現在、AI(人工知能)はスマホや家電など多くの製品に活用されており、既に私たちの社会生活には欠かせない技術になっていますよね。
このようにAI(人工知能)は、今後の社会や経済に大きな利益をもたらしてくれる技術と大きく期待されている一方で、AI(人工知能)エンジニア不足のため多くの企業が開発を進めることができない、という深刻な問題も発生しています。
そこで、こういった問題に対しGoogleは、AI(人工知能)開発の敷居を大きく下げることにより、誰でもAI(人工知能)が作れる社会の実現に向けた取り組みを行っています。
すべての人たちがAI(人工知能)の力を活用できるようになれば、社会を大きく変えることができるはずである、というのがGoogleの考えで、AI(人工知能)の民主化とも呼ばれています。
ということで、今回はGoogelが進めるAI(人工知能)の民主化とはどういったものなのか、一緒に考えてみましょう。
専門知識がなくてもAI(人工知能)を構築できるAutoML
Googelは「AI(人工知能)のテクノロジーが誰にでも届けば社会は大きく変貌する。これがGoogleがAI(人工知能)の民主化を行い、開発者や会社やユーザーのコミュニティが簡単にAIを使えるようにすべき理由だ」とAI(人工知能)の民主化に対する取り組みを発表、その後、新サービス「AutoML」の提供を開始しています。
AutoMLを利用することにより、プログラミングや機械学習などの専門知識がなくてもAI(人工知能)を簡単に構築できます。現在提供されているAutoMLより3点ご紹介します。
- AutoML Vision
画像認識用のAI(人工知能)モデルを作成できます。利用者が準備した画像データを学習させることで、画像認識モデルを構築できます。
- AutoML Video
AutoML Visionの動画版であり、動画認識用のAI(人工知能)モデルを作成できます。動画に含まれているオブジェクトの認識も可能で、用途としてはハイライト映像制作の自動化やCMの除去、大量動画の分類などがあります。
- AutoML Translation
Google翻訳の技術をカスタマイズできます。用途としては、各企業固有の専門用語や商品名などを含む文書の翻訳などがあります。
ところで誰でもAI(人工知能)を簡単に構築できると言われているAutoMLですが、具体的な使い方はどうなのか気になりますよね。それでは次に、AutoMLの操作手順について確認しましょう。
不良品判別などもできる!AutoMLの操作手順例
ここでは画像認識用のAutoML Visionの操作手順例として、工場における不良品判別を行うAI(人工知能)モデルを構築する場合についてご紹介します。必要な手順は以下の4stepです。
- AI(人工知能)の名称を登録
構築するAI(人工知能)モデルの名称として任意の文字列を登録します。 - 学習用画像のアップロード
良品および不良品の画像データをアップロードします。
(注:学習用画像のデータ件数としては数十枚程度以上が必要となります) - ラベル付け
アップロードした各画像データに対してラベル(「良品」あるいは「不良品」)を付与します。
(注:Googleは大量画像データへのラベル付け作業を代行してくれる「ヒューマン ラベリング サービス」を提供しています) - 学習の実行
画面上の「TRAIN」をクリックし学習を実行します。
上記手順でAI(人工知能)モデルが完成です。
それでは次に、構築したAI(人工知能)モデルによる良品/不良品の判定を行ってみましょう。手順は以下のとおりです。
- 画面上の「PREDICT」をクリック
- 判定したい画像(学習用画像とは別画像)を準備しアップロード
上記の結果、AI(人工知能)モデルが判別結果として例えば「不良品 0.852」と画面表示してくれます。これは今回構築したAI(人工知能)モデルが85.2%の確信度でこの画像を不良品と判断していることを示しています。
これなら誰でもAI(人工知能)を構築できそうな気がしますよね。
利用者がデータを読み込ませると、そのデータにあわせたアルゴリズムの調整などの面倒な作業の全てをGoogle側で自動で行ってくれるなんて、本当に便利です!
ところで、AutoMLによりAI(人工知能)の民主化を進めるGoogleですが、どうやら民主化の狙いは他にもあるようです。
巨額の利益を狙うGoogle
GoogleはAutoMLにより誰でもAI(人工知能)が作れる社会の実現を目指す一方で、現在の収入のほとんどを占める広告に代わる、莫大(ばくだい)な利益を得るための新たな手段として、AutoMLのサービス提供を進めていこうと考えています。
現在、世界的なAI(人工知能)ブームであることから、各企業間でプログラマやエンジニアの争奪戦が発生しています。しかしながら、もし誰でも使えるAutoMLが広く世の中に浸透し採用されることになれば、AutoMLはAI(人工知能)の標準開発環境としてWindows OSのように、誰にとっても「欠かせない」存在となる可能性もありますよね。
この場合、AutoMLはGoogleにとって現在の広告収入に代わる新たな金脈になるはずです。
以上、今回はGoogelが進めるAI(人工知能)の民主化とはどういったものなのか、一緒に考えてみました。
●AutoML
GoogleはAI(人工知能)の民主化に対する取り組みを発表した後、新サービスAutoMLの提供を開始しています。
AutoMLを利用することにより、プログラミングや機械学習などの専門知識がなくてもAI(人工知能)を簡単に構築できます。また、現在提供されているAutoMLより3点ご紹介しました。
- AutoML Vision(画像認識モデルの作成)
- AutoML Video(動画認識モデルの作成)
- AutoML Translation(Google翻訳技術のカスタマイズモデルの作成)
●AutoMLの操作手順例
さらに、画像認識用のAutoML Visionの操作手順例として、工場における不良品判別を行うAI(人工知能)モデルを構築する場合の手順についてご紹介しました。
- AI(人工知能)の名称を登録
- 学習用画像のアップロード
- ラベル付け
- 学習の実行
●巨額の利益を狙う
Googleは、誰でもAI(人工知能)が作れる社会の実現を目指す一方で、現状の広告収入に代わる莫大(ばくだい)な利益を得るための新たな手段として、AutoMLのサービス提供を進めてゆく考えです。
最後にAutoMLの活用事例を1件ご紹介しましょう。フリーマーケット用アプリを提供しているメルカリでは、ブランド品識別(どのブランドの商品かを判断)にAutoML Vision(画像認識)を活用しています。
従来より、同社ではGoogelのAI(人工知能)フレームワークTensorFlowを使用することにより、ブランド品識別モデルを自前で構築し75%の精度を実現していましたが、AutoML Visionに50,000枚の画像を学習させることにより、なんと精度を91%まで大幅に向上させることができました。
この例から見ても、どうやら、アルゴリズム調整はGoogleに任せた方が良さそうです!
このように、AutoMLの強みは、それぞれの企業および個人に特化したAI(人工知能)モデルの構築ができるところです。
これまでAI(人工知能)モデル構築を目指しながらも、ビジネス開発をどのように進めれば良いのか、開発に必要なスキルは何か、またどのようにスキルを身に付けて良いのか悩んできた企業や個人にとって、AutoMLは最強の機械学習サービスと言えますよね。
さまざまな企業や人がAutoMLを効果的に使うことにより、そして他社からも同様にAI(人工知能)を構築できるサービスがでてくることにより、AI(人工知能)の民主化が進むことを期待しましょう!
そして他社からも同様にAI(人工知能)を構築できるサービスがでてくるといいですよね!
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