自動運転と聞くと、「えっ〜、、、まだまだ先で、技術的にムリ!映画の中だけの話でしょ?」なんて思ってしまいますよね。ところが、その一見すると現実離れしたような話が、いよいよ現実味を帯びてきました。
自動運転って言えば…、、行き先を言うと、こっちが運転しなくても車が勝手に連れてってくれるアレでしょ?
私たちが思う自動運転は、運転席が無人で(…あるいは人が操作しなくても)勝手に行きたいところへスイスイ車が連れて行ってくれる。。そんな様子をイメージするかもしれませんね。
映画好きなら…いや、映画好きな人じゃなくても、金曜ロードショーあたりで1度は見たことがあるかもしれない映画「トータルリコール」。この映画では、主人公が運転手のロボットへ行き先を告げると、自動で目的地まで連れて行ってくれるシーンがあります。
あ〜〜!あのシュワちゃんが出てた映画だよね〜!!って…1990年上映なの!?もう30年近く昔の映画なのに…そんなときから自動運転の考え方ができてたんだね!!
トータルリコール以外にも、このように漫画やテレビなどを通して「自動運転の技術」について、ほとんどの人が今までにも見聞きしたことがあるでしょうが、実際に「全自動で走る車が、公道で走っているか?」というと、そんなことありませんよね。
しかし、近年のテクノロジーの劇的な進歩にともない…いよいよこの自動運転技術が現実味を帯びてきつつあります。たとえば、コチラは車のCMでおなじみのドイツ「アウディ社」の展示会の様子です。この映像では自動運転で走る車を車内から撮影して紹介しています。
Ghostrider. #audiberlinale #piloteddriving #AudiA8 pic.twitter.com/WPsqjaTHu4
— Audi (@AudiOfficial) 2017年2月11日
おぉおおお!!ホントに無人で動いている!!!
…って、、なんでコレ早く発売しないのよ〜〜!!もう実物(自動運転車)はできてるんだから…他に何が問題だっていうの!?
このように技術的には、かなりハイレベルまで自動運転技術が確立されていますが…では、「なぜまだ一般的に利用できないのか?」について気になってくるところでしょう。
そこで今回は、自動運転の現状や課題を踏まえて、自動運転があるおかげで私たちの生活がこれからどのように変化していくのかについて深掘りしてお伝えしていきます!
自動運転が実現するために…必要な技術と移行期間とは?
まず、自動運転に必要な技術について触れる前に…自動運転が私たちの身近になるまでには5つ段階を経る必要があるので、この移行段階について先に触れておきましょう。
やっぱり一足飛びには行かないか!車って身近すぎて意識しにくいけど、使い方を間違うと、かなり危険だもんね〜〜。。
「自動運転」と聞くと多くの人が、道路(公道)や駐車場、敷地内でスイスイ自動で動いてくれることを想像しますが…その状況を叶えるには、段階を踏んで自動化を進めていかなくてはなりません。
たとえ全て自動化が技術的に可能な車があったとしても、人々の意識を変えたり、法整備や教育を整備していくには…ある程度の時間、つまり「段階」を経る必要があります。
多くの人が夢見る「ハンドルも握らず、ただ座席に座っているだけでクルマがどこでも連れてってくれるわ〜♪」の状態を実現するには、この図で言うところの「レベル5」の段階になる必要があるのです。
表にある自動運転レベルの内容を詳しくまとめると…
運転手がすべて操作する
レベル1
システムが加速減速orステアリング操作のどちらかをサポートする
レベル2
システムが加速減速+ステアリング操作の両方をサポートする
レベル3
ある特定の場所では、システムが全て操作し、緊急時はドライバーが操作する
レベル4
ある特定の場所では、システムが緊急時も含めてすべて操作する
レベル5
場所をとわず、システムがすべて操作する。
レベル1〜2までは、人の運転をシステムがサポートしてくれる…「運転支援」のレベルなんだね!
今の現状では「レベル2=運転支援」の段階まで実現できていますが…「レベル2とレベル3」の間には法整備以外にも、実は多くの技術的な壁があります。
自動運転(レベル3以上)実現にむけてクリアすべき6つの技術
レベル2とレベル3の溝を超える…つまり、システムに運転制御を(一部でも)任せれるか?については、法整備以外にも以下の6つの技術をクリアできるかどうかで決まります。
- センシングの高度化
- 認識・判断の高度化
- 測位技術の高度化・高信頼性化
- 外部情報との連携
- システムの安全性・信頼性向上
- HMI・ドライブレコーダーの高度化
ん〜〜。。聞きなれない言葉ばかりでチンプンかんぷんなんだが。。。(^^;
これだけでは少しわかりにくいので、それぞれ各項目についてもう少し詳しく見てみます!
センシングの高度化
センシングと聞くと、あまり日常で使わない言葉なので聞きなれない言葉かもしれませんが…辞書的な意味だと下記のように定義されています。
センサーを利用して物理量や音・光・圧力・温度などを計測・判別すること。
引用:goo辞書
完全な自動運転を実現するためには、正確に周りの状況を認識する必要がありますが…これにはセンシング技術の精度を高めて、
・障害物(落下物・歩行者・自転車など)
・信号や道路標識
・車線や走行線
といった、安全に走行するために必要な情報を正確に読み取れるように必要があるのです。
周りの状況を正確に理解するために…センシング技術を高める必要があるんだね!
認識・判断の高度化
安全で快適な走行を実現するには…周囲の状況を読み取るだけではなく、それを最適に判断する能力が必要です。つまり、人間の運転手みたいに瞬時に状況を判断して、同じ失敗を繰り返さない「頭脳」が自動運転実現には不可欠になります。
この「頭脳」の役割をになってくれるのがAI(人工知能)です。AI(人工知能)は現状にあった走行を判断してくれるだけでなく…今までに走行した周囲の情報をストックしたり、事故に繋がりそうだったできことのデータもストックして、今後の事故回避のために学習してくれます。
高度なAI(人工知能)が、車の操作や最適ルートを判断してくれるんだね!
測位技術の高度化・高信頼性化
測位という言葉も、あまり日常で使われにくい言葉ですが…ここで言う「測位技術」とは、衛星から見た車の位置情報であったり、道路の状況を3Dポリゴンのように立体的に把握する高度な技術のことをさします。
自動運転レベル2(運転支援レベル)の現時点でも、多くの車に測位技術が搭載されていますが…レベル3の自動運転になるとより高度な測位技術が必要になります。
より立体的に道路状況を把握することで、スムーズな走行ができるんだね!
外部情報との連携
外部と繋がることで、より多くの情報を共有することができます。ここで言う「外部」とは、インターネット上のクラウドサービスであったり、自分以外の車(外部の車)などをさします。
外部のクラウドサービスに、過去の事故データや道路走行のデータを共有しておけば…みんなでその情報をシェアでき、より多くの人の事故防止に繋がります。また車同士の通信が可能となれば、さらに正確な車の位置情報を取得でき、これも快適な走行や事故防止の助けとなるのです。
他とお互い情報を共有することで…事故防止やもっと快適な走行に繋がるんだね!
システムの安全性・信頼性向上
自動運転のシステムが故障してしまったときには、大きな事故につながりかねません。とくにレベル4以降の自動運転においては、緊急時であってもシステムが運転をするようになるので…そのシステム自体が故障してしまって大惨事になります。
そういった状況を防ぐために、制御システムが故障したときのセーフティー制御の技術を組み込んでおく必要があります。
HMI・ドライブレコーダーの高度化
自動運転レベル3では、基本的な走行は車のシステムが行いますが…システムが故障したときや緊急時などには、まだ人が車を操作する必要があります。このため、常にシステム側でも運転手の状況を把握するために、ドライバーをモニタリングしておく必要があります。
もちろん運転手の状況だけでなく、周りの状況をより正確に把握するためにもドライブレコダー技術の高度化は必要です。
車の外だけでなく…車内の様子まで細かく把握することで、さらなる事故防止につながるんだね!
6つの技術的基準をクリアしたら?
「6つの基準」って聞くと「楽勝ww」なんて思ったけど…それぞれにとても高度な技術が詰まってて一筋縄では行かないなぁ。。。
たとえこうした基準をクリアしても…法改正まで完成しないことには、私たちが思う自動化が手に入りません。しかし…実は技術面では、かなりのレベルまでこの基準をクリアしているのです!
では、そこで気になってくる「今はどのレベルまで自動化できてるの?」ということについて…次の章では、その現状と課題を整理していきます!
ほぼ整いつつある自動運転技術。法整備がどうなるかが最大の課題?
現状を整理する前に、まず現在の車業界が、世界的に見ても市場の成長が鈍化していることについて触れておきましょう。
この理由を、多くの専門家がさまざまな角度から考察していますが…理由の1つに、すでに車業界が市場として成熟してしまっていることが考えられます。
たとえば、日本をはじめとする先進国では、すでに国内に車が行き渡ってしまって購買欲が少なく…一方で購買欲が旺盛な新興国では、「自国の商品を買おう!」という地産地消と考える人が多いのです。
これでは、車技術の前線を走っている先進国の輸出産業も冷え込んでしまいますし…実際に自動車の輸出大国であるはずの日本も、いまでは「消費<生産」になっているのが現状です。
そんな市場成長が鈍化している車業界で、新テクノロジーを搭載した自動運転車は新しいニーズに応え、市場を拡大することに貢献しているのです。
おぉお〜〜なるほど!だから車業界の大手は、こぞって自動運転の研究に力をいてれいるのか!!
冒頭でお伝えしたアウディー以外にも、すでに実在している自動運転可能な車があるので、ここでいくつかご紹介しましょう!
この他にも、冒頭のアウディにいたっては「レベル3=一部自動運転」の要項を満たした「8A」をリリースすると表明したが…法整備が追いつかず、発売が先送りになりました。
技術レベルでいうなら、レベル3を越える技術がもうほぼ完成されているんだね。と、なると…やっぱり法整備の壁が1番の課題かな?
自動運転技術が浸透し、私たちの身近になるには…法整備がいつのタイミングで整うか?が肝になってきます。
日本府が発表したロードマップ「官民ITS構想・ロードマップ」によると、2020年には高速道路でレベル3の自動運転を可能にするよう法律を整備する見通しとあります。
アウディ「8A」はちょっとフライングしちゃったけど…法整備がすぐ整うなら、いろんなメーカーからレベル3以上の技術条件を満たした車が登場してくるだろうね!!
そうなれば…テレビや雑誌の広告でもちろん、家のすぐ側の道路でも自動運転者がスイスイ走っている未来がくるかもしれません。
では次の項で、自動運転が実現した未来について、少し覗いてみましょう!
自動運転で叶う私たちの未来は?メリットだけでなくデメリットもあり
自動運転と私たちの未来について覗きたいなら…2017年上映された自動運転をテーマにした映画「ひるね姫」がとってもイメージしやすいでしょう。
神山健治、約2万字分語る!!『ひるね姫』細かすぎる設定が、DVD特典で解説へ #神山健治 #ひるね姫 https://t.co/otapiDELKs pic.twitter.com/VsEXVGGXfD
— シネマトゥデイ (@cinematoday) 2017年9月1日
映画の舞台は2020年の岡山で、東京オリンピック開幕のちょうど3日前から物語は始まります。
2020年というと…さっきまで話していた、自動運転を可能にするよう法律が整備されだす年じゃん!?
この映画の企画段階では、監督自身「自動運転なんてまだ先の話」と思っていたようですが、実際に自動運転走行ができる車が登場している今となっては…映画の話が、近い将来の話に感じるかもしれません。
自動運転が叶うと、私たちはたくさんのメリットを受け取ることができ、より豊かな生活をおくることができます。ここではそのメリットをざっと見てみましょう。
自動運転が叶うと…『メリット』
- 車が周りを監視してくれるので、自由に景色(旅)を楽しむことができる。
- 操縦ミスなどのウッカリ事故がなくなる
- 今までの運転時間を、仕事や睡眠など他のことを回せる。
- 高齢者やペーパードライバーでも、安心して車で出かけられる。
私ペーパードライバーだから助かるぅ〜♪ロボットが制御すると、人間みたいに脇見や居眠りみたいな人的ミスがなくなって、事故が少なくなるね!!
一方でデメリットとしては、以下のようなことがあります。
自動運転が叶うと…『デメリット』
- システムの故障により、事故が起きてしまう。
- 事後が起きた場合、責任の所在がどこにあるのか?判断しづらい
えぇえ〜〜!?さっき「事故が少なくなってイイね!」みたいなこと言った矢先に…事故がデメリットって。。。
確かに技術進歩とともに、自動操作の技術は進み人間よりも正確に状況把握ができるようになってきましたが、それでも「絶対に事故が起きない!」とは言い切れません。
実際に、過去にも自動運転による死亡事故は起きています。東京ではお馴染みのタクシー会社Uber(米ライドシェア最大手)は、2018年にアメリカで自動運転のテスト走行中に死亡事故を起こしたとして話題となりました。
最終的に、Uberと被害者の遺族との間で和解が成立したと報道されましたが…自動運転技術に対して、世界的にも大きな衝撃を与えた出来事でした。
自動運転のメリットはたくさんあるけど、まだまだ課題も多いね。
もちろんクリアすべき課題は多いですが…技術や法整備が整うと、先ほど紹介したデメリットも少しずつ減っていくことでしょう。
ということで、今回は自動運転の現状(今)と、これから(未来)についてお伝えしました。
冒頭でもお伝えしました「私の行きたいところへ、車が自動で連れて行ってくれる!」なんて、、ほんの数十年前までは漫画や映画だけの世界と思われていたでしょうが…それがココにきて現実的な話になってきました。
もちろん一足飛びに「完全自動運転化!」とはなりませんが…すでに政府主導で完全自動化までのロードマップができあがり、「自動運転レベル1〜5」の段階を経て私たちの生活に浸透していく流れも作られています。
自動運転を実現するためには高度な技術レベルを要しますが…この基準をクリアして「法整備さへ整えばリリースできる!」までこぎつけた車も存在しています。
自動運転が叶えば、さまざまなメリットも受け取れる一方で…やはりシステムの故障による事故など懸念もあります。しかし技術や法整備はさらに進めば、そういった懸念も最小限に抑えることもできるでしょう。
今の時点では…まだ自動運転って馴染みがないけど、、それも今のうちだけかな?
あと数年で…「ひるね姫」の世界が、私たちの目の前に広がってるかもしれませんね!
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映画「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」オフィシャルサイト
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