「人工無能(無脳)」という言葉を一度聞いたことがある方もいますよね。しかし聞いたことがない方は「えっ何それ?」と急に不安になるかもしれません。
実はこの「人工無能(無脳)」身近なところでよく見かける存在なのです。
結論から言いますと、人工無能(無脳)はチャットボットの一種。チャットボットは最近、いろんなところでどんどん増えていますよね。LineやFacebook、TwitterなどのSNSの他、アプリもいろいろ出ています。
商品サイトなどでも「お問合せはこちら」と、まずはチャットボットに誘導されることが増えました。サイトの端にピョコン!と出現して、読みたい記事を邪魔するアレ、チャットボットであることが多いのです。
さてその人工無能(無脳)、どうしてそんなふざけた(?)名前なのでしょう。人工知能(AI)とはどう違うのでしょうか。
そこで今回は、人工無能(無脳)について詳しくお伝えしていきます。
人工知能と人工無能(無脳)そもそもの意味と違いについて
まずそもそも「人工知能(AI)って何だったけ?」とちょっと混乱している方のために先にご説明しておきましょう。
人工知能(AI)について
実は人工知能(AI)にはいろいろな解釈があり、専門家によって定義もさまざま。そして最近出てきた言葉のように感じますが、なんとその概念が誕生したのは1950年代です。まだ冷蔵庫や洗濯機が一般家庭に広まり始めた頃ですよね。そんな頃から「人工知能(AI)」という言葉があったとは驚きます。
その後「ディープラーニング」という新しい技術が生まれ、ようやく今実用段階にさしかかったところ。このような歴史の中で、人工知能(AI)のイメージは時代とともに移り変わってきました。
また人によっても人工知能(AI)のイメージは、お掃除ロボだったりドラえもんだったりと違うために、説明も十人十色なのでしょう。
人工知能(AI)とは、ここではごく簡単に、
- 人間のように考える機械やシステム
と定義することにします。この、「考える」というところがポイントです。
では続いて、人工無能(無脳)について解説します。
人工無能(無脳)について
上記で、人工無能(無脳)は「チャットボットの一種」とご説明しました。ですからまずはチャットボットの意味を先にチェックしておきましょう。
そのため、今活躍しているのはほとんどが人工無脳型。そういう理由から「チャットボット=人工無脳」と、ほぼ同じ意味として使われることも多いのです。
さて、人工知能(AI)と人工無能(無脳)、たった一文字違いのよく似た言葉ですが、その意味は全く違うものです。
- 人工知能(AI) : 人間のように考える機械やシステム
- 人工無能(無脳) : 人間のような会話を自動的にするシステム。
考えないから、脳が無い「無脳」、そしてそれが「無能」と揶揄されているのでしょう。なんとも不名誉な名前を付けられてお気の毒ですよね。
ではここで、チャットボットと人工無能(無脳)の関係について、もう少し詳しく確認しておきましょう。
チャットボットの分類いろいろ
チャットボットは大きく2種類に大別することができます。
- 人工無能(無脳)型チャットボット
- 人工知能(AI)型チャットボット
この2種類について、それぞれチェックしていきましょう。
人工無能(無脳)型チャットボット
人工無能(無脳)型は「ルールベース型」とも呼ばれます。自ら「考える」ことはせず、あらかじめ登録されたキーワードの中から、ルールにあった回答をするものです。
人工無能(無脳)型チャットボットはさらに、次の4つの系統に分けることができます。
- 選択肢型 : 事前に準備されたシナリオの中から、選択式で会話をする。
- Eliza型 : 相槌で返事をしながら、要約したり聞き返して会話する。
- 辞書型(ハッシュ型) : キーワードと、辞書に登録された単語の組み合わせで会話をする。
- ログ型 : 会話の記録を蓄積し利用する。会話のパターンを参考にして返す。
こんなふうに系統立てて考えるとチャットボットもなかなか奥が深いですよね。次はもう一方の人工知能(AI)型チャットボット、賢い方についてのご説明です。
人工知能(AI)型チャットボット
人工知能(AI)型チャットボットは、「機械学習型」とも呼ばれています。大量の会話データ(ビッグデータ)をもとに学習し、状況に見合った返答や提案をしてくれる、とても有能なチャットボットです。
回答がパターン化している人工無能(無脳)型に比べて、より人間の思考に近い判断ができるのですが、まだ開発途上というから残念ですよね。手間とコストがかかりすぎるのが問題なのでしょう。
人工知能(AI)型は、人工無能(無脳)型チャットボットに一部組み入れる形で利用され始めたところです。
では次に、人工無能(無脳)型チャットボットは、「そんな名前だけど、本当に役にたつの?」という疑問にお答えしていきます。
名前の割に意外と使える人工無能
コミュニケーションを楽しむためのチャットボットならいいのですが、企業がサービスに利用するとなると、正確さが何より優先されます。
もし最新のAI(人工知能)型チャットボットを導入しても、予期できない質問に間違った回答をされては信用問題でしょう。変な回答をされるくらいなら素直に「わかりません」と答えてもらった方が助かりますよね。
その点、人工無能(無脳)型の単純なタイプは、登録されたシナリオ通りに進めば的確な回答が期待できます。現在はこの人工無能(無脳)型のチャットボットがあちこちで大活躍。SNSではLine、Facebook、Twitterなどでよく見かけます。Lineでヤマト運輸の配送確認などを利用されている方も多いでしょう。
その他ではインターネットでのサポート窓口でよく、人工無能(無脳)型のチャットボットを見かけます。「よくある質問」のページにあるQ&Aなどを自動で回答してくれるので便利ですよね。「解決しましたか?」の質問に「いいえ」を選択すると、そこで初めてスタッフへの連絡先を教えてくれる場合も。
慣れないと面倒に感じますが、チャットボットなら365日24時間対応してくれるのが大きなメリットと言えるでしょう。
さて、最近は人工無能(無脳)型を人工知能(AI)がお手伝いしているケースが増えています。次に具体例をあげてご紹介していきましょう。
人工無能(無脳)と人工知能(AI)が手を組めば?
現在、人工無能(無脳)型チャットボットは、「考える」ことはできません。人工知能(AI)型の方は、膨大な会話のデータを集めていくことによって、少しずつ精度の高い、賢い会話ができるようになっていくのでしょう。
でも、データのメンテナンスも必要になるため、手間とコストが実用化の妨げになり、自然な会話で活躍できるのはもう少し先のことになりそうです。
- ・商品の提案
- 医療分野で簡単な問診
- 行政機関の問い合わせ窓口
このようなところで活躍し、人員削減・コスト削減に一役買っているのです。
今回は人工無脳(無脳)についてお話しました。人工無能(無脳)、と最初に聞いた時は、人工知能(AI)をもじってふざけているだけだろうと思った方もいますよね。
でも、ちゃんとした意味があったのです。それも私たちの生活の中で想像以上にさまざまな場面で活躍していました。
今はまだ、人工知能(AI)による自然な会話は難しい段階ですが、研究は日々進化しています。しかし10年も経てば「人工無能(無脳)って」と笑い話になる日がくるのでしょう。その頃には、インターネットも全く別物に進化しているに違いありません。
チャットボットがピョコン!と、読みたい記事を邪魔することもあるかもしれませんが、未来のチャットボットはタイミングを計って、チャットボットから自然に話しかけてくれるようになるかもしれません。そのように、10年後は人工無脳(無脳)が進化を遂げていることでしょう。