AI(人工知能)を活用したサービスや商品など、年々目にする機会が増えてきましたよね。AIを活用した業務の時間短縮ツールや、AIデータを活用した自動分析、更には人手不足問題までをも解消してくれる。なんて事例も、ニュースやネットで、得られるようになりました。
事業で結果や利益を求めることに触れる位置におられる人であれば、売上UPにつながるのであれば、時間短縮に繋がるものならば、ぜひとも利用したい。という思いはあるはずです。
取引先の社長さんに
という声や
数字や結果に敏感な先輩に
なんて報告をしようものなら、
なんて、満面の笑みを浮かべて、言ってくれそうな顔が浮かびます。
でも、実際利用しようと思って調べてみると、なんだか小難しくて、内容が頭に入ってこない…なんてこと、ありますよね。
しかし、ここで諦めてしまっては、時間短縮、成果UPの大チャンスを逃してしまうかもしれません。
そこで今回は、先陣きってAIを活用し、成果をあげた企業の事例をピックアップし、そこから見えてくるAIを活用した売上UPの秘訣を探っていきます。
近い将来AI(人工知能)の普及が当たり前になることが予想される中で、AIを上手に活用していくには何が必要かをお伝えしていきます。
利益10倍も夢じゃない!創業100年の老舗和食店が行ったAI事例
1つ目は、創業100年の老舗和食店がおこなった、「来店予測AI」開発についてお伝えします。伊勢神宮から徒歩1分の好立地の「ゑびやさん」。今でこそ、和風のスッキリしたデザインの佇まいで、時代にあった経営をされているのだろうなということが見るだけで伝わってきますが、少し前までは、エアコンもない、レジもなんと、そろばん…経営判断ももっぱら、経験や勘といった具合で、飲食店の基本、接客・サービス・メニューも全くほこれるものではなかったそうです。
そんなお店が変わった裏側には、「小田島春樹」さんという存在がありました。小田島さんはゑびやの娘さんの旦那様。1985年生まれで、ゑびやさんに入社する前はIT会社で働らいていました。
小田島さんがまずはじめに行ったことは、飲食店の基本である、接客サービス、メニューの改革。食べログの評価を「2.86」から「3.5」まで上がることを目標とし、見事に達成したのです。
次に行ったことは、
- タブレットPOSシステムを使った売上データ
- 食べログの自店ページのアクセス数
- Googleアナリティクスのアクセス情報
毎日125項目のデータを集め、売上、集客を分析。数字分析することで、結果の見える化を行いしました。はじめは、エクセルで集計していたといいます。
この作業。ITリテラシーの高い小田島さんであれば、15分もあれば出来る作業ですが、接客や料理が専門職の従業員が作業をするとなると、「エクセルって何?」「文字はどうやって変更するの?」といった始末で、1時間以上もの作業時間がかかってしまったようで。小田島さんは、付き合いのあったシステム会社を利用することにしました。
データ分析を利用した活動の広がり
次のステップはツールを使った分析です。「BIツール」という、データを分析・加工・視覚化するためのツールで、ゑびやさんが導入したものは、マイクロソフトの「Power BI」。
このツールを利用することで、
- 時間別来店者数
- 滞在時間
- 客数
- 客単価
- 売上
といったものが、一目で確認が可能に。
このように数値化することで、経験と勘による判断から、データ結果による判断へと変わり始めたのでした。
そしてついに、次の展開は、「アロバビューコーロ」というAIを活用したシステム。
このシステムは、カメラを設置することで
来店されたお客様の
- 性別
- 年齢
- 初来店かリピーターか
- その時の感情
など、どのようなお客様が来店されているかのデータを取得することができ、
外にカメラを設置すれば
- お店の前を何人が通り、そのうち何人が入店したか
- ディスプレイがあるときとないときの入店率の比較
なども把握することができのです。
そこで得たデータを元に、
施策4 AIを使ったツールで
- 費用対効果を元にしたディスプレイにかけれる金額の見える化
- 翌日の来客数やメニューの注文数の予測 を分析
売上に繋がる施策へと活用していきました。
ゑびやさんでは、来店予測を本格的に業務運用ツールとして活用するため、
- 過去の売上データ
- 天気予報
- 近隣の宿泊数
など、400種類ものデータを収集。その中から何を利用すれば正確に予測することができるるかと試行錯誤しながら洗い出し、独自の「来店予測AI」が開発されました。
こうやって完成した来店予測AIシステムの的中率は、なんと90%以上!!
AIを活用して生まれた変化
90%と精度の高い来店予測ツールの活用で次の日の予測が見える化できるようになった結果
- 食材の発注ロスを減少
- メニュー価格へ還元
- 常に新鮮な食材を提供
- 効率的に無駄のない予算分担
- 働く従業員の給与UP
- 業者さんへ、良い値段で取引 と、良い循環が広がったのでした。
そして、従業員で行っていたレジの集計業務も自動化でき、1時間の空き時間が生まれ、ゑびやさんでは、その時間をお店の掃除時間に当てているということです。更に、お客様の満足度は上がりますよね。
こうやってできたサイクルにより、売上は4倍、利益率は10倍へ。
目標に向かって1つずつステップアップし、やりきった。素晴らしい成功事例ですよね。
様々な5つの事例をご紹介
他にも色々事例がありました!5つの事例を箇条書きにあげていきます。
①ユーザー視線の動きを利用したデータ調査
自動販売機にアイトラッキングを取り付けて視線の動きを調査しました。人間の視線の流れはZ型に動いていくと言われているため、大切なものは、左上に置こうという定説があります。
しかし、アイトラッキングで調査を行ったところ、自動販売機においては、下段に視線が集まることが分かりました。その結果を踏まえ、主力商品を下段に配置したところ前年比1.2%増しになりました。(ダイドードリンコ)
②ICチップを利用した商品・売上管理
スシローでは、すべての回転寿司皿にICタグをとりつけ、寿司の鮮度や売上状況の管理を行っています。
ICをつけることで、レーンに流れた寿司はいつ食べられ、どのテーブルでどんな商品が注文されたか等も記録できます。そのデータが蓄積されることで、ネタの需要や、必要な量をコントロール出来るようになりました。鮮度管理や売上管理、無駄コストの削減に成功し利益上昇につながっています。(スシロー)
③ポイントカードを利用した仕入れ管理
コンビニでは、ポイントカードの利用者を増やし、消費者の購買動向をデータ分析を行い、効率のよい仕入れの最適化につなげています。
長期的な観察を続けることで、人気商品が分かるだけでなく、毎月の売上順位は低い商品だけれど、ベビーユーザーの6割が購入している。などといった解析も読み取れるようになり、細やかな仕入れ管理へと成長していっています。(ローソン)
④販売・来客データで製造管理
パンの製造・販売を行っている会社では、それまで各店舗の店長が自身の経験値で製造量を決定していっていたところ、データを活用した予測分析を開始しました。
販売履歴と来店客数のデータを利用し分析を行い、商品の売れ行きパターンを予測しました。その予測データを利用して製造量を決定した店舗では2%売上を上げることができました。(アンデルセン)
⑤コールセンターでスタッフの行動分析
コールセンターを行う会社で、受注率の異なるスタッフにセンサーを取り付けてスタッフの行動と売上の検証を行いました。
その結果、休憩中の活動が活発な人の方が受注率が高く、休憩中に上司がスタッフに声をかけていくとスタッフの雑談は盛り上がり、よい循環が生まれることが分かりました。そこで、1年間休憩中のコミュニケーションを活性化する施策を行ったところ、なんと売上が27%も増加することができました。
AI(人工知能)の活用方法
事例を見ていくと、AIを活用している企業では、それぞれの目的があり、その目的のためにデータを利用し、分析結果を利用して施策運営を行い成果へ近づけていっている様子が伺えます。
【企業でAI(人工知能)を活用される方法は2種類】
- 業務の効率化
- データを用いたマーケティング支援
5つの事例をこの2つに分類するのであれば、
②〜④は業務の効率化
①、⑤はマーケティング支援
に分類されるでしょうか。
そして
データを集める → データを分析 → 結果から見えた施策を行う → 結果を確認する → 利用 → 改善 → 調整し精度を高めていく
このような流れで、人間であれば何時間もかかってしまうような複雑なデータ仕分けや分析を、AIが行ってくれるのです。
最後に注意点をまとめると
【AI(人工知能)活用時の注意ポイント】
- AIを導入したから何かができるのではなく、目的の手段としてAIを活用するという意識が必要
- AIサービスを取り入れたから明日からおまかせ!自動化!を期待してはいけない
- 精度の高い自動化ツールとして現場で利用していくには、必要なデータを選定するなど調整する手間も必要である
- 時間コスト、費用対効果を考えて利用するか考える
と、お任せするのではなく、利用する。効率化、見える化するツールとして主体的に利用し、活用するのが成功の秘訣ですよね。
まとめ
さて、AI(人工知能)を活用した成功事例を通して、AIを利用して売上アップする方法をお伝えしてきました。記事を通して
- 分析結果を利用した施策で、売上UPにつながっている事例はすでに多数ある
- AIを利用すれば、単純作業の業務の自動化・効率化が可能
- AI機能を利用したデータ分析で、マーケティングの見える化が実現できる
- 施策を繰り返すことで精度があがり、成長していく
- AIは受動的に活用するのではなく、目的の手段として活用していく必要がある
ということが分かりましたよね。
AIを導入することで、AIが勝手に売上改善を行ってくれるようなものではありませんが、改善施策を考えるためのデータを瞬時に整えてくれたり、感覚ではない、結果に基づいたデータを与えてくれます。
根拠のあるデータをもとに業務を進めていけるって本当にありがたいこと。そうなることで、何となく行われていたことも、「必要だからこうする」といった精度の高い仕事が増えてきそうな予感がします。こうやって根拠のある仕事は、何かしら絶対に成功へ近づくものです。
これは、冒頭に空想したような、
の言葉をもらうのもの夢じゃない!
AIサービスといった大掛かりなものでなくとも、まずは無料で使える一元化分析ツールなどから試し、データ分析で導かれた結果を元に、時短で効率UP、売上UPへと繋げていきたいですよね。
AI(人工知能)を活用した事業展開に興味のある方は、こちらの記事オススメです。時間短縮、効率化、ロボットを活用したおもてなしサービスなどを紹介しています。どうぞ合わせてご覧ください。
参照元
中小企業のAI活用事例!利益10倍を実現した「ゑびや大食堂」に学ぶデータを活かすという意識
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