機械学習をする際には自身のPCスペックについてしっかり把握し、条件を満たしているのか確認しなくては満足に動かせませんよね。中でも処理速度を左右するGPUの有無は大きなポイントになりますが、具体的にどのようにGPUを確認すればよいのかはわかりづらいでしょう。
GPUはCPUと同様にPC内の情報処理を行う部品です。CPUが全般的な処理を受け持つ一方で、GPUは画像処理に特化している違いがあります。ついこの間までは高画質のゲームなどをする目的で利用されていましたが、最近は機械学習や仮想通貨のマイニングなどで活躍するようになりました。
とはいえ、機械学習は計画的に準備を進めなければ効率的な習得は難しいです。ぜひ、この記事でしっかりと大切なポイントとなるGPUについて正しく理解をした上で始めましょう。
そこで、今回は機械学習をこれから始める初心者の人に向けて、どのように自分のPCのGPUを確認すればよいのかを具体的にお伝えします。
そもそもGPU(グラフィックボード)とは
まずはGPU(グラフィックボード)とはどのようなものなのか、以下で簡単に説明しましょう。GPUとは正確には「Graphics Processing Unit」と呼ばれるもので、その名前の通り画像処理を行うための演算装置です。
ちなみに似た言葉であるCPU「central processing unit」は日本語で中央演算処理と呼ばれており、PCの操作に関わる入出力を全般的に処理している演算装置になります。そのため、PCにおいてCPUは絶対に必要なパーツですが、GPUは画像に関する処理があまり必要ない場合には、無くても困りません。
ただし、機械学習をする際の大量のデータ処理を行う場合ではGPUは非常に重要なパーツになります。これは画像処理に特化しているGPUの方がCPUよりも、はるかに高速で演算できより効率的に機械学習を進めていけるからです。
ですので、これから機械学習を始める場合には自分のPCにGPUがあるのかの確認が必要になります。GPUの有無で差が付くこともあるので、本格的に習得したいならばGPUの確認は必須でしょう。
機械学習を行う場合の、GPUのチェックポイント
機械学習を行う場合にはGPUの以下の点に注目しましょう。
- GPUの種類
- GPUのメーカー
- GPUの性能面
まず、1にあるように機械学習を行う場合はGPUの種類の確認が必要です。実はGPUには大別すると外付けタイプと内蔵タイプがあり、これらによってメリットやデメリットが違います。
例えば、内蔵型のGPUでは消費電量や発熱が少ないというメリットがありますが、性能面では外付けタイプに劣るというデメリットも。一方で外付けタイプのGPUでは性能が高いというメリットがありますが、内蔵型よりも消費電量や発熱が多く、値段自体が高いというデメリットがあります。
次に、どのメーカーのGPUのメーカーなのかの確認も必要です。ちなみにGPUのメーカーは「NVIDIA」と「AMD」の2社が存在しており、前者は「GeForce」後者は「Radeon」という主力製品をリリースしています。
ゲームなどでのGPUの利用であればどちらでも問題はありませんが、機械学習においてはNVIDIA社のGPUを選ぶことが大切です。これは機械学習にGPUを活用する方法をNVIDIA社の製品で行ったことから始まったため、多くのフレームワークがNVIDIA社に対応しているからです。
最後に、3にあるようにGPUの性能面についても確認が必要です。なお、この性能面とはGPUのスペック内で以下の4つをみればわかります。
- TFLOPSの数値
- メモリの数値
- メモリ帯域幅
- コアの種類
簡単に説明していくとTFLOPSとは、浮動小数点の計算を1秒間に何兆回できるのか表した指標であり、数値が高いほどGPUの計算速度が速いと判断できます。メモリの数値はGPUのメモリ容量を表すものであり、大きい数値であるほど機械学習では困りません。(機械学習のモデルによってメモリ要件が存在しているため)
メモリ帯域幅とはGPUでデータのやり取りをする際に、どれくらいのデータを送信できるのかを表すもので、数値が高いほど機械学習での計算が速くなります。特にRNNなどのモデルを扱いたい場合には重視したほうがよいです。
コアの種類についてはNVIDIA社のGPUではTensor Coreという表記がなされていれば性能が高いです。こちらは機械学習用に設計されたコアであり、コア数が多ければ機械学習を円滑に進められるでしょう。
GPUについては似た名称の型番が存在していますが、以上のポイントをよく見ていけば、性能や値段を簡単に比較できます。ちなみにハイエンド向けのGPUは以下のようなスペックです。
これはあくまでも参考ですが、最上級のGPUは非常に高性能な作りになっているでしょう。もちろん、これほどのGPUを使わなくても機械学習はできるので安心してください。
自分のPCのGPUを確認する方法
それでは、自分のPCのGPUを確認する方法を説明しましょう。まずは、OSがWindowsとMacの場合に分けて最も基本的なGPUの確認方法をお伝えします。
Windowsの場合
自分のPCがWindowsの場合には、タスクマネージャーから確認するのが最も簡単です。なお、タスクマネージャーはPCの画面下のタスクバーを右クリックすれば、一覧に表示されているのでそこから開くか、キーボードの「Ctrl+Alt+Delete」を同時に押せば表示されます。
CPUと同様に処理を行っているGPUはOSが適切に更新されていればタスクマネージャーを開き、パフォーマンスタブをクリックすることで使用状況が表示されます。そこに製品名が記載されているので、どのメーカーのGPUなのかすぐに確認できるでしょう。
Macの場合
自分のPCがMacの場合には、Macメニューから手順を踏むことで確認できます。まず、Macメニューのアップルロゴをクリックし、「このMacについて」を選択しまましょう。すると使っているMacのOSやプロセッサなどが表示されるので、そこから簡易的な確認が可能です。
もしGPUの性能が足りなかったら、やるべきこと
GPUを確認した結果、機械学習を行っても問題ないような性能であることがわかることもあれば、そうでない場合ももちろんありますよね。自分のPCに性能があまりよろしくないGPUがあることが確認できた場合の対処方法を以下の3つお伝えします。
- 性能のよいGPUに買い替える
- 現状で妥協する
- クラウドで学習する方法をとる
まず、1にあるように性能のよいGPUに買い替えられないか検討しましょう。資金的な余裕があればGPUを買い替えてしまうのが、性能が足りない場合のもっとも手っ取り早い方法です。
したがって、資金の余裕がありGPUが市場に出回っている場合は買い替えを検討しましょう。次に、2にあるように現状で妥協するという選択もあります。これは確認したGPUの性能が足りない場合に、機械学習の効率をある程度犠牲にして学んでいくというものです。
最後に、3にあるようにクラウドで学習するという方法があります。この方法はクラウド上の仮想マシンを利用して機械学習を行う方法で、有名なのがGoogle社の「Google Colaboratory」です。
こちらは環境構築を行わずにブラウザ上でPython環境が利用でき、GPUを使って機械学習ができるというサービスになります。適切な設定を行わなければ実行結果が消失してしまうなどいくつか制限がありますが、無料で利用できるのは非常にありがたいですよね。
自分のPCのGPUの性能が心もとないときには、クラウドで学習する方法もぜひ検討してください。それでは、次の章ではどのようなGPUが機械学習におすすめなのか、GPUの確認や買い替えの際に役立つ情報を紹介します。
機械学習におすすめのGPU
それでは、機械学習におすすめのGPUを具体的な型番を上げて紹介しましょう。まず、メーカーについては「NVIDIA」社の「GeForce」シリーズがおすすめなので、そこから性能順におすすめを紹介します。
- 学習のための機械学習を行う場合:GTX 1660、RTX 2060、RTX 2070など
- 本格的な機械学習を行う場合:RTX 2080Ti、RTX 3060Ti、RTX 3090など
機械学習をとりあえず学んでみたい初心者の場合には、フルスペックのGPUでなくても問題ありません。そのため、上にあげたGTX 1660やRTX 2060などの性能を持つものを選択するとよいでしょう。このレベルであれば5~10万円ほどで購入でき、コストパフォーマンスに優れているのでおすすめです。
資金に余裕があり今後本格的に機械学習を学びたい場合には、上にあげたRTX2080TiやRTX3090といった高スペックのGPUがおすすめです。これらのGPUであれば問題なく効率的な機械学習ができるので、利用できる場合には検討しましょう。
ただし、最低でも15万円以上はする高価なものなので、しっかりとどのモデルを購入するのかよく比較した上で選択してください。例えば、同じ価格帯のGPUであっても微妙な性能の差があり、それがコストパフォーマンスに響くことがあるので注意しましょう。
GPUを確認したら、次にやるべきこと
自分のPCのGPUを確認し、性能面に問題がないかどうかわかった後には以下のことをやりましょう。
- 他のハードウェアについて確認する
- 必要なソフトウェアについても把握する
まず、1にあるようにGPU以外の他のハードウェアについて確認しましょう。こちらはCPUの世代やメモリ容量、ストレージの規格などについてです。機械学習ではGPUが重要ですが、それ以外のハードウェアも計算の速度や時間などに影響を与えます。
というのも機械学習はメモリが十分なくてはプログラミングや快適に動作できません。また、ストレージの規格がSSDではなく、HDDであると書き込みに時間が掛かり、容量も十分なければデータ量の多い機械学習はできません。
さらに、CPUの世代も古ければGPUが行う以外の処理速度に差が生まれてしまいます。したがって、以下のスペックを参考にして、自身のPCのハードウェアに問題がないか確認しましょう。
- CPU:最低でもCorei 3以上
- メモリ:8GB以上
- ストレージの規格:SSD 512GB以上(容量が足りない場合にはサブにHDDを置く)
以上を満たせば機械学習を行うにあたって問題のないスペックを有していますが、性能が足りない場合には増設したり、CPUを変更する必要があります。そのため、現状をしっかりと確認した上で、問題がある部分があれば何らかの対処を行うようにしてください。
次に、2にあるように必要なソフトウェアについても把握しましょう。機械学習についてはプログラミング言語のPythonを利用して行うことが多いですが、扱うには当然PC内で環境構築が必要になります。
このほか機械学習ではライブラリを導入したり、GPUを利用して機械学習を行うためのソフトウェアの導入も必要です。したがって、どのようなソフトウェアをあらかじめ用意しておくのかよく調べておきましょう。
さて、今回は機械学習をこれから始める初心者の人に向けて、GPUの確認方法などを含む以下の内容をお伝えしました。
- GPUとは画像処理を行うための演算装置であり、GPU自体ははチップを意味する言葉である
- GPUの確認時にはGPUの種類やメーカーを確認する
- GPUを確認する方法はOSによって異なりますが、Windowsならタスクマネージャー、MacならMacメニューから確認できる
- GPUの性能が足りない場合は買い替え考えたり、クラウドの利用などを検討する
- 学習のための機械学習を行う場合にはGTX 1660やRTX 2060、RTX 2070、本格的な機械学習を行う場合にはRTX 2080TiやRTX 3060Ti、RTX 3090などを選択する
- GPUを確認したら他のハードウェア、必要なソフトウェアも把握する
機械学習の初心者にはわからないことも多いですが、まずは要となるGPUをしっかり確認することが大事です。そうすれば、そこからどのように対応すればよいのかは自ずとわかるでしょう。
ぜひ、ここから機械学習を始め、将来はAI(人工知能)や便利なサービスを開発しましょう。
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