AI(人工知能)や機械学習、ディープラーニングって単語、最近よく聞きますよね。コンピュータが勝手に考えて答えを教えてくれるようなイメージはあるけれど、一体どんな技術なのかはわからないという方も多いでしょう。
そんな方に向けて、この記事ではディープラーニングが一体どのようなメカニズムで答えを見つけ出してくるの?どんな問題なら対応することができるのか、などを解説します。最後まで読むと、ディープラーニングに対するイメージがより具体的になり、例えば「入力にはこんなデータを使ってるんだろうな」「これができるならこんなこともできるんじゃないかな」といったより1ステップ深い考察ができます。
それでは今回は、ディープラーニングのメカニズムについて解説しましょう。まずはディープラーニングについて解説を始めます。
ディープラーニングって聞くけど何だろう
ディープラーニングは2012年頃に盛んに研究されるようになりました。ディープラーニングは深層学習とも呼ばれ、機械学習の一種で教師あり学習に分類されます。
機械学習の定義については学者の中でも意見の分かれますが、「たくさんのデータから自動で答えを計算できる仕組み」という認識でおよそ間違いはありません。
教師あり学習とは、事前に参考となる問題と答えをたくさん使ってパソコンを学習し、この参考をもとに初めて見た問題を解く方法のこと。例えば「リンゴとラベル付けされたリンゴの画像」と「バナナとラベル付けされたバナナの画像」をたくさん学習し、「初めて見るリンゴの画像」がリンゴなのかバナナなのかを答えることを指します。
ディープラーニングのメリットは非常に高い推定精度と、層構造の工夫によって画像や音、自然言語など幅広いデータを扱えることです。逆にデメリットは学習した結果の解釈が難しく、なぜそのような推定結果になるのかがわかりにくいということです。
AI(人工知能)> 機械学習> ディープラーニングの関係
AI(人工知能)、機械学習、ディープラーニングは似たような言葉として扱われることがありますが、これらは全く異なる範囲の事柄を示すことに注意しましょう。
ディープラーニングは機械学習の一種で、機械学習はAI(人工知能)の一種です。簡単に言うと、「食べ物 > 野菜 > にんじん」と「 AI(人工知能) > 機械学習 > ディープラーニング 」が同じ関係です。
AI(人工知能)が何かを定義するのは非常に困難ですが、一説としては「問題に対して自動で答える仕組み」があります。対して、機械学習の定義については前述のように「たくさんのデータから自動で答えを計算できる仕組み」と言えます。さらに、ディープラーニングは「層構造を使って、たくさんのデータから自動で答えを計算できる仕組み」を指します。
ディープラーニングの仕組みとは
ディープラーニングは入力層・中間層・出力層の3つの層から構成され、中間層は複数あります。各層はノードと呼ばれる複数の数値を持って、ノードは前の層のノードと重みと呼ばれる数値を通じて結合される仕組みになっています。
冒頭でディープラーニングは教師あり学習という話をしたように、学習には問題と答えの紐付いた学習データを用いて重みを変化させることで学習します。
まず、重みの初期値はランダムな数値を設定しましょう。ここにデータを入力すると、重みを介して出力が計算され、入力データに対する推定値が算出されます。しかし、重みが適当な値なので推定値は答えとかけ離れた数値になっています。そこで、推定値が答えに近づくよう増減させて調整を行うのです。この調整のことを「誤差逆伝播法」と呼び、重みを調整すると、次第に推定値が答えに近づきます。
そこで、この過程を非常に簡略化します。教師データとして入力を5、答えが3になる問題があったとします。初期の重みを1とすると、推定値は5*1=5となります。推定値が答えの3より大きいので重みを少し小さくしましょう。重みを0.8とすると、推定値は5 * 0.8 = 4となり先程より答えに近づきました。このように重みを調整していくと、最終的に重みは0.6と導くことができます。これがディープラーニングの学習過程です。
ディープラーニングの活用事例をご紹介
それでは実際にディープラーニングが利用されている事例を数点紹介します。
自動運転
まずは、Teslaをはじめとした自動車の自動運転の実現などで用いられている「物体認識」です。これは、人や道路、電柱、車といった物体が画像の中のどの部分にあるかを認識し表示することができます。これによって自動運転の際、車が人や電柱にぶつからないよう進むことができます。
余談ですがGoogleを利用している際、「あなたがロボットではないことを確認するため、画像の中の信号を全て選んでください」という画面が出たことありますよね。この結果は、ディープラーニングの教師データとして利用されています。
外観検査
また、製造業などで多い活用事例は製品の外観検査です。良品と不良品の画像を大量に学習させ人が行っている検査を機械が行うようにします。
ディープラーニングの導入コストは検査用カメラと計算用マシン、その他管理コスト程度で済むので人件費と比べると非常に低コストとのこと。不良品の検出精度もよく、見逃しが少ないためディープラーニングが活発に活用される分野でしょう。
自然言語処理
また、iPhoneのSiriやAmazonのAlexaのようにユーザーの話した内容を理解する自然言語処理でもディープラーニングが活用されています。これは、言葉を数値(ベクトル)に置き換えることでディープラーニングが処理できるようにし、似た言葉は似たベクトル、反対の言葉は反対のベクトルを割り当てるイメージです。
以上はディープラーニングの一例です。今後どんどん身の回りにディープラーニングを活用した製品やサービスが増えていくのは間違いありません。
ディープラーニングの今後
ディープラーニングは毎年新しい技術が考案されるほどの勢いで進化しています。前年には想像できないほどの精度で予測を行い、適用範囲も広がっており、今後もその傾向は続くでしょう。
また、事務作業の大部分がディープラーニングで実行可能になります。特に数値として扱いやすい会計処理は早い段階でディープラーニングの仕事になります。人事評価がディープラーニングによって行われる時代もそう遠くありません。
とはいえディープラーニングに仕事が取られるという話になりましたが、これは悪いことではありません。ディープラーニングを上手に利用し、共存することでこれまでより高い付加価値をつけた製品やサービスを生み出すことができます。消費者の目線では、安価で高品質な製品やサービスを得られることになり、生活の質も向上するでしょう。
さて、今回はディープラーニングについて仕組みや活用事例を解説しました。ここまでの内容をまとめると、下記のようになります。
ディープラーニングは機械学習の一種で教師あり学習に分類される ディープラーニングのメリットは非常に高い推定精度と幅広い適用分野 ディープラーニングのデメリットは学習した結果の解釈が困難なこと 「食べ物 > 野菜 > にんじん」と「 AI(人工知能) > 機械学習 > ディープラーニング 」が同じ関係 ディープラーニングは入力層・中間層・出力層という構造 学習データに合わせて重みを調整することで学習する 自動運転の物体認識、外観検査、自然言語処理がディープラーニングの活用事例 ディープラーニングは毎年すごい勢いで発展しており今後もその傾向は続く
ここまでの内容を理解していれば、ディープラーニングに対する知識はバッチリです。もしかしてこんなこともディープラーニングで実現できるんじゃないかな?と考えられるレベルになるかもしれません。
ディープラーニングは意外と簡単につくれるので、ぜひステップアップしてディープラーニングをいろいろと活用できるようになりましょう!