AI(人工知能)の機械学習を議論するうえで欠くことのできない用語のひとつに「クラスタ」というものがあります。言葉の意味は分からずとも一度は耳にしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
この「クラスタ」という言葉、決して機械学習の専門用語ではありません。さまざまな意味を持つ言葉であり、それぞれの分野で「クラスタ」とは別の意味で用いられています。
では、AI(人工知能)の機械学習における「クラスタ」とはいったいどのような概念を持つ言葉なのでしょうか。
今回は、「AI(人工知能)における「クラスタ」とは何か?」についてAI(人工知能)初心者の方にもわかりやすく、その意味や関連用語までを徹底的に解説していきましょう。
クラスタって何て意味?
「クラスタ」とは本来、英語で「房」「集団」「群れ」といったものを意味する言葉です。インターネット上でもこの「クラスタ」という言葉を目にしたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように、さまざまな意味で使われる「クラスタ」ですが、ここからはいよいよAI(人工知能)の機械学習における「クラスタ」とは何を意味するのかについて解説していくことにしましょう。
AI(人工知能)で使われる「クラスタ」とは
AI(人工知能)が機械学習を行うためには、大量の学習データが必要となりますよね。これらのデータには、さまざまな属性やカテゴリをもつものが含まれています。
これでAI(人工知能)で使われる「クラスタ」の意味、少しわかったような気になってきたのではないでしょうか。それではここからはこの「クラスタ」に関連する用語についても解説していくことにしましょう。
それではクラスタリングとは何か
簡単に言うと、似た者同士の集団を作り出すということですよね。
例えば、ゾウやキリン、ヘビ、カエル、カメといった「生物」のデータがあったとします。それらのデータを「尻尾があるか」という特徴量でクラスタリングした場合、ゾウやキリンのような「長い尻尾を持つ集団」、カメのような「尻尾はあるが短い集団」、ヘビやカエルのように「尻尾がない集団」といったような結果になるでしょう。
凝集型階層的クラスタリング
データひとつひとつが、各々クラスタを形成している状態から、順次クラスタを結合していき、クラスタの階層を生成する方法。
分割型階層的クラスタリング
データの集合全体が一つのクラスタを形成している状態から、順次クラスタを分割していき、クラスタの階層を生成する方法。
非階層クラスタリング(k-means法)
あらかじめ任意の個数のクラスタに分割することを決めておき、決めた数の塊にサンプルを分割する方法。
非階層クラスタリングは、階層的クラスタリングと異なり、サンプル数の多いビッグデータを分析するときに適している手法といえますが、あらかじめいくつのクラスタに分割するかは分析する人に委ねられており、最適なクラスタ数を自動的に算出する方法が確立されていないという特徴があります。
クラスタリングについてはこちらの記事も参考にしてください。
クラスタリングとクラスター分析は違うのか
クラスタ分析とは、これまでにお話ししたようなクラスタリングの概念をもとにビッグデータの分析などを行う手法のことです。ですから、クラスタリングとクラスター分析は極めて似通った概念を意味する言葉としてとらえることができるでしょう。
情報過多の現代において、いかに顧客にとって有益な情報を提示することができるか、いかにコンバージョンを上げることができるか、そのための秘策という意味でも、クラスター分析が今注目されています。
クラスタリングと教師なし学習の関係
さて、ここで話をもう一度AI(人工知能)の機械学習に戻していくことにしましょう。機械学習の手法のひとつに「教師なし学習」というものがあります。
あらかじめどのように分類するかを規定するのではなく、データの特徴や類似度からクラスタを形成していくのが「クラスタリング」でしたよね。そしてこれは、データが持つ特徴点を分析・学習していくことでデータを判断する「教師なし学習」と概念的には同じであることがお判りいただけるのではないでしょうか。
今回は、AI(人工知能)の機械学習における「クラスタ」の意味について、関連用語を交えながら詳しく解説してきました。
「クラスタ」とはAI(人工知能)学習データにおいて似た者同士をひとまとめにしたグループを意味するものでしたよね。そして、膨大なデータの中からこの似た者同士のグループを抽出してビッグデータなどの分析を行う手法が「クラスタリング」あるいは「クラスター分析」と呼ばれるものでした。
また、機械学習の手法ひとつである「教師なし学習」は、データ自身が持つ特徴点を分析していくことで、グループ分けするという観点から「クラスタリング」と同じ概念を表すものであるということも理解できました。
このように「クラスタ」の概念や意味を理解しておくことで、AI(人工知能)の機械学習をより深く学ぶことができるということがお判りいただけたのではないでしょうか。興味を持った方はぜひ書籍などでさらに詳しく学んでいきましょう。