iPhoneのロック画面をFace IDで解除したり、コンサート会場では本人確認のために活用されていたり、顔認証は私たちの生活の中に徐々に浸透してきていますよね。
顔認証とは、指紋認証や虹彩認証などと同じく生体認証の部類に入りますが、指紋認証や虹彩認証はすでに現時点では完成された技術言えることができるでしょう。顔認証は指紋認証や虹彩認証と比較すると、目・鼻・耳や骨格などチェックする項目が数多くあるため、より高度な技術が求められますが、その分高いセキュリティを守ることができ今後期待されている認証技術なのです。
今回は、精度がメキメキと上がってきている顔認証について日本だけではなく海外の事例について解説します。そして近い将来、顔認証はキャッシュレスの中核となり、実現が秒読みとなっている顔パス社会について解説いたします。
信号無視をすると警告メールが届く中国
中国では日本よりも早い時期から顔認証技術が活躍しており、防犯やセキュリティに大きく役立っています。特に、私たちにとって驚くべき顔認証の使われ方は交差点にありました。
中国の交差点には無数のカメラが設置されており、そのカメラは全ての通行人の顔を瞬時に捉えます。この交差点で、もしある人が信号無視をしたらどうなるでしょう?横断歩道を渡ったところ設置されている大きなモニターにその人が映し出され、信号無視者として顔と名前が表示されます。しかも何日も。恐ろしいですね。これだけにはどどまりません。信号無視者に対して携帯電話のSMSで警告のメールが送信され追い打ちをかけてきます。
中国では、国民のあらゆる個人情報が一元管理されており、顔認証情報だけでなく、銀行口座や携帯電話の情報も管理されています。つまり、違反者の顔認証情報から瞬時に個人が特定され、あまりに度を過ぎた違反者に対しては警告や罰則を与えることが可能なのです。例えば、違反が3回を超えると、本人の信用情報が下がり、お金を借りたりする時に信用度が低くなり、金利が高くなったり借りれる額が少なくなったりすることも可能です。
日本では信号を守るのが当たり前となっていますが、海外では信号を守らない国が結構あります。中国では国を挙げてこういった交通ルールの徹底に取り組んでいます。苦肉の策ではありますが、ちょっと恐ろしいですよね。
空港での顔認証技術
顔認証技術が大きく取り入れられているのは、なんと言っても入国管理です。2000年代前半から、パスポートにICチップが埋め込まれ、顔認証情報を含めた個人情報が記録され、入国時にはパスポートのICチップにに記録された情報と本人確認が行われています。
さらに近年では、顔認証機能がついたカメラを備え付けた入国ゲートが主流になってきており、瞬時に本人を確認することができ、人間による目視よりも精度が高くなってきています。
このように、入国管理はAI(人工知能)や顔認証の技術が活躍し、水際で危険を防ぐことが可能になってきています。すでに海外では多くの国がこの顔認証の入国管理を導入していますが、日本では東京オリンピックの時期に合わせて主要空港で顔認証技術を使った入国管理が導入される予定です。
ついにATMも顔パス
身近な話題について触れますと、私たちが普段利用している銀行のATMにも顔認証技術の波が押し寄せています。すでに一部の銀行のATMでは指の静脈を使った生体認証が導入されてはいますが、割合としてはまだ少数派で、大多数の方はATMを利用するときは銀行口座カードを使用しますよね。
しかし、これからは銀行の口座カードを使わないATMが街に登場する予定なのです。セブン銀行の発表によりますと、2019年から顔認証技術を使った次世代のATMを導入が開始されており、2024年には日本全国のセブン銀行のATMが次世代のATMに切り替わります。この顔認証技術により高い精度で本人をすることができることから、ATMからの出金はもちろん、銀行口座の開設をすることも可能になるのです。何かと待たされるイメージが多い銀行の手続きですが、スピーディーな対応が期待できそうですね。
ついに顔パスで地下鉄に乗れる
先日、大阪メトロから発表された中期計画は「顔認証技術はついにここまできたか!」と思わせるものでした。これからは、ズバリ、顔パスで地下鉄に乗れてしまうのです。
2025年に開催される大阪万博に向けて、万博会場のインフラ整備が急ピッチで進められていますが、その中心を担うのが大阪の中心部を網羅する地下鉄網をもつ大阪メトロです。万博会場となる埋立地夢洲(ゆめしま)に向けて、大阪の中心部から地下鉄を延伸する計画を打ち出しています。
大阪メトロの前身は大阪市営地下鉄でしたが、2018年に公営地下鉄から日本初の民営化に切り替わりました。民営化とともに地下鉄の進化のために幾つかの計画を打ち出しており、全駅ホームドアの設置や利便性や安全性の向上など、より良い地下鉄にするために改革をしている段階と言えます。
特に、大阪万博の開催が決定した後に発表された計画は驚きでした。顔認証技術を使い、切符やICカードが必要なくなるというのです。さらに、切符やICカードを使わないということは、改札のゲートも必要なくなるというものでした。まさに顔パスで地下鉄に乗れる時代が目の前に迫ってきているのです。
今回は、ここまで進んだ顔認証と称して、中国の交差点事情や入国管理、これから導入される顔パスのATMや地下鉄について解説してまいりました。顔認証の技術は何年も前から研究が進められていますが、近年は技術の飛躍的な上昇により、瞬時に個人を特定することが可能になっています。
さらに、これからの顔認証技術は、私たちにとって利便性や安全性の向上に貢献してくれることが期待されています。次はどんな便利な機能が登場するのかとても期待が膨らみます。財布を忘れて慌てて家に取りに帰る必要もなくなる、そんな時代が来るのがとても楽しみですね。
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× 罰則を与える
罰則とは罰について定めたルールのことで、ルールを他人に与えることは出来ません。
○ 罰を与える
○ 刑罰を科する
× 技術の飛躍的な上昇
技術は上下(上昇、下降)するものではありません。前後(前進,後退)するものです。
○ 技術の飛躍的な進歩