困ってしまいますよね。

AI(人工知能)なら、この人手不足を解消できる可能性があります。また、ゲームの機能や仮想空間でのシミュレーションがうまく活用することができれば、私たちもリハビリの時間が苦にならなくなります。

まえだまえだ
まえだまえだ

今後もしリハビリのお世話になることがあったら、AI(人工知能)をうまく使えれば楽しくできるかも!

そして当メディア(AIZINE)の運営会社お多福ラボでも、AI(人工知能)が姿勢を診断するサービス「Posen」を提供しています。なんと、このPosenでは大きな機械は特に必要なく、iPadと専用マットがあれば姿勢や骨格を診断ができるだけでなく、測定結果はスマートフォンでも見ることが可能になっています。

※Posenとはどんな商品なのか、はこちらの記事ををご覧ください

例えば座ったり立ったりする動きも、リハビリでは必要になってきますよね。そんな時にこのようにAI(人工知能)で簡単にチェックできるようになれば、患者さんも理学療法士さんも納得してリハビリを進めることができるに違いありません。ちなみに専用マットもiPadもないけれども試してみたい!という方はこちらのサイトにスマートフォンでできるデモがありますので、ぜひこちらをご覧ください↓

AI骨格分析システムPosen

このようにAI(人工知能)も理学療法士さんも、得意分野を生かせるようになるでしょう。そうすることによって、患者さんである私たちがより楽しくリハビリを受けたり、リハビリが短い期間で終わるようになるに違いありません。

まとめ
ということで、「リハビリでAI(人工知能)が活躍した事例」についてお伝えしました。今回の内容をざっとまとめましょう。

  • リハビリとは、人間らしい生活を送るための訓練のこと
  • 今、リハビリにAI(人工知能)が活用されている。それはAI(人工知能)がデータを記憶、分析するのが得意だから
  • NECと北原病院グループがリハビリの計画を作成するのにAI(人工知能)を活用している
  • トヨタ自動車のロボット「ウェルウォークWW-2000」では、リハビリでAI(人工知能)を使ってリアルタイムに歩く姿をフィードバックする
  • メキシコの国立神経外科研究所では、仮想空間でリハビリを行い、AI(人工知能)が評価するシステムを研究している
  • 今後も高齢化社会に伴い、リハビリの需要が増えるだろう。AI(人工知能)はリハビリのサポートをするに違いない

AI(人工知能)がリハビリを行う、と聞くと「なんだか温かみがなくて寂しい」「ちょっと抵抗がある」と感じる人がほとんどかもしれません。しかし、決してAI(人工知能)が全てのリハビリを行うわけではないので安心してください。これからは人間が得意な「コミュニケーション」「温もり」などの部分は理学療法士・作業療法士さんにお任せしつつ、AI(人工知能)は私たちにあったリハビリを提案してくれます。

そうなったら、患者さんである私たちも安心してリハビリを受けるようになりますよね

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