量子コンピュータと人工知能(AI)、最近よく一緒に耳にするけど関係はあるの?と思っている方、たくさんいますよね。そんな今話題のこの2つですが、実はこの2つとっても相性が良いのです。さらに、その進化によって世界は大きく変化するかもしれません。
“量子コンピュータ“と、聞いてそれがどういうものなのか詳しく知っている方は少ないかもしれません。辞書的な意味で言うと、それは量子力学的原理を用いた新しいコンピュータの概念のことです。
”量子力学的原理“などというととても難しく聞こえるかもしれませんが、かなり簡単に言うと、進化したスーパーコンピュータといえるでしょうか。では一体何が進化したのか、というと、それはその計算速度です。量子コンピュータは量子力学における”重ね合わせ状態“によって何億もの計算を一度に行うことができるのです。つまり、なんと従来の方法では何億年という時間のかかっていた計算を一瞬で行うことができます。すごいですよね。そして、その大きく進化した計算速度は人工知能(AI)の能力の向上には欠かせない、機械学習やディープラーニングにとても役に立つのです。
さて、今回はそんな量子コンピュータと人工知能(AI)がどのようにこの先の世界を変えるのか、また、その3つの理由についてお伝えします。
より正確な未来の予測が可能になる
量子コンピュータの最大の強みは前述でお伝えしたように、その計算速度ですよね。人工知能(AI)の機械学習は膨大な数のデータを解析していくことで成長していきますから、量子コンピュータを用いた計算処理によって、その成長が今までとは比べ物にならないくらい早く、そして正確になるということ。多量のデータの解析から、未来を予測することで、私たちの生活に特に役に立つものというと、交通渋滞や天気などがより正確に予測できるようになることでしょう。
量子コンピュータと人工知能(AI)が発達した未来ではもう、天気予報では晴れだったのに雨が降っていて、仕方なくビニール傘を買ったのにお店から出たら雨はやんでいた。なんて失敗は起きなくなるのかもしれません。
医療の世界に飛躍的な進歩をもたらす
量子コンピュータと人工知能(AI)の発展は、医療の分野にも急速な成長をもたらします。
そこに、人工知能(AI)の機械学習を用いた、どの要素が重要な役割を示すのかを判別する「変数選択」や、データがどのグループに分類されるのかを判別する「クラスタリング」なども応用することで、医療画像処理や、特定の疫病の拡散シミュレーションなど…ありとあらゆる方面から医療の発展にアプローチすることができます。量子コンピュータと人工知能(AI)が医療の発展に大変役に立つことが分かります。
物流の効率化と無人化
量子コンピュータが特に得意とする計算に「組み合わせ最適化問題」と呼ばれるものがあります。
さて、量子コンピュータの計算がすごい!ということは何度もご紹介しているのでこのくらいにしておいて、この例をそのまま応用すると、物流の最適化にとても役に立ちそうなことがうかがえます。
例えば船による物流では、日本からアメリカに荷物を載せた船は、アメリカに到着後さらに荷物を載せてまた違う国に行ったりします。このような物流はまさに「組み合わせ最適化問題」です。これを量子コンピュータによって数%効率を上げるだけで、規模が大きいために世界中でものすごいレベルの効率化が起こります。そしてそのデータを人工知能(AI)が解析していくことで、さらに効率化され、物流の手配や配送も人工知能(AI)が行えるようになるかもしれません。
また、ここに人工知能(AI)による自動運転が加わったら、もう効率的な物流に人は必要なくなってしまうかもしれませんね。もちろん世界規模の話だけではなく、身近な宅配便でも同じことがいえます。
さて、ここまで量子コンピュータと人工知能(AI)によって世界がどう変わるのかについて3つ、理由とともにお伝えしてきました。量子コンピュータによる素早い膨大な数の計算処理によって人工知能(AI)がより高性能なものに急成長する。ということが今回のポイントですよね。つまり、量子コンピュータの実用化は人工知能(AI)の成長の大きな起爆剤となるということです。そういった点で、量子コンピュータと人工知能は“相性が良い”わけでしょう。
より正確な未来の予測、医療技術の発展、効率的な物流、この3つは量子コンピュータと人工知能(AI)がもたらす変化の一部に過ぎません。いまだ量子コンピュータは実用化されてはいませんが、実用化に成功する日が来たら、あっという間に、今とは全く違った未来の世界に変わってしまうのかもしれませんよね。
参照元
IBMの量子コンピュータが世界を変える(かも)
量子コンピュータはなにがすごい?文系にも分かりやすく解説してみた。