現代はあちこちにAI(人工知能)が使われるようになりましたよね。そうしていくうちに、多くのAI(人工知能)の技術基盤ともなるディープラーニングに大きく注目が集まっています。そのような中、ディープラーニングの技術の発展を目的にした日本ディープラーニング協会(JDLA)という団体が立ち上がりました。
とはいえ、多くの人は日本ディープラーニング協会(JDLA)という団体を初めて聞いたかもしれません。名前からしてディープラーニングと深く関わっているというのはなんとなく認識できますが、何をしている団体なんだろう、実態はどうなんだろう・・・とさまざまな疑問が浮かぶでしょう。
しかし、日本ディープラーニング協会(JDLA)はディープラーニングの技術の発展だけでなく、今や日本のAI(人工知能)産業を支えているといっても過言ではありません。そうきくと、なんだかすごそうな協会ですよね。
そこで今回は、日本ディープラーニング協会(JDLA)の目的や加入のメリット、活動内容や今後の展望などについて徹底的に解説します。まずは、そもそも日本ディープラーニング協会(JDLA)とはどのような団体かについて解説しましょう。
日本ディープラーニング協会(JDLA)は何のための団体か
さて、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が何のための団体かというと、名前の通りずばり日本の産業競争力をディープラーニングなどの技術によって向上させていこう、という目的を持った団体です。その目的を果たすため、ディープラーニングに力をそそいでいる企業や有識者が集まり、さまざまな活動をおこなっています。
活動は主に産業活用促進、公的機関や産業への提言活動、人材育成、国際連携活動、社会との対話の5つにわけられ、その内容は次のようなものです。
産業活用促進:カンファレンスやワークショップ等のイベント開催(主催・共催・協賛等)を通して、産業応用事例や導入課題と対策等、産業が必要とする情報を提供します。また、分野ごとのワーキンググループを設置し、分野特有の課題(技術課題や法的課題等)を整理し、解決を目指します。
公的機関や産業への提言:業界の健全な発展と倫理的側面を考慮し、行政・立法等の公的機関および産業界に対し、提言を行います。
人材育成:ディープラーニングに関する知識を有し、事業活用する人材(ジェネラリスト)と、ディープラーニングを実装する人材(エンジニア)の育成を目指します。各々に必要な知識やスキルセットを定義し、資格試験を行うとともに、協会が認定した事業者がトレーニングを提供します。
国際連携活動:ディープラーニングの社会実装における倫理的、法的、社会的課題に関して、国内外の関係機関と連携し、議論に参加することで、海外の取り組みや考え方を国内に発信し、また国内の活動を海外に発信します。
社会との対話:「人工知能」と総称され、現段階でできることとできないことが曖昧になることで、過剰な期待や過大な心配が社会に生まれつつあります。情報発信や社会との対話を目指す活動を通し、ディープラーニングに対する理解を促進します。
(引用:日本ディープラーニング協会Webサイト)
続いて、日本ディープラーニング協会(JDLA)の会員となるメリットについて見ていきましょう。
日本ディープラーニング協会(JDLA)会員のメリットとは
日本ディープラーニング協会(JDLA)の会員には正会員、有識者会員、賛助会員があり、対象は有識者や企業で、いわゆる一般の人は対象外です。その中で正会員、有識者会員、賛助会員のそれぞれのメリットは次の通りです。(人数は2019年11月現在)
正会員:企業や団体が対象となり、ブレインパッドやクロスコンパスなど25団体が参加している。メリットとしては理事、委員として協会を運営に参加できる、議決権を持って総会へ出席ができる、E資格の受験料が安くなる等。
有識者会員:ディープラーニングの有識者が対象となり、松尾豊理事長を始めとした有識者15名が参加。メリットは正会員に同じ
賛助会員:日本ディープラーニング協会(JDLA)の目的に賛同し、ディープラーニングの活用に意欲的な企業や団体。代表的な企業はトヨタ自動車株式会社や株式会社安川電気など。ランクはPLATINUM、GOLD、SILVERがあり、全体で20団体ほど所属している。メリットとしては理事・顧問・委員候補を推挙できる、総会へ出席できる(議決権なし)、E資格の受験料が安くなる等がある。
では、一般の人と日本ディープラーニング協会(JDLA)はまったく関わりがないかというとそういうわけありません。次は、私たちでも参加できそうな日本ディープラーニング協会(JDLA)が人材育成の一環でおこなっているG検定とE検定についてです。
日本ディープラーニング協会(JDLA)で受けられるG検定とE資格
日本ディープラーニング協会(JDLA)の活動の一つに人材育成があり、その中で検定・資格試験を実施していることは、先ほど少し述べました。実施している検定・資格は2種類あり、ディープラーニングを事業に使う人(ジェネラリスト)向けのG検定とディープラーニングを開発する人(エンジニア)向けのE資格があります。それぞれの必要な知識やスキルについて資格試験やトレーニングを提供しているので、資格に向けての勉強やG検定やE資格の取得は個人のレベルアップにつながること間違いありません。
日本ディープラーニング協会(JDLA)のG検定で保証される人材は「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して事業応用する能力を持つ人材」(引用:人材育成)となっています。つまり自分から指示して事業を動かし、ディープラーニングを活用する立場のことです。
一方、E資格で保証される人材は「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力を持つ人材」(引用:人材育成)で、つまり現場で実際にディープラーニングを実装していく人材を指していると考えて問題ありません。
続いて、ディープラーニング等の知識を知ることができる、日本ディープラーニング協会(JDLA)による出版書籍・本について紹介します。
日本ディープラーニング協会(JDLA)による出版書籍・本
公式ウェブサイトにはディープラーニングやAI(人工知能)の知識やスキルを得たり、活用するための書籍が紹介されています。とくに日本ディープラーニング協会(JDLA)が監修している書籍は、「深層学習教科書ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 公式テキスト」、「ディープラーニング活用の教科書」、「ディープラーニング活用の教科書 実践編」の3冊です。
「深層学習教科書ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 公式テキスト」はその名の通り、日本ディープラーニング協会(JDLA)のG検定を受験しようと考えている人がメインターゲットの書籍です。人工知能をめぐる動向や諸問題、機械学習の具体的手法、ディープラーニングの産業への応用について学びたかったり、事業活用を考えたりしている人にもおすすめの一冊で練習問題もついているので、この一冊を学ぶことはG検定合格の近道であること間違いありません。
「ディープラーニング活用の教科書」もG検定推薦図書となっており、ディープラーニングが与えるインパクトを事例で解説してくれる一冊です。「ディープラーニング活用の教科書 実践編」はその発展版となります。事例にはかつ丼の盛り付けの判定の事例や、クリーニングの衣類を判別する事例など、身近なサービスに関するものが含まれており、とっつきやすいでしょう。人間、単調な情報や説明では理解しづらいもので、事例で解説してくれるのはディープラーニングを学ぶうえでありがたいですよね。
さて、これだけたくさんの実績を残している日本ディープラーニング協会(JDLA)ですが、最後に将来的に目指しているところについて解説します。
日本ディープラーニング協会(JDLA)の目指す未来
日本ディープラーニング協会(JDLA)が目指しているところは、新しいものづくりや労働不足解消などの可能性を秘めた技術であるディープラーニングが、今後のAI(人工知能)の発展や日本の産業での重要な基盤技術のために尽くすことです。具体的には、AI(人工知能)やディープラーニングの理解促進や、ディープラーニングを活用する人材の育成、法制度や倫理面の議論などになります。
さて、今回は日本ディープラーニング協会(JDLA)の目的や加入のメリット、活動内容や今後の展望などについて徹底的に解説しました。日本ディープラーニング協会(JDLA)について、この記事で全体像が把握できたかもしれません。
「産業活用促進」、「公的機関や産業への提言活動」、「人材育成」、「国際連携活動」、「社会との対話」といった5つの活動のなかでも日本ディープラーニング協会(JDLA)が現在力を注いでいるのは人材育成であり、G検定やE資格はその一環として開催されています。この検定・資格を取得することで、ディープラーニングの専門知識を有していると一般的に認められ、キャリアアップや転職、企業に有利になること間違いありません。
G検定やE資格を取るほどでもないけどディープラーニングについて知っておきたいという人は、まずは今回ご紹介した3冊に手を付けてみることをおすすめします。他にも日本ディープラーニング協会(JDLA)のウェブサイトには推薦図書がたくさんあるので読んでみると、知識をつけることができるかもしれません。
日本ディープラーニング協会(JDLA)は日本のディープラーニング業界を支える存在です。今後ディープラーニングやAI(人工知能)の世界で活躍したいと考えているのならば、まずは人材育成活動を注視し、日本ディープラーニング協会(JDLA)が提供するプログラムや書籍、検定・資格に手を付けてみましょう。