体調が悪くてクリニックに行こうか迷った時「今行ったら、逆に流行っている病気が移るかも」と心配になること、ありますよね。それに混雑した待合室で長時間待たされることを思ったら「家で寝ていたほうがまし」と、あきらめてしまいがち。
こんなお悩み、もうすぐ「過去のこと」になるかもしれません。今、AI(人工知能)のヘルスケア分野は着々と研究が進んでいて、医療業界は大きく変わろうとしているからです。
その変化は、病院での診断や検査、事務手続き、また薬の開発やウェアラブル端末でのデータ取得など、多岐に渡っています。
最先端の技術を知るのは、まるで「未来の世界」をのぞき見るような楽しさがありますよね。今回は「AI×ヘルスケア」の最新の事例を5つ取り上げてご紹介します。
医療業界はどんなふうに変わろうとしているのでしょうか? ではさっそく見ていきましょう。
AI×ヘルスケアとは
AI(人工知能)とヘルスケアはもともと相性が良く、かねてから研究が進められてきたのですが、最近はいよいよ実用段階にさしかかっています。
その点AI(人工知能)は、膨大な量のデータから瞬時に回答を導き出すのが大得意。それにAI(人工知能)は、疲れたり間違ったりすることなく24時間戦うことができます。(栄養ドリンクなしも!)
1,000億ドル・・・ちょっと凡人には見当がつかない数字ですが、AI(人工知能)とヘルスケアが「相性が良い」とされるのは納得できますよね。では最新の「AI×ヘルスケア」の活用事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は5つご紹介しますので順にみていきましょう。
AI×ヘルスケアの活用事例その1:乳がん診断
がんは今、日本人の2人に1人かかる病気で、3人に1人はがんが原因で死亡しています。そして乳がんは、日本人女性に最も多いがん。乳がんで死亡する率も年々増加しています。
マンモグラフィは女性にとって、精神的にも肉体的にもとっても辛い検査。できれば受けたくない検査なのに、診断に見逃しの可能性が高いなんて。命にも関わってくる問題です。
このAI(人工知能)システムの、1日も早い実用化を期待したいですよね。一般化すれば多くの命を救うことができるはずですから。
AI×ヘルスケアの活用事例その2:オンライン診断
もし新型コロナウイルスの症状に該当した場合は、かかりつけ医に(電話などで)相談を促し、公的な電話相談窓口へ誘導。かかりつけ医がオンラインで問診(場合により診察)すれば、院内感染のリスクや業務負担が大きく軽減されます。
このシステムが全国で導入されれば、「医療崩壊」の防止に役立つでしょう。一刻も早く普及してほしいですよね。
AI×ヘルスケアの活用事例その3:創薬研究
通常、臨床試験を経て承認される確率は約1/30000だといわれているので、「Cascade Eye」によって大きく効率化されたことになります。
人間が判断するとどうしても思い込みに影響されたりバイアスが働いたりするもの。しかしAI(人工知能)なら人間が見逃しがちな点も網羅して応用することが可能です。
今後適正な治験を行った後、新型コロナウイルスの治療薬として活用が期待できるでしょう。
AI×ヘルスケアの活用事例その4:ウェアラブル端末
AI(人工知能)とヘルスケアのすばらしい活用事例のひとつとしてあげられるのが、ウェアラブル端末の普及。
例えば、座っている時間が長いと「そろそろ立ち上がりましょう」、運動が足りないと「(今日運動するのに)まだ間に合いますよ」、ストレスで呼吸が浅くなっていると「深呼吸しましょう」など。もう至れり尽くせりですよね。
ウェアラブル端末の中には血中酸素濃度を測定できるものもあり、睡眠時無呼吸症候群が心配な方は自宅でチェックすることも可能。
今まで病院で検査するか専用の計測器具がないとわからなかったことが、身に着けておくだけで常時計測・分析できるようになったのですから大きな進化ですよね。
ウェアラブル端末は、AI(人工知能)によるヘルスケアの技術で健康的な生活が実現する良い例だといえるでしょう。
AI×ヘルスケアの活用事例その5:介護ロボット
2020年2月に開催された「東京ケアウィーク2020」では、最新の介護用品や設備が展示されました。
Aeolus Robotics(アイオロス・ロボット)ができることは、
- カゴに入った荷物を持って、エレベータを使って違う階の目的地まで運搬。
- センサーで利用者の転倒を検知し、スタッフのスマホに通知。
- スピーカーを内蔵しており、スマホで会話が可能。
- ナースステーションで利用者の状況を確認、必要に応じて見回りを行う。
このような動作が可能で、夜間スタッフの業務負担の軽減に貢献できます。また2020年末には、
- AI(人工知能)による画像認識で、服薬時、介助者の薬の取り違え防止
- 認知症の方の徘徊を防止
これらの仕事をマルチタスクで行うことをめざしています。こんなロボットが病院や施設で活躍してくれれば、病院や施設のスタッフは大助かりですよね。利用者のアイドル的存在になるかもしれません。
以上、「AI×ヘルスケア」の活用事例を5つご紹介しました。最後に今後の見通しについてお話しましょう。
AI×ヘルスケアの今後とは
今後、「AI×ヘルスケア」の市場規模はどうなっていくのでしょうか。
AI(人工知能)のヘルスケア分野の今後は、アメリカの巨大ITグループ、GAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)の動向が鍵を握っているといえるでしょう。
このように、GAFAはそれぞれ自前のプラットフォームを持っており、そのビッグデータを活用して今後ヘルスケア部門に投資していくようです。今後、「AI×ヘルスケア」は、間違いなく急成長していくでしょう。
日本がGAFAに対抗するのは無理だとしても、独自の視点で技術を応用するのは得意分野ですから、この世界の潮流にのって医療業界の大改革を期待したいですよね。
今回は、2020年度の「AI×ヘルスケア」活用事例を5つと、今後の見通しについてお話しました。
ヘルスケアと一言でいっても、「予防」まで含めるとその範囲はかなり広くなります。ですので今回は「医療」関係を中心にご紹介しましたが、それでもさまざまな分野がありました。
巨大ITグループ4社「GAFA」の「AI×ヘルスケア」への取り組みは、その本気度に圧倒されましたよね。10年後、20年後はどのようになっているのか、想像するとワクワクしてきます。
今後AI(人工知能)が診断をするようになれば、人気クリニックへの集中も少しは緩和されそうです。ドクターの評価基準は「診断技術」より「人間性」にシフトしていくでしょう。
とりあえず、スマホを使ったクリニックの予約や問診が当たり前になれば、憂鬱な「待ち時間問題」から解放されそう。でも、高齢者にとってクリニックの待合室は大切な社交場。それがなくなってしまうのは少々お気の毒な気もします。
これからは、元気な方にはジムで汗を流していただき、具合の悪い方は「自宅のベッド上でオンライン井戸端会議」。コミュニケーションの形も、時代とともに変化していくのでしょう。
病める時も健やかなる時も、老いも若きもすべての人が、最先端の技術の恩恵をあずかることができる社会になると良いですよね。
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