近頃はAI(人工知能)をはじめとしたテクノロジーの進化に関するニュースを聞くことが多くなりましたよね。愛する子ども2人と1人の妻を持つ、フランス生まれのギークなエンジニアである僕が印象に残っているニュースの一つに「パワードスーツ」に関するものがあります。
テクノロジーの進歩は社会へ様々なポジティブな影響をもたらしていることを皆さんも日々感じていることでしょうが、実際パワードスーツはその中の一つとして素晴らしい結果を残しています。今回はそのパワードスーツに関する思わず興奮するようなニュースについて紹介しましょう。
そもそもパワードスーツとは?
はじめに「パワードスーツ」を知らない人のためにパワードスーツとは何なのかを簡単に紹介しよう。ググればたくさん情報が出てくるから、ここは役立ちそうなページの説明を借りてきますね。
「パワードスーツ」とは:
(引用:sbbit.jp)
“パワードスーツとは、動力源の有無や種類にかかわらず、人が装着することで動作や姿勢への何らかのアシストが得られる機器を指している。身体的能力を補助・強化する業務用ツール、または個人向け医療ツールとして、ヘルスケアや軍事防衛、製造などの分野で今後の発展が期待されている。”
さて、このパワードスーツだけど、前に紹介したように素晴らしい成果を出していて、例えば4年前に事故でバルコニーから転落し、全身不随となったティボーという男性(28歳)が「パワードスーツ」の使用で歩くことができました。
こちらがその様子を撮影した動画
これは驚きですよね!!こちらの動画では、脳波でパワードスーツを動かして歩くことができています。
ここからは、この素晴らしいニュースの背景について簡単に紹介していきます。
頭蓋骨に穴を開けて脳にはめ込むセンサーとパワードスーツの融合
見出しからびっくりした方もいるかもしれません。しかし、この見出しの内容は実際に現実世界で行われていることです。さっき紹介したパワードスーツのニュースの背景には、フランスのグルノーブル大学にある生物医学研究センターが10年間かけて開発した、頭蓋骨に穴を開けて脳にはめ込むセンサーを活用した技術が密接に関わっています。
脳のシグナルを読み取るこのセンサーをはめこむと、センサーはパソコンにデータを送信し、デコードして、パワードスーツに指示に変換にする!この指示は全部無線でリアルタイムに行われるようです。驚きですよね!
脳にはめ込んだセンサー:
ちなみに、センサー毎に64電極があって、人間らしい動きを再現するために、パワードスーツには14個のジョイントあるようですね。
脳へのセンサー埋め込み後、リハビリを通じてパワードスーツをコントロール可能に
脳のシグナルを読み取るセンサーをはめ込む手術、つまりインプラントの施術後、全身不随となったティボーが、決してすぐに歩けたわけではありません。シミュレーターで練習して、コントロールできることになるまでにまず3ヶ月をかけました。
そしてシミュレーターのアバターを上手く動かせられるようになった後、グルノーブル大学のラボ(前に紹介したフランスの研究所だよ)で週三日、直接パワードスーツで練習したようです。
パワードスーツを使って歩けるようになるまで全部でどれだけの期間がかかったのでしょうか・・・。全部で2年間の時間がかかったようです。
2年間の努力を経て、歩けるようになったティボーへのインタビューを少し紹介しましょう。
インタビュアー:なぜこの実験をしましたか?
ティボー:
体では何もできませんので、やっぱ脳で何かしたいと思いました。
歩くと、月に初めて歩いた人と同じぐらい感動しました。
久しぶりに歩いて、立って、他の人より背が高いことをみると嬉しかった。
パワードスーツの今後の展開
この事件で概念検証(Proof of Concept)になって、これから何人が脳のインプラントを入れて、システムを改善する予定です。
「パワードスーツの自律的なバランス」と「物を掴む」動作の向上を次の改善で図りたいですが、重い計算とリアルタイムの動作なので、AI(人工知能)を用いるなどして更なる技術を進化させるための研究が行われることでしょう。
今回ご紹介したティボーの実験は成功になりましたが、現在の技術はラボの環境でしか使うことができないので、現時点で広く展開される可能性はほとんどないようです。しかし、このような研究が進んでいった将来には、パワードスーツの代わりに、脳波でコントロールできる車椅子が実現可能になるかもしれません。
ちなみに、ティボーの前にも、他の人が脳のインプラントの手術をしましたが、不具合でインプラントを入れたすぐ後に動作を停止されたこともあったようです。これからまた3人がこの手術をする予定ですので、色々なテストを通じて、沢山の改善がなされていくことでしょう。
まとめ
さて、今回はパワードスーツを使った素晴らしい驚きのニュースについて紹介してきました。紹介したパワードスーツの事例をはじめとして、これから脳・パソコンのインタフェースの技術はどんどん研究されて改善されていくでしょう。
皆さんはどのようなテクノロジーの進化に関して興味があるでしょうか?
僕の場合は、イーロン・マスク(Tesla、SpaceX等の社長)が作ってる「Neuralink」で人間とパソコンのコミュニケーションが改善される、というこちらのニュースも気になっています。
詳細はこちら
https://www.theverge.com/2019/7/16/20697123/elon-musk-neuralink-brain-reading-thread-robot
未来にどんな事できるようになるかを楽しみしながら、日々のテクノロジーの進化にワクワクドキドキしていきましょう!
<参考>
https://france3-regions.francetvinfo.fr/auvergne-rhone-alpes/grenoble-paralyse-accident-lyonnais-pu-remarcher-grace-exosquelette-pilotage-mental-1733399.html
https://www.ouest-france.fr/sciences/un-exosquelette-connecte-au-cerveau-permet-un-patient-tetraplegique-de-marcher-6549092
https://france3-regions.francetvinfo.fr/auvergne-rhone-alpes/grenoble-paralyse-accident-lyonnais-pu-remarcher-grace-exosquelette-pilotage-mental-1733399.html
https://www.lepoint.fr/high-tech-internet/un-patient-tetraplegique-marche-grace-a-un-exosquelette-connecte-au-cerveau-04-10-2019-2339341_47.php
https://siecledigital.fr/2019/10/07/un-exosquelette-permet-a-un-francais-paralyse-de-remarcher/
https://www.francetvinfo.fr/sante/handicap/un-tetraplegique-remarche-grace-a-un-exosquelette-connecte-au-cerveau_3644319.html
https://www.youtube.com/watch?v=S5K5FW0d_Yw
https://www.theguardian.com/technology/2018/may/06/no-death-and-an-enhanced-life-is-the-future-transhuman
https://www.theguardian.com/world/2019/oct/04/paralysed-man-walks-using-mind-controlled-exoskeleton
https://www.newscientist.com/article/2218863-a-mind-controlled-exoskeleton-helped-a-man-with-paralysis-walk-again/
https://www.webmd.com/brain/news/20191004/mind-control-exoskeleton-lets-paralyzed-man-walk