経営活動に関する重要な意思決定は、客観的な事実に基づくべきですよね。精査されたデータを扱う「データドリブン」という手法を用いれば、経験や勘など曖昧なものに頼ることなく、明瞭な判断を下せるようになります。
この「データドリブン」ですが、ドーモ株式会社が「ダイヤモンド・オンライン」と共同で実施した「データドリブン経営に関するアンケート調査」によると、回答者の84%が「意思決定にもっとデータを活用すべき」と回答。
多くの企業がデータの活用を求めていることがわかります。
しかし「データドリブン」とは具体的にどういう手法なのかわからない方もいるでしょう。
そこで今回は、このデータドリブンの概要や手法。またおこなうメリットやデータドリブンの利用を可能にするツールからツールの使い方、ツール使用時の注意点についてお伝えします。
データドリブンとは何か
実は以前からあらゆる業種・業界にてデータを生かした経営活動はおこなわれてきましたが、重要性が改めて見直されています。特にマーケティング業界において重視されることの多い手法です。
性別、年齢、家族構成などのユーザー特性を把握することでターゲットへの最適な広告設定が可能なので、データを生かそうとする傾向が顕著です。そのため「デジタルドリブンマーケティング」という言葉を用いて、重要性をより強調することもあります。
データドリブンをおこなうメリットとは
データドリブンをおこなうことで得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。そこでここでは特にマーケティングにおけるデータドリブンのメリットを2つ紹介しましょう。
マーケティング効果の最大化
複雑化した購買活動を正確に把握することはとても難しくなっており、従来の手法では十分なマーケティング効果を得られません。
最適化された広告戦略はムダがなく効率的なので費用対効果も高く、コスト削減や利益率の向上が見込めるのです。
流入経路の拡大
マーケティングの場がデジタルへ移行したことにより、さまざまな広告媒体の活用が求められるようになりました。
データドリブンで活用できるツールの種類
データドリブンにおいては、自社の要件に適したITツールの使用が欠かせません。利用可能なITツールは、以下のとおり6つの種類に分けられます。
BI(ビジネスインテリジェンス)
BIにはデータを容易に抽出できる管理機能、レポート作成を自動化するレポーティング機能、集めたデータを精査できる分析機能の3つが搭載されています。
特にOLAP分析を使えば「顧客の性別」「顧客の居住地域」といった複数の要素でデータを分類し絞り込めるので、経営判断に役立てることが可能です。
DMP(データマネジメントプラットフォーム)
DMPには外部企業によって一般に公開されているデータを管理する「パブリックDMP」と自社内に存在するデータを管理する「プライベートDMP」があります。
またデータを蓄積、管理するという特徴からMAを始めとする他のITツールとの併用が多く見受けられます。
MA(マーケティングオートメーション)
例えば顧客にメールを配信するとき、ユーザーのアクションを反映した内容を送付可能。一般的な宣伝とは異なりそれぞれのユーザーに適したメールを送ることで、興味・関心を引き付ける効果が期待できます。
またMAにはマーケティングに関する作業やワークフローを管理、自動化する機能も。顧客リストが自動的に作成されるなど業務プロセスを省略・簡略化できるので、マーケティング業務が効率化され担当者の負担が軽減されるでしょう。
SFA(セールスフォースオートメーション)
優秀な担当者が持つノウハウを社員間で共有できるので、顧客対応力からなる組織全体の営業力を総合的にアップさせることが可能になります。
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)
また購買日、購買頻度、購買履歴といった詳細なデータから顧客をグループ化することでニーズを把握。優良顧客を判別しやすくなるのでアプローチ効果も高まります。
Web解析ツール
代表的なものにGoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスなどがあります。自社サイトの運営担当者の中には、実際に利用しているという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
データドリブンでのツールの使い方
さて、ここからはデータドリブンを進める3つのステップと一緒に、ツールの使い方について説明していきましょう。
データを収集する
このとき気をつけたいのが、必要なデータとそうでないものの選別です。あらゆるところから多くのデータを集めようとすると膨大な量を扱うことになり、収集作業だけで大変な時間を要してしまいます。
データを可視化する
データの可視化にはBIツールやDMP、Web解析ツールなどを使用します。可視化を得意とするツールを用いることで、加工作業に費やしていた工数を大幅に削減できるでしょう。
データを分析する
ただし注意したいのが、データの分析はツールだけでは不十分ということ。
実際の分析作業は「データエンジニア」や「データサイエンティスト」といったITスキルを有する人材に任せ、ツールは彼らを補助するものと考えるようにしましょう。
ツールを使う時の注意点
ここまではツールのご紹介や使い方についてお話しました。そこでツールを使うときの注意点について説明します。
ツールの使用目的を明確にする
ツールの使用目的はデータドリブンを実行する目的に影響を与えるもの。目的が不明瞭なままでは最終的な意思決定や企画立案、経営判断などのアクションも曖昧なものになってしまいますよね。
データドリブンを進めるメンバー間で協議し、目的の共有を忘れずにおこなってください。
ツールへの知識を深める
また、ツールの使用時には、目的に応じた使い分けが大切です。
例えば単にデータを収集、管理したいのであれば汎用的な使い方が可能なBIツールやDMPが適しているでしょう。同じ顧客情報を扱う場合でもマーケティングにおいてはMAが、営業においてはSFAが最適など、何かしらの分野に特化したツールが推奨される場合もあるはず。
今回はデータドリブンの概要、おこなうメリット、利用可能なツールの種類、ツールの使い方、ツール使用時の注意点についてお伝えしました。
データドリブンは客観的な事実に基づく意思決定を促します。複雑化する顧客行動や発展するデジタルマーケティングに対応するためになくてはならないものです。
一見難しそうですが、専用のツールを使えば作業効率は大幅に向上するはずです。ただし使いどころを誤っては得られる効果も薄くなってしまうので、使用する場面やツールの見極めが重要です。
ツールに頼るばかりではなく、使用者側でもツールやデータドリブンへの知識を深めていくことが求められます。実際にデータドリブンを始める際には、今回の内容を参考にしてみてください。
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