近年、本人確認のための顔認証や手書き文書の文字起こし、声紋の分析といった認識に関する技術が現在多く見られますよね。これらの技術を実現するパターン認識は注目を集める存在で、さまざまなパターン認識と機械学習の理論や技法が編み出されています。今後もパターン認識と機械学習は発展し、私たち人類にとってより一層強力なツールとなるでしょう。
とはいえ、パターン認識と機械学習にはどのような関係があるのか、そもそもパターン認識とはなにか、初心者にとっては不明な部分が多いように感じるかもしれません。また、パターン認識にはどのような種類があるのか、実用例にはどのようなものがあるのか気になるところ。
そこで今回は、パターン認識と機械学習について初心者にもわかりやすく解説します。まずはパターン認識そのものについて知らなければ始まりません。なので、最初にパターン認識がどのようなものであるか確認しましょう。
パターン認識ってなんだろう
パターン認識を簡単に説明すると、人間や動物が知覚できるような顔や文字、音声といった要素間に存在する特徴や規則性を見つけ出す技術です。特徴や規則性を見つけ出すのは人間や動物がごく自然におこなっている認識機能で、それをコンピュータで実行する自然情報処理のひとつがパターン認識ともいえます。そのため、パターン認識は機械らしい処理というより、極めて人間らしい活動でしょう。
普段人間が無自覚におこなっているパターン認識を、あえてコンピュータで実現することで生活をが便利になり、人間の労力の削減して、膨大なデータ処理を実現できました。
例えばパターン認識のひとつである顔認識システムが向上し、スマートフォンでは顔認証でロックをかけられるようになりました。また、工場での検品で外観から不良品であるかどうか判別する画像認識システムにより、人間の負担が軽減しています。他にも、手書き文字の読み取り精度が上がったことで、膨大な手書き文書を認識し、文字起こしを、短時間で処理することが可能となりました。
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次にパターン認識と機械学習の関係について解説します。まずはパターン認識と機械学習のうち、機械学習にとってパターン認識がどのような存在なのかについてです。
機械学習におけるパターン認識とは
パターン認識と機械学習はしばしばセットで語られることがあり、このことからも両者の関係性は深いことがうかがえます。では、まず機械学習とはどのような技術であるのか確認しましょう。
機械学習とは、最先端の科学技術のひとつであるAI(人工知能)を支える(より正確にはその一部)の技術であり、話題のディープラーニングも機械学習に含まれます。機械学習で実現させようとしていることは、人間のように学習と得た知識の応用をコンピュータにさせることです。
これは、声や音などの要素から規則性などを見つけ出すパターン認識とどことなく似ていますよね。これは一体どういうことなのか、ますますパターン認識と機械学習とはどのようなものか気になるところ。そこで、機械学習から見たパターン認識の位置づけという観点から、さらに掘り下げて解説します。
機械学習でのパターン認識の位置とは
パターン認識と機械学習の違いについて、さまざまな説明がありますが、統一した見解はありません。とはいえ少なくともパターン認識と機械学習は無関係ではないことは確実です。そして、パターン認識は機械学習の一部または同義でしょう。
そこで登場したのがパターン認識。パターン認識の登場により論理的に処理することの難しい処理、例えば手書き文字の解析などが可能となりました。その結果、機械学習の幅が広がり、いまやパターン認識と機械学習は切っても切り離せない存在です。
このようにパターン認識を機械学習の一部と考える場合もあれば、実際には同義であると考える場合もあります。パターン認識と機械学習はどちらも要素(情報)から特徴や規則性(知識)を得て、それをもとに問題解決を図るため、論理的枠組みにとどまるかは別とすれば、ほぼ同じような仕組みでしょう。
しかし、結局パターン認識の位置づけはどうなの、というのが気になりますよね。あえていえば、機械学習の中でも雑多な(非論理的な)データを含めて扱うのがパターン認識でしょう。
パターン認識と機械学習の関係性について解説しましたが、パターン認識にはどのようなものがあるのか知りたいところ。次にパターン認識にはどのような種類があるのか紹介します。
パターン認識の種類
図形や映像、動画など人間が知覚できるパターンというのは無数にあり、その分パターン認識の種類もたくさんあります。そのなかでも特徴的なパターン認識は次の3種類です。
顔認識
主に画像から人間や動物の顔を認識したり、誰が写っているのか見分けたりするパターン認識になります。大量のデータから人物や動物を特定するのにも活用されている技術です。
文字認識
文字や文章の認識や同定をするパターン認識で、かすれている文字や手書きの文書を読み取ったり、正しい文字に変換するために使われたりします。
音声認識
人間が発した音声を認識したり解析したりするパターン認識です。誰の音声なのか識別したり、音声を文字に起こしたりするために使われます。
パターン認識にどのような種類がわかったところで、続いて気になるのが実際にどのように使われているのかですよね。最後に機械学習を用いたパターン認識はどのように活用されているのか紹介します。
機械学習によるパターン認識の実用例
機械学習によるパターン認識はさまざまな業界で実用されており、今や欠かせない技術といっても過言ではありません。ここでは5つの技術を紹介します。
自動車の自動ブレーキ機能
最先端技術が使われる自動車ですが、パターン認識も自動ブレーキ機能にその技術が使われています。現在多くの自動車に搭載されている自動ブレーキ機能ですが、内部の仕組みは現在の速度と、パターン認識で割り出した前方の自動車との距離から、どのタイミングでブレーキをかければぶつからずに済むか計算するというものです。
医療現場での画像診断
がんや脳血管の狭窄、網膜症、手首の骨折にパターン認識が使われ、病巣の特定や病気の状態を把握が可能だとか。機械学習は画像データが集まれば集まるほど精度が上がる傾向にあるため、これからさらに一般的に普及し、データベースが充実することで新たなシステム開発が進んでいくことが予想されています。
カメラの自動フォーカス調整
スマートフォンやデジタルカメラで写真撮影をするときに、中央の四角が人間の顔に反応して大きくなったり、追いかけたりする(自動フォーカスする)のを見た経験がありますよね。ここにもパターン認識が用いられており、事前に人間の顔を覚えさせることで自動フォーカスし、撮影技術によらず人間の顔をきれいに撮影することを可能にしています。
外国語の翻訳
例えばGoogle翻訳というスマートフォンのアプリでは、撮影した画像上にある外国語を自動で日本語に翻訳することができますよね。これは文字認識によって画像内に存在する外国語を認識し、その結果をもとに翻訳がおこなわれています。
会議の議事録作成
仕事において会議は欠かせない業務のひとつで、後で振り返るために議事録作成が求められることが多いですよね。しかし、議事録作成には手間がかかり、数時間かかることもざらです。そのような背景から、声認識の技術を活かして自動で文字起こしするサービスが提供されており、十数分で議事録を作ることが可能となりました。
さて、今回はパターン認識と機械学習について初心者にもわかりやすく解説しました。パターン認識とは人間や動物が知覚できるような顔や文字、音声といった要素間に存在する特徴や規則性を見つけ出す技術で、言い換えると人間や動物が自然におこなっていて、極めて人間らしい技術でした。
パターン認識と機械学習の関係は、機械学習の中でも雑多な(非論理的な)データを含めて扱うのがパターン認識とまとめられるでしょう。そのため、機械学習の発展はパターン認識の発展につながり、その逆もしかり。また、パターン認識の種類として特徴的なものに、顔認識や文字認識、音声認識がありました。
機械学習によるパターン認識はすでに身近な多くの場所で使われており、例えば以下の5つです。
- 車間距離を認識して、自動車の自動ブレーキをかける
- 蓄積された画像データをもとに病気などの画像診断をする
- 人間の顔を学習し、カメラの自動フォーカス調整をおこなう
- 画像内の文字列を認識して外国語の箇所を日本語に翻訳する
- 音声データを認識・解析して会議の議事録を作成する
パターン認識と機械学習はこれからも一緒に発展すること間違いありません。パターン認識の発展は生活の向上へとつながるので、ますます応用されるのが待ち遠しいですよね。