「アレクサ、〇〇して」の依頼に対し、スムースに対応してくれる製品のテレビCMがありますよね。これはアマゾン エコーのテレビCMですが、音声だけでいろんなことに対応してくれるなんて、なんか便利そうだなあ、と気になっている方もいらっしゃることでしょう。
アマゾン エコーはAmazonが開発/販売するスマートスピーカーで、世界シェアトップで(シェア32%。2位はGoogleの23%)、特に北米では70%とダントツのシェアを誇る人気商品です(北米におけるGoogleシェアは25%)。
スマートスピーカーは私たちの音声依頼に対し、AI(人工知能)により音声などで対応してくれる、とても便利な装置です。スマートスピーカーに話しかけることによりニュースや音楽を聴いたり、メモや調べものを行うことができますが、依頼は音声だけなのに、一体どのような仕組みで対応しているのか気になりますよね。
ということで、今回はアマゾン エコーが私たちの音声依頼に対してどういった仕組みで対応しているのか、また、お薦めのアマゾン エコーの便利機能についてお伝えします。
アマゾン エコーの仕組み
アマゾン エコーの仕組みを考えるにあたって、ここでは例として東京都千代田区の天気を質問する場合について考えてみましょう。
この場合の処理手順は大雑把には以下の4stepになります。ここで注目いただきたいのが、私たちの目の前にあるアマゾン エコー本体の役割が意外と小さいということで、実際の処理はAmazon社のコンピュータセンターにあるAI(人工知能)、Amazon Alexaによって実現されている点です。
- 1step:アマゾン エコー本体に質問する「アレクサ、ヤフー天気で、東京都千代田区の天気を教えて」
- 2step:アマゾン エコー本体が質問音声を取り込み、インターネット経由でAmazon Alexaに送る
- 3step:Amexaが天気を調査のうえ結果を音声に変換し、インターネット経由でアマゾン エコー本体に送り返す
- 4step:アマゾン エコー本体が音声で回答する
私たちには目の前にあるアマゾン エコー本体が、私たちの依頼に対し考えたり調査したりしてくれるように見えますが、実際に処理しているのはAmazon社のコンピュータセンターにあるAI(人工知能)であり、アマゾン エコー本体の役割は、1)聞いた音声質問を伝える、2)送付されてきた回答音声を出力する、の2点のみということになります。
ただし、アマゾン エコー本体にも注目すべき機能があります。それは上記2stepにおける質問音声の取り込み機能で、ビームフォーミングという技術により5m以上離れた場所から話かけたり、テレビの音が流れている状況でも、7つのマイクでしっかりと私たちの音声を認識することができるというスグレモノなんです。
アマゾン エコー本体が搭載している7つのマイクにより利用者までの方向、距離を特定し、他方向からの音声干渉を抑えて利用者音声を拡大する技術です。
次に、上記3stepにおいてAmazon Alexaがどのような処理を行っているのか確認しましょう。
Amazon Alexaがどのような処理を行っているのか
Amazon Alexaが行っている処理は以下の4点です。
- 質問の音声データを単語の組み合わせに分解
- 単語の組み合わせから質問の意図を理解
- 質問の意図に対応する処理を行い、回答文章を作成(今回の例の場合、現時点の東京都千代田区の天気を他のサービスより取得し回答文章を作成)
- 回答文章を音声データに変換し、アマゾン エコー本体に送り返す
アマゾン エコー本体が上記④の回答の音声データを受信/出力して処理完了となりますが、上記処理においてキーとなるのは③であり、ここは「スキル」(Skills)と呼ばれるモジュールが実行します。このスキルの豊富さがAmazonの強みとなっています。
日本でアマゾン エコーが販売開始となった当初スキル数は265件でしたが、現在では2,020件と急増しています。ちなみに、英語版スキルは3万件を超えています。
それでは次に、アマゾン エコーのスキルによる便利機能について詳しく見ていゆきましょう。
アマゾン エコーのスキルによる便利機能について
ここではスキル例として7件ご紹介します。きっと使ってみたいと思わせてくれる機能があるでしょう。
天気の確認
- スキル例:Yahoo! 天気・災害
- 機能概要:今日から7日先までの天気、気温、降水確率、気象警報を確認することができます。なお、本スキルはアマゾン エコーのプッシュ通知機能と連動しており、例えば雨が降る予報の場合には朝のうちに通知、といった使い方も可能となります。
- 聞き方例:「アレクサ、ヤフー天気で、東京都千代田区の天気を教えて」
電車の運行状況確認
- スキル例:JR東日本 列車運行情報案内
- 機能概要:JR東日本の運行情報を確認できます。なお、本スキルもアマゾン エコーのプッシュ通知機能と連動しており、例えば登録した路線で遅延発生時に通知、といった使い方が可能です。
- 聞き方例:「アレクサ、JR東日本の山手線を調べて」
銀行口座の残高確認
- スキル例:みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、住信SBIネット銀行、ジャパンネット銀行、セブン銀行、じぶん銀行
- 機能概要:銀行の残高および入出金明細を確認できます。なお、確認の際にパスワードなどは不要で誰の声でも銀行残高の確認可能ですが、送金や振込等を行うことはできません。
- 聞き方例:「アレクサ、みずほ銀行で残高をチェックして」
株価の確認
- スキル例:QUICK
- 機能概要:上場株式の株価を教えてくれます(銘柄名か銘柄コードを質問してきますので指示します)。また、東証一部の値上がり率/値下がり率/売買代金/売買高の上位5銘柄の他、市況ニュースを読み上げてくれます。
- 聞き方例:「アレクサ、クイックを開いて」
受信メールの確認
- スキル例:音声メールM
- 機能概要:マイクロソフトのメールサービス365/Outlook/Exchange Onlineに届いたメールを読み上げてくれます。今日のメール/昨日のメール/先週木曜日のメールなど日付指定により最新のメールから読んでもらう事もできます。
- 聞き方例:「アレクサ、音声メールを開いて今日のメールをチェック」
タクシーの配車
- スキル例:全国タクシー
- 機能概要:登録している住所までタクシーを配車することができます。全国の47都道府県に対応しています。
- 聞き方例:「アレクサ、全国タクシーを開いてタクシーを呼んで」
ホテルの空室情報の確認
- スキル例:JTBホテル
- 機能概要:日本全国17,000以上のホテル/旅館について空室情報を確認できます。なお、詳細情報をAlexaアプリで受け取る事もできます。
- 聞き方例:「アレクサ、JTBホテルで箱根の宿を探して」
スキルの追加/管理はスマホアプリであるAmazon Alexaアプリにより、簡単に行うことができます。アプリでスキル追加したうえで「アレクサ、◯◯(スキル名)を開いて」と言えばスキル起動し使い始めることができます。
ということで、今回はアマゾン エコーが私たちの依頼に対しどういった仕組みで対応しているのか、また、お薦めのアマゾン エコーの便利機能7つについてお伝えしました。
アマゾン エコーの仕組み
- アマゾン エコー本体の役割は案外小さく、ほとんどの作業をAmazon社のコンピュータセンターにあるAI(人工知能)、Amazon Alexaが担当しています。音声質問への対応を実際に行っているスキルと呼ばれる追加機能の豊富さがAmazonの強みです。
- アマゾン エコー本体の役割:聞いた音声質問を伝える、送付されてきた回答音声を出力する
- Amazon Alexaの役割:音声質問より質問の意図を理解し質問への対応を行い回答音声を作成
アマゾン エコーのスキルによる便利機能7つ
- スキルによる便利機能7つをご紹介しました。
天気の確認、電車の運行状況確認、銀行口座の残高確認、株価の確認、受信メールの確認、タクシーの配車、ホテルの空室情報の確認
私たちの音声依頼に対して様々な対応をしてくれるアマゾン エコーですが、私たちのしゃべることの全てを理解し、どのような質問にも答えるといった過大な期待をしてしまうと「ちょっとよく分からなかったです。ごめんなさい」となってしまうので注意が必要です。
現時点では、アマゾン エコーが出来ると分かっている範囲内で有効活用するのがコツのようですが、スキル件数の今後の急増も見込まれており、アマゾン エコーとの会話を楽しみながらいろいろと便利な使い方を見つけてゆくのも私たち利用者の楽しみ方なのかもしれません。