普段はあまり気にすることがありませんが、気にし始めると結構気になるのが、防犯カメラです。駅やコンビニ、階段やエレベーターなど、防犯カメラがないところを歩くのが困難なぐらい、あちこちに防犯カメラがありますよね。例えば、自宅を一歩出てみて、最寄り駅までの間に防犯カメラが一台もないルートはまずないと言えるでしょう。
確かに、多くの防犯カメラに囲まれていると、物騒な気がしますが、逆に安心感もあると言えます。実際に、防犯カメラが設置されている場所は、設置される前に比べて確実に犯罪の発生件数が減っているという結果も出てきており、今後ますます防犯カメラの数が増えていくものと考えられています。
このように、数が増えてきている防犯カメラですが、カメラ自体の機能も進化してきており、画像の解像度や、録画可能時間が増え、カメラが捉える情報量が格段に増えてきています。
さらには、人工知能(AI)が防犯カメラにの映像を分析して、犯罪を予防することができるようになりました。例えば、映像の中から銃を所持している人を検出して、警察に通報するなどして、犯罪を予防することもできるようになってきています。
よって今回は、皆さんが思っている以上に進んでいる、人工知能(AI)を搭載した防犯カメラの実力について、解説いたします。
抑止力の向上につながる防犯カメラ
さて、毎日必ず目にする防犯カメラの数ですが、一体どれぐらいあるのでしょうか?
目安として、日本での2017年度の統計をお伝えしますと、1年間で約4400万台も導入されています。しかも毎年、前年の導入台数に比べて3割の伸びがあるということなので、今後さらに防犯カメラの導入が進むと考えられます。
確かにここ数年、防犯カメラの台数が増えてきていると実感でき、駅などの公共施設やお店では、必ずと言っていい程防犯カメラが設置されていますし、新幹線や電車の中にも設置されたり、繁華街や一般道路にも広がってきています。
実際には、防犯カメラに見られているという意識が働くことによって犯罪を抑止したり、コンビニ前に設置された防犯カメラが交通事故の現場を捉えていたりするなど、防犯カメラが犯罪の対策として、効果を発揮するケースも増えてきております。
防犯カメラの進化
ここで、防犯カメラの進化についても解説いたしましょう。なんと言っても、防犯カメラの進化で顕著なのが、映像の解像度の向上と言えるでしょう。初期の防犯カメラは、ガラケーのカメラよりも低い解像度しかなく、数メートル離れた人間の顔や車のナンバーすらも認識できないようなレベルでした。
しかし、技術の発展により防犯カメラの高解像度化が進み、近ごろはテレビでもおなじみの4K画像で録画することができるようになりました。さらに、IoT化により防犯カメラがネットワークにつながるようになり、複数の防犯カメラを遠隔地から集中管理ができるようになりました。
このように、日々発展を続ける防犯カメラですが、多くの情報が捉えられるようになった反面、それを解析するには膨大な作業が必要になり、もはや人間の目視では追いつかないレベルになってきています。その膨大な映像解析をするのが人工知能(AI)なのです。
大量の情報を瞬時に処理する、まさに人工知能(AI)にとって適役です。次の節では、人工知能(AI)を搭載した防犯カメラの導入事例についていくつかご紹介しましょう。
人工知能を搭載した防犯カメラの実力とは
まずは、海外での事例について触れましょう。特に銃社会であるアメリカでは、銃による事件が頻繁に起こり、大きな事件が起こった場合は、海外からそのニュースで伝えられることもしばしばあります。
実際にアメリカでも、防犯カメラの導入は進んでおり、特に人が集まる場所に導入が進められており、銃による事件を未然に防ぐための努力がなされています。そんな中、ペンシルベニア州の高校では、人工知能(AI)を搭載した防犯カメラを導入しました。
ディープラーニングによって、銃の形状を記憶した人工知能(AI)は、防犯カメラの映像を解析し、2秒以内で99%の確率で銃の所持を発見することができるのです。
そして、クラウドを通じて予め設定した通報先(警察や警備会社など)に通知したり、犯人が載っているエレベータを停止させたり、犯人がいる部屋の鍵をロックしたりするのです。さらに、モバイルアプリでその検出時の映像を見ることもできます。
さすがはアメリカ、防犯技術もかなり進んでいますよね。
一方、日本では銃による犯罪がほぼ起きないにせよ、人工知能(AI)を搭載した防犯カメラがここでも活躍の範囲を広げています。
やはりディープラーニングによって、不審者の行動を学習した人工知能(AI)が来店者の不審な行動を自律的に検知することができ、具体的には、万引き対策として人工知能(AI)を搭載した防犯カメラが導入されています。
ここでは、人工知能(AI)が常に店舗の映像を分析して、不審な行動を発見するや否や、クラウド経由で店員のスマートフォンに通知をします。
そして、通知を受けた店員は、現場にいる不審者に対して「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」などと声をかけたり、買い物カゴを渡してあげたりなどして、万引きを防ぎます。
このように、日本でも海外でも、ディープラーニングによって、人間の行動パターンを学習した人工知能(AI)が防犯カメラの映像を解析して、犯罪を予防するという方式が主流になりつつあります。
今回は、人工知能(AI)が防犯カメラの映像を解析し犯罪を予防するシーンについて解説してまいりました。
これまでは、事件が起きた後に防犯カメラの映像を検証していましたが、人工知能(AI)を搭載した防犯カメラの登場によって、事件に繋がりそうな不審な行動を検知し、予防措置を取ることができるようになってきました。
日々、犯罪の手口は増えていますが、ディープラーニングによる自己学習や、新しい行動パターンを登録することにより、人工知能(AI)を搭載した防犯カメラは、さらに活動範囲が広がることでしょう。そして今後は、犯罪の監視だけではなく、横領や着服、そしてパワハラやセクハラなどの内部不正の検出にも範囲を広げていくことが期待されます。
確かに、防犯カメラが多く設置されている場所は少し物騒な気がしますが、このように、人工知能(AI)が防犯カメラを通じて
安心できる生活をサポートしてくれるのはとても、ありがたいですよね。