近年チャットボットを導入して業務の効率化やシステムの向上を図ろうとする企業が増えていますよね。そして、時代の流れに乗ってチャットボットを導入しようか・・・と考えている人にとって、今までのチャットボット導入事例はぜひとも情報として仕入れて参考にしたいところ。実際にこれまでの事例を知ることで、どのように導入したら良いのか検討するうえで役立つこと間違いありません。
ところで一概にチャットボットの導入事例といっても、成功した事例もあれば失敗した事例もあるのは当然のこと。どうせなら成功と失敗の両方を知って、チャットボットの導入に失敗しないための参考にしたいですよね。そこで今回は、最新のチャットボットの導入事例について、成功例と失敗例の両方を紹介します。
まずはチャットボットとはどのようなものであるか確認しましょう。
チャットボットとは
チャットボット(chatbot)とは「チャット(chat)」と「ボット(bot)」を組み合わせた言葉。「チャット」とは「対話」のことで、主にテキストを通してコミュニケーションを取る方法のひとつで、音声でのコミュニケーションを指す場合もあります。「ボット」とはロボットを縮めた言葉ですが、機械でできたものを指しているのではなく、人間の代わりに自動で与えられた課題を自動でこなすシステムのことです。
チャットボットの活用事例が多岐にわたるということは、どんな種類があるのか気になりますよね。続いて、チャットボットの種類について解説しましょう。
チャットボットの種類
なにを軸とするのかによって変わりますが、内部の仕組みの観点からチャットボットを分類すると、次の5つです。
ログ型
これまでの会話を記録して(ログを蓄積して)、それをもとに文脈に沿うように受け答えをするチャットボットです。ログが蓄積されればされるほど、より人間らしい会話が期待され、とくに最近ではログをAI(人工知能)によって分析し、学習することで人間らしさを高めるような試みも見られます。
選択肢型
事前に設定してあるシナリオから選択して対話を進めるチャットボットです。選択肢型では設定されたシナリオどおりにしか受け答えができませんが、分岐さえ整っていれば手軽にチャットボットを導入できるというメリットがあります。
ハッシュ型(辞書型)
キーワードと返答の組み合わせを複数辞書に登録し、入力された文章の中からキーワードを探し出し、キーワードが含まれている場合には適した返答をするような仕組みのチャットボットです。充実したチャットボットにするには、大量の辞書への登録が必要となります。
選択肢型+ハッシュ型の混合型
その名の通り、選択肢型とハッシュ型の両方の機能を持ったもので、多くの場面で利用されているチャットボットです。両方の利点を兼ね備えている一方、両方のデメリットも含んでいます。
Eliza型
現在のチャットボットの起源であるElizaがもととなっていて、文章を入力すると会話が成立しているかのように言葉を返してくれるチャットボットです。聞き役であることが多く、相槌を打ったり、聞き返したりすることで受け答えが成立します。
ここまでチャットボットの概要について説明したところで、続いてチャットボットの導入事例について紹介しましょう。まずは成功事例です。
チャットボット導入の成功事例一覧
さまざまな企業や自治体でチャットボットを導入した事例があり、チャットボットで成功事例も見られます。ここで紹介するのは5つのチャットボット導入の成功事例です。
SBI損害保険株式会社
自動車保険を中心に取り扱っているSBI損害保険株式会社は自動車保険の相談や見積もりに人間のオペレーターが対応しているため、平日の9:30から17:30までしか窓口を開いていませんでした。そこでチャットボットを導入し、現在は人間のオペレーターに加えて24時間対応のチャットで自動対応しています。結果、顧客満足度が向上したり、オペレーターの負担軽減へとつながったりと、チャットボット導入の成功事例の1つとなりました。
島村楽器株式会社
島村楽器株式会社も顧客対応にチャットボットを導入し成功した事例の1つです。以前、島村楽器株式会社では深夜帯の問い合わせに対する回答が翌日になってしまったり、電話やメールでの対応件数が多く人件費がかかったりする問題をかかえていたのだとか。そこで電話やメールなどに加えて、チャットボットを導入したことで、営業時間外でもスムーズに対応できるようになり、またメールの件数減少によって人件費を削減につながりました。
株式会社ユニクロ
株式会社ユニクロは専用アプリでユニクロIQと呼ばれるチャットボットのアシスタントを導入し、自分だけの買い物支援機能を使えるようにしました。ユニクロIQではシーンや季節、商品に合わせたおすすめのコーディネートの紹介や店舗ごとの在庫確認が可能です。結果、購買の促進や手間の軽減となり、チャットボット導入して成功した事例となりました。
ヤマト運輸株式会社
ヤマト運輸株式会社では荷物の再配達依頼と集荷依頼にチャットボットを使って成功した事例があります。これはLINEを使ったサービスで手軽に使えるため顧客の利便性が高く、ドライバーの負担の軽減にもつながりました。
横浜市
最後に紹介するチャットボット導入の成功事例は横浜市のゴミの分別に関する事例です。ゴミの分別って迷うことが多かったり、普段滅多に捨てないものはどのように捨てたらいいのかわからなかったりすることが多いですよね。そんなお悩みを解決すべく横浜市ではチャットボットを導入し、いつでも手軽にゴミの分別の仕方が確認できるようなサービスを提供しています。
※実際にAIZINE編集部で横浜市のチャットボットに質問した記事があるので、どんな感じの応答をするのか気になる方はこちらをご覧ください
一方で、チャットボット導入の成功事例もあれば、失敗事例があります。どれだけ便利なツールであっても上手に使わなければ持てあましたり、損したりするでしょう。次にチャットボット導入の失敗事例を紹介します。
チャットボット導入の失敗事例一覧
チャットボット導入で業務効率化や顧客満足度向上に成功した事例もあれば、失敗した事例も数知れず。ここではどのような失敗したのかという視点でチャットボット導入の失敗事例を紹介します。
精度が低い
開発工程の省略などにより、学習データや辞書への登録が少ないがため、まともに回答できないチャットボットができてしまう事例があります。今まで人間がしてきた対応をすべてチャットボットに担わせるのは不可能ですが、最低限の精度を持たせなければ使い物になりません。
無駄にハイスペック
意外に感じるかもしれませんが、先ほどの事例とは逆に、むやみやたらに機能があったり、異常なほど高い精度だったりと、ハイスペックなチャットボットも失敗事例となる可能性が。というのも、ハイスペックにしようとすればするほど費用や時間がかかるうえに宝の持ち腐れとなったり、不具合への対応に苦労したりと無理が生じるからです。
ニーズを満たさない
世の中の商品やサービスはニーズがあるからこそ購入されたり利用されたりするもの。チャットボットも例に漏れず、ニーズ不足は失敗事例へとつながります。ユーザが求めている機能を持っていなければ役に立ちませんよね。
使い勝手が悪い
例えば、アプリ内で完結せず別アプリを開かなければならない、どこにチャット画面があるのかわからない、といったチャットボットの失敗事例もしばしば見られます。いくら性能が高くても、ユーザが使い勝手が悪いと感じれば使われることなく終わり、場合によっては競合他社に顧客を取られる可能性も。
不測の事態に対する備えがない
チャットボットはロボットなので不測の事態への対応が難しく、緻密に設計しても回避できません。また、チャットボットは人間が作るので実際の運用で問題点が発覚することも。これらの場合には主に人間が対応することになりますが、速やかに対応できない環境であると、本来便利となるはずなのに逆にユーザの不満が溜まってしまい、結果的にチャットボットを導入の失敗してしまうでしょう。
ここまでチャットボット導入の失敗事例を紹介しましたが、では私たちはこの失敗事例から何を学べば良いのか紹介します。
チャットボットの導入失敗例から学べる教訓
チャットボットの導入失敗事例から多くのことが学べますが、大きくわけて次の3つがあります。
チャットボット導入が目的となってしまうと危険
「時代はチャットボット!とりあえず導入しよう!」という勢いでチャットボットを導入すると失敗事例の1つとなるので、注意しましょう。というのも、チャットボットは本来ユーザの利便性向上や顧客獲得、業務の軽減のためにあるもので、チャットボット導入は目的ではなく手段だからです。このため、十分にニーズや機能を検討したうえでの導入が必要です。
事前調査が不十分では的外れのものができてしまうので注意
チャットボットを失敗事例のようにさせずに上手に導入するためには、事前調査が不可欠です。事前調査を怠ると、誰にも必要のない無駄なシステムができるだけで、まったくもって役に立ちません。どこにどのようなニーズがあるのか、どれくらいの精度や機能があればいいのか把握することがチャットボット導入を成功させる1つの重要なステップでしょう。
どのようなものをどのように作るのか明確にしないと中途半端に終わる
事前調査に加えて明確な設計をしなければ、チャットボットは紹介した失敗事例に終わるでしょう。何が必要となるか、という機能面だけでなく、どのような作りにすれば使いやすいのか、イレギュラーに対する対応はどのようにするか、綿密に設計しなければなりません。
このように、チャットボット導入に当たって失敗事例は大きく参考となります。では、チャットボット導入を成功させるにはどうしたら良いのかのポイントをお伝えします。
チャットボットの導入を成功させるためのポイント
チャットボット導入を成功させるには次の3つのポイントをチェックすることが欠かせません。
本当にチャットボットが必要なのか検討する
そもそも論になりますが、チャットボットが本当に必要かから検討することがチャットボット導入に成功、正確には失敗しないために大切です。チャットボットの失敗事例でも述べましたが、チャットボットは目的ではなく手段なので、なにを達成したいのか、そのためにチャットボットが必要なのか、チャットボットでなければならないのか、十分に考えたうえでチャットボット導入を進めましょう。
導入してなにがしたいのか、目的をしっかり立てる
次に、明確な目的を立ててからチャットボット導入を進めることが成功の秘訣となります。くどいですが、チャットボットはあくまで目的達成の手段です。クレーム対応に使いたい、質問対応に使いたいなど、具体的な目的を設置しましょう。
目的の達成のためにはどのようなことが必要か調査する
目的がはっきりとしたら、実現に向けて十分に調査をすることが成功の秘訣となります。どのような機能が必要か、どんなニーズなのか、どのように設置すると使いやすいのか、イレギュラーへの対応はどのようにすればいいのか、導入するチャットボットを具体的に明確化しましょう。
さて、今回は最新のチャットボットの導入事例について、成功と失敗の両方を紹介しました。チャットボットとは、人間の代わりにロボットが自動で対話をするシステムの総称で、いたるところで使われています。チャットボット導入の成功事例として次の5つの企業や自治体があり、さまざまなチャットボットがありました。
- SBI損害保険株式会社: 24時間対応のチャットで自動対応
- 島村楽器株式会社:営業時間外対応
- 株式会社ユニクロ:コーディネート紹介や在庫検索
- ヤマト運輸株式会社:荷物の再配達依頼と集荷依頼
- 横浜市:ゴミの分別についての問い合わせ窓口
一方でチャットボット導入の失敗事例もあり、「精度が低い」「無駄にハイスペック・ニーズを満たさない」「使い勝手が悪い」「不測の事態に対する備えがない」などがあります。それに対する次の3つの教訓がありました。
- チャットボット導入が目的となってしまうと危険
- 事前調査が不十分では的外れのものができてしまう
- どのようなものをどのように作るのか明確にしないと中途半端に終わる
多くの時間や費用のかかるチャットボットなので、便利なものにしたいですよね。チャットボットの成功事例と失敗事例を参考に、より良いチャットボットを導入しましょう。
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