社会に大きなイノベーションを巻き起こしつつあるブロックチェーンとAI(人工知能)。この2つを組み合わせることによって、より大きなインパクトを生み出すことができると世界中の企業が注目しています。ブロックチェーンとAI(人工知能)の組み合わせによってどのようなメリットが得られるのか、とても気になりますよね。
それぞれ単独でも強力なパワーを持つブロックチェーンとAI(人工知能)。ところがこの2つを組み合わせることで新たな効果を得ようとする企業が現れています。2018年2月には、中国EC第2位のJD.comがブロックチェーンとAI(人工知能)を組み合わせたアクセラレータ(大企業がスタートアップ企業と提携または投資を行うプログラム)を発表しました。今後この流れはますます加速していくことでしょう。それでは、AI(人工知能)とブロックチェーンを組み合わせることで得られる3つのメリットをお伝えします。
AIはブロックチェーンが持つセキュリティ面のメリットを最大限に生かせる
ブロックチェーンは、暗号化技術によってデータを安全に保存することができます。そのため、ブロックチェーンは個人情報や金融情報といった、高度なセキュリティが要求されるデータの保存に適しているといえるでしょう。ところが従来の処理方法では、暗号化されたままのデータを扱うことは困難でした。ブロックチェーン上のデータにアクセスするためには、事前にデータの暗号化を解除する必要があったのです。つまり、ブロックチェーンにデータを保存していても、データを処理する過程で不正なアクセスを受ける可能性はゼロではありませんでした。
一方AI(人工知能)は、データを暗号化したまま扱うことができます。そのためブロックチェーンに記録したデータをAI(人工知能)で処理することにより、データ処理の途中で第三者から不正にアクセスされるリスクを最小限に抑えることができるのです。
ブロックチェーンにより、AIの意思決定の過程が追跡・理解・説明可能となる
AI(人工知能)は膨大なデータを分析し、データに含まれるどの要素が重要な決定因子であるであるかを自ら学習することができます。こうした学習に基づきAIが下した意思決定は正確ですが、その過程を人間が理解することは簡単ではありません。
AI(人工知能)が複雑で重要な意思決定を行う機会は、今後ますます増えることでしょう。その一方で、もうしばらくはAI(人工知能)の意思決定を人間が監査する必要があると考えられています。
AI(人工知能)の意思決定の過程をブロックチェーン上に保存することは、それを人間が追跡・理解・説明するための第一歩となります。ブロックチェーンを利用することでAI(人工知能)が下した意思決定の正当性を検証できるようになれば、AI(人工知能)は社会の中でますます重要な役割を占めるようになるでしょう。
AIは人間や従来のコンピュータよりも上手にブロックチェーンを管理できる
AI(人工知能)を用いないコンピュータは、手順が明確に定められた計算を行うことしかできません。そのため、従来の方法で暗号化されたブロックチェーン上のデータを扱うには、膨大なマシンパワーを必要としていました。
このことを、ビットコインのマイニングを例として説明しましょう。
AI(人工知能)はビットコインのマイニングを、より効率的な方法で行うことができると期待されています。人間がより良いマイニング手法を見つけ出すためには、長い時間をかけて知識と経験を積む必要があるでしょう。しかしAI(人工知能)であれば、適切なトレーニングデータさえあれば、これを短時間のうちに実現することができるのです。
ブロックチェーンとAI(人工知能)を組み合わせる3つのメリットについて紹介しました。この2つの技術は、お互いの短所を補いつつお互いの長所を際立てるという、いわば相思相愛の関係にあります。
ブロックチェーンとAI(人工知能)を組み合わせるメリットは
- AIはブロックチェーンが持つセキュリティ面のメリットを最大限に生かせる
- ブロックチェーンにより、AIの意思決定の過程が追跡・理解・説明可能となる
- AIは人間や従来のコンピュータよりも上手にブロックチェーンを管理できる
米ヴィラノヴァ大学教授のSteve Andrioleは、「2018年にお金を生み出す6つのトレンド」の2つにブロックチェーンとAI(人工知能)を選出しました。ブロックチェーンとAI(人工知能)の組み合わせには世界中の企業が注目しており、イノベーションの流れはますます加速していくと考えられます。
ブロックチェーンとAI(人工知能)が、今後社会においてより重要な役割を占めることは間違いありません。これからもブロックチェーンとAI(人工知能)に注目していきましょう。