現在のコンピュータゲームはAI(人工知能)技術を応用したゲームAIによってリアリティあふれる、さまざまなゲームが開発されていますよね。
最近はスマートフォンやタブレット端末などで、誰でもさまざまなコンピュータゲーム(以降、ゲームに省略)を手軽に楽しめる時代になり、2020年半ば時点で世界のゲーム人口は30億人を突破しました。
そして「もうすぐeスポーツ*1がオリンピック競技になるのでは」と取りざたされるほどゲームは、まさにこれから最盛期を迎えるような勢いがあります。
そんな世界中を巻き込んだゲーム人気の立役者と言えるのがゲームAI。
ゲームAIは現在に至るまで技術革新とともにゲームを進化させてきました。
そしてこれからも AI(人工知能)の進化とともにゲームAIも生まれ変わり、私たちに新しいゲームを体験させてくれるでしょう。
そんなこれからもゲームに新しい息吹を吹き込んでくれると期待されるゲームAIについて今回は、ゲームAIの概要やゲームにもたらした影響と今後の進展などについてお伝えします。
*1 eスポーツ
スポーツ競技としてとらえたゲームで行う競技のこと。
AIをゲームに使うゲームAIとは
最近のゲームをしていると、登場してくるキャラクターが人間のように意思を持って動いているように感じたことってありますよね。
また一般的にAI(人工知能)について、人間のような感情や思考を持ったイメージを持つ方が多いようですが、AI(人工知能)には知性や感情はありません。
実際のAI(人工知能)は、課題に対してさまざまなデータを学習し予測や判断をしていくシステムになっています。
そして AI(人工知能)には 「汎用人工知能(AI)*2」「特化型人工知能(AI)*2」のタイプがあります。
そして近年は特化型人工知能(AI)が急成長を遂げながら、さまざまな分野での活用が進められています。
ではそもそもゲームにはなぜゲームAIが必要になったのでしょうか。
*2・・・汎用人工知能(AI)を別名「強いAI(人工知能)」、特化型人工知能(AI)を「弱いAI(人工知能)」とも呼んでいます。
ゲームAIが作られるようになった理由
「なぜゲームにAIが用いられるようになったのか」この問いに対して分かりやすく答えるなら、人間の能力だけではゲームを開発できなくなったからです。
日本のゲーム史をたどると1978年にインベーダーゲームが登場して大きなブームになりました。そして 1983年に任天堂より家庭用ゲーム機のファミリーコンピュータ通称「ファミコン」が発売され、ゲームがそれまでよりも身近で手軽に楽しめるようになりました。
このころのゲームといえば2Dゲームで、そのほとんどは出てくるキャラクターなどがパターン化された動きしかできていませんでした。
そして 1990年代中ごろから 3Dゲームが登場。
この 3Dゲームの登場が AI(人工知能)を必要とし始めたキッカケと言えます。
ではなぜ3Dゲームの登場からゲーム開発にAI(人工知能)を用いるようになったのでしょうか。
ゲームAIは大規模化・複雑化してきた3Dゲームと相性がいいので、現在のような非常にクオリティの高いリアルなゲーム空間も表現できます。
そしてそんなリアリティあふれるゲーム空間を表現できているのはゲームAIの種類に秘密があるのです。
ゲームAIの種類
ゲームAIを分けると「キャラクターAI」「メタAI」「ナビゲーションAI」に分類され、それぞれがゲーム内で役割を果たしゲームを成立させています。
キャラクターAI
キャラクターAIとはゲーム内で登場するキャラクターの動作を管理します。
キャラクターAIの働きでキャラクターはそれぞれが自律的な判断をしているので、リアルな動きを表現できるようになっています。
そしてキャラクターAIには次のような種類があります。
ルールベースAI
ステートベースAI
ビヘイビアベースAI
タスクベースAI
ゴールベースAI
ユーティリティベースAI
メタAI
次にメタAIについてお話しましょう。
例えばプレイヤーの能力を見極めてゲーム難易度のレベルを変化させたり、キャラクターに命令を与えたりします。
ナビゲーションAI
例えばゲームのフィールドで通れる道や、現在の状況などの情報を教えてくれます。
そしてゲームAIは紹介した3つのAI(人工知能)から構成されそれぞれが役割を果たすことで、現在のようなリアルなゲームを作り出しているのです。
ゲームAIを使ったことで、起こった影響とは
ゲームAIがゲームにもたらしたのは柔軟性とリアリティです。
2D時代のゲームに登場するキャラクターなどは人間の考えたプログラムの設定通りに動いているだけでした。しかし3D時代に入ってゲームAIを使用し始めるとゲームが変化していきます。
ディープラーニングとはニューラルネットワークと呼ばれる人間の脳のメカニズムを真似たシステムです。
そして今後のゲーム発展のカギはディープラーニングにかかっていると言えるでしょう。ではゲームAIは今後どのような進化を遂げていくのでしょうか。
ゲームAIの今後
現在のゲームはすでにゲームAIの働きで柔軟でリアリティあふれるゲーム空間を表現し、今後もゲームの発展はゲームAIの進化にかかっていると言えるでしょう。
そしてゲームAIを大きく進化させるカギとして期待されているのがディープラーニング。
ファイナルファンタジーやドラゴンクエストなどで有名な、株式会社スクウェア・エニックスのリードAIリサーチャー三宅陽一郎氏は今後のゲームについて次のように語っています。
この話では「ゲームを一人一人のプレイヤーごとに高めていくこと」「ユーザーごとに展開が変わるようになっていくかもしれません」とあり、今後は同じゲームでもユーザーごとにゲーム内容が変化して行くことを示唆しています。
例えば先ほどの三宅氏の話に出た「ユーザーごとに合わせたゲーム展開」について、現在のゲームAIと人間の能力で考えてみましょう。
そこで適役なのがディープラーニング。
そしてディープランニングがゲームAIへの応用が実現したなら、これから何年先になるかは分かりませんが、ゲームAIがゲーム自体の管理やゲーム内容を作りだす時代がおとずれることも予想されるでしょう。
ゲームAIはこれまでもコンピュータゲームを進化させてきましたが、これからもAI(人工知能)技術の発展とともにゲームの未来を切り開く可能性を大いに秘めています。
ゲームAIが用いられ始めた大きな理由が3Dゲームの登場です。
3Dゲームはそれまでの2Dゲームと比べてコンテンツ規模が大きくなり複雑化してきたので、人間だけの能力でゲーム開発を行うのが難しくなってきました。
そこで用いられだしたのがAI(人工知能)技術を応用したゲームAIです。
ゲームAIは次の3つに分類されます。
- キャラクターAI
- メタAI
- ナビゲーションAI
上記の3者はメタAIがゲーム全体の流れを作り、キャラクターAIはそれぞれが自律した動きと場合によって集団で協調した行動をし、ナビゲーションAIがメタAI、キャラクターAI、プレイヤーにゲームに必要な情報を提供してます。
このように3者がそれぞれの役割を果たしてゲームAIが構成されています。
そんなゲームAIを用いたことで現在のゲームには柔軟性が生まれ、リアリティあふれるゲーム空間を表現できるようになりました。
そして現在でもユーザーを満足させているゲームが続々と登場していますが、今後ディープラーニングがゲームAIに応用されるようになれば、さらに新たな体験ができるゲームの誕生が期待されます。
ディープラーニングにはAI(人工知能)自身が学習しデータを高速処理できる特徴があり、従来のAI(人工知能)と比べて人間がほとんど手を加える必要がありません。
そのため今後ゲームAIへの応用が進めばゲーム自体をAIが管理し新たなゲームを生み出していく可能性も期待できます。
そしてディープラーニングによってゲームAIが進化すれば、これまでにない新しいゲームの誕生が予想できるので、ゲームユーザーにとっては胸が高鳴る未来が到来するでしょう。