製品設計を担当する人にとって、PDMシステムが社内のデータ管理体制をどのように改善してくれるのかはとても気になりますよね。
しかしPDMを採用している会社はまだ少数ですが、導入することにより業務効率の向上が見込めるでしょう。
そこで今回はPDMを導入しようか検討している人のために、PDMとは何かやPDMシステムについて。またおすすめPDMシステムについてお伝えしましょう。
そもそもPDMとは何か
製品に関する情報はCADデータ以外にも多数存在しますが、それらの情報は工程や部門ごとに管理されることがほとんどで、連携やコミュニケーションがうまくいかず解消すべき課題と考えられてきました。
この二つにはどの工程を管理しているかという点で大きな違いがあります。PDMは製品設計に関するデータのみを一元的に管理するものですが、PLMは製品に関わる全てのデータを管理して開発効率の改善を目的としています。
PDMはライフサイクル管理の中に組み込まれており、PLM実現を担う仕組みの一部であると考えると分かりやすいかもしれません。
※ もう少し詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
PDMシステムとは
PDMという言葉の意味を解説したところで、次にPDMシステムの機能について説明します。PDMシステムの機能は以下の5つです。
製品データの管理
BOM(部品表)の管理
さらに部品や付属品の在庫不足・過剰といった問題に悩まされることもありません。また変更されたBOMデータの比較も容易に行えます。
ワークフローの管理
工程ごとに申請・承認を行えるので、業務進行の遅れや担当者による確認がされていない状態を未然に防ぎます。
検索機能
セキュリティ機能
PDMシステムを利用するメリットとデメリット
以上でPDMの機能についてより理解が深まったのではないでしょうか。
続いてはPDMのメリットとデメリットを説明していきます。まずメリットは以下の2点。
情報の一元管理による開発期間の短縮
製品開発の現場では扱うデータが膨大になりがちで、情報がどこにあるのか、バージョンは最新かなど確認する手間がかかりますよね。また従来のように部門、チームごとに管理するやり方では、共通するデータの更新のタイミングが異なるなどの問題が発生します。
このように情報の共有、検索、連携に時間がかかると、開発に遅れが生じる可能性も否定できません。
目まぐるしく変化する市場シェアに対応するためには迅速な製品開発が求められますので、生産性の向上は激しい競争に打ち勝つための重要な要素だといえるでしょう。
ワークフロー標準化による品質の向上
ワークフローの標準化は既存の業務プロセスの見直しにもなりますから、より良い開発体制を常に実現できるでしょう。
粗悪な商品提供は会社の信頼を落としかねません。製品の品質は会社の存続にも関わりますから、ワークフローの標準化は大きなメリットだといえますよね。
それでは続いてデメリットをお話しましょう。挙げられるのは以下の2点。
社員への教育が必要
せっかく導入したにもかかわらず効果的に使えなければ意味がありません。PDMの導入前、または導入してからも社員に対して教育を施す必要があります。
またPDMの運用にはITスキルを有した人材が求められます。システム導入の際にしっかりとしたサポートやトレーニングを受けられることが多いですが、実際に運用する人材に知識がなければ効果は出ないでしょう。
そういった人材が不足しているのであれば新たに雇わなければなりませんし、ITスキルを身につけさせることも必要になるかもしれません。
効果が出ているか判断が難しい
会社全体で運用に慣れるのにも時間がかかるでしょう。長期運用が前提となるので、PDMシステムの効果が出ているかの判断は非常に難しいといえます。
おすすめPDMシステム3選
PDMシステムのメリットとデメリットについて説明してきました。メリットはともかくデメリットはない方がいいですよね。
そんな人のためにデメリットを解消するようなPDMシステムを3つご紹介します。
Obbligato III(NEC)
「Obbligato」はNEC自身が製造業であるという立場から培ってきた知識や経験をパッケージングしたPDMシステムです。日本国内の多様なニーズへ迅速に応えるだけでなく、海外での拠点立ち上げなどグローバル化にも対応。
PDM導入により起こりうる課題に対して総合的にアプローチし、安定したシステム運用を支援します。
PLEMIA(富士通)
製品データ管理において従来のツールでは機能が足りず、本格的なPDMシステムではコストがかかるなど多くの課題がありました。しかし富士通が提供する「PLEMIA」は、情報管理における様々な問題を解決するためのシステムです。
PLEMIAを導入すればデータ共有とシステム運用が容易になり、生産性の向上が見込めるでしょう。
Aras Innovator(SCSK)
富士フイルムや日産自動車など、多数の大手製造業で採用されている「Aras Innovator」。
サブスクリプションサービスを利用することにより、6週間ごとの定期的なアップグレードなど幅広いサポートを受けられる点も魅力の一つです。
PDMシステムを導入する注意点
以上、おすすめのPDMシステムを紹介してきました。
上記のようなPDMシステムを導入すれば、より良い開発体制を築けるはず。しかしシステムを導入するだけでは十分とはいえません。そこで、ここからはPDMシステムを導入する際の注意点について説明します。
長期運用を前提とした体制を整える
PDMシステムは導入してすぐに業務プロセスが改善されるわけではなく、長期的な運用を前提としています。またPDMは全ての部署やチームを巻き込みますから、安易な判断で管理体制を変えてしまうと現場に混乱が生じるかもしれません。
管理方法が複雑すぎないか常に気を配る
業務プロセスの管理方法が複雑だと、せっかくPDMシステムを導入しても効果が出ないかもしれません。より効果的にシステムを活用するには、仕組みをシンプルにしましょう。
今回はPDMについてお話しました。PDMを用いればデータの一元管理から始まり、リアルタイム共有やワークフローの標準化など製品開発における多様な恩恵を受けられます。
しかし機能が豊富なだけに仕組みが複雑でうまく使いこなせず、効率性が低下してしまうかもしれません。そういった事態を防ぐためには、PDMシステムへの深い理解が必要です。現時点での問題点を洗い出し、どうすれば効果的にシステムを運用できるか模索していかなければなりません。
またPDMシステムの効果が表れるのには時間がかかりますから、導入してからも運用状況に気を配る必要があります。PDMシステムは上記で紹介した3つ以外にも多くの商品が提供されており、充実したサポートが受けられるものばかりです。
メーカーからの支援も受けつつ、長期的にシステムを活用していきましょう。
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