近ごろ、企業にAI(人工知能)を導入したおかげで、業務効率が大きく改善しているという話をよく耳にするようになりましたよね。ただし、早い段階からAI(人工知能)を業務に導入している企業は、どちらかと言うと資本が潤沢な大企業が中心となっていました。
しかし、最近はあまり元手を必要とせずに比較的簡単にAI(人工知能)を業務に導入できるようになりつつあり、企業の規模に関わらず、AI(人工知能)を業務に導入している企業も増えてきています。
そんな中、いつ上司に「我が社もAI(人工知能)を導入してくれ」と言われるのではないか、ビクビクしているシステム担当者も多いのではないでしょうか。
確かに、AI(人工知能)を導入したら、格段に業務効率が上がるのは分かるのですが、一般の業務システム同様、ただ単に導入するだけではウマく行かないのは世の常です。
いつ起こるか分からないが、いつかは来るであろうAI(人工知能)の導入、そんな不安に怯える(?)方のために、今回はAI(人工知能)導入を成功させるコツについて解説をいたします。
逆風だらけのシステム導入
まずは、システム導入を担当する人がいかに過酷な状況にあるかを説明いたします。世間一般にはプロジェクトマネージャーと言われるこの担当者は、プロジェクトのスケジュールや予算の管理、システムの要件を定義したり…、広く深くプロジェクトに関わることになるのです。
ここで知っておきたいのが、新しいシステムを導入するためには、二つの大きな壁があります。一つ目は経営者、もう一つはシステムのユーザーである社員です。
経営者からは、限られた予算と時間の中でシステムを導入し、経営効率の向上を命題として与えられます。プロジェクトマネージャー自身の人事評価とも直結するので、かなりのプレッシャーですよね。
一方、システムのユーザーである社員は、今まで使ってきたシステムに慣れているせいか、新しいシステムを使うことを拒む人が少なくありません。
今まで使っていたシステムの方が使いやすい
導入中に必ず一度は言われるセリフです。これまた経営者のそれとは違う種類のプレッシャーがあります。
このように、プロジェクトマネージャーは経営者とユーザーからの板挟みのプレッシャーを感じつつ、それでも粛々とプロジェクトを進めていく必要があります。
実は、システムの導入も今から解説するAI(人工知能)の導入もほぼ同じことが言えます。つまり、AI(人工知能)がいてもいなくても、システムを導入することに違いはないので、前述のようなプレッシャーは必ず存在します。
むしろ、AI(人工知能)を導入する場合の方が、当然期待度が高まりますから、さらにプレッシャーが大きくなるでしょう。では、どうやってこののでしょうか。
問題点と解決策をしっかりと決めることが大切
結論から申しますと、システムの導入を成功するためには、この一言につきます。
何に問題があって、どのように改善するのか。
例えばこんな問題点があるとしましょう。
社内で顧客情報が一元化されていない ↓ 営業担当者任せの営業となってしまう ↓ 多角的な営業ができていない ↓ 売上の機会損失が起こっている
そして、これの解決策として、顧客管理システムを導入するとしましょう。
顧客管理システムを導入 ↓ 営業担当者が得た顧客の情報が共有される ↓ 多角的なアプローチが可能 ↓ 売上機会アップまたは顧客満足度アップ
このように、問題点と解決策を書き記すだけでもとてもシンプルに問題解決の道筋が見えてきます。では、AI(人工知能)を導入するためには、具体的にどのよう準備をすれば良いか詳しく解説いたします。
AI(人工知能)にデータをしっかりと与えてあげる
AI(人工知能)を導入するときに必要なことが2つあります。1つ目はデータです。データがなくては使い物にはなりません。2つ目はデータをどのように分析するのかをAI(人工知能)に教えてあげることです。
それでは、先ほど述べた問題点と解決策に沿って考えてみることにしましょう。考えるのはたった3つです。
- 何を達成したいのか?
- 必要なデータは何か?
- データをどのように集めるのか?
- 「何を達成したいのか?」
上記フローの一番最後の部分、「売上機会アップまたは顧客満足度アップ」が該当します。そのためには「多角的なアプローチ」が必要となってきますね。
- 「必要なデータは何か?」
多角的なアプローチをするためには顧客の情報が必要となります。年齢・性別・地域・趣味趣向などのデータを集める必要があります。
そして、これらの集まったデータをAI(人工知能)に分析させれば、顧客の傾向と営業施策が見えて、多角的なアプローチにつながります。
- 「どうやって集めるのか?」
この場合、顧客に接するのは営業担当者ですので、営業担当者がデータを入力する必要があります。ただ、営業担当者もデータを入力する時間を確保することが難しい場合は、スマホやタブレットなどのデバイスで入力のフォローをしてあげる必要があります。
このようにひとつひとつ掘り下げていくことで、問題点と課題点がさらに明確になり、AI(人工知能)の導入目的もより明確となります。つまり、AI(人工知能)の導入が成功に近づくことになるのです。
そして、データ責任者を配置することも忘れないでください。これは、AI(人工知能)を導入した後も、引き続きシステムの利用を推進する役割をする人です。AI(人工知能)導入時は物珍しさも手伝って、多くの割合で利用されるのですが、徐々に面倒臭くさくなってデータを入力しなかったり、システムを使わなくなったりすることがあり得ます。
今回は、AI(人工知能)導入を成功させるコツと題して、システム導入の手順について解説いたしました。
前述の通り、問題点と課題点を明確にし、何を達成したいのかを明確にするだけで、AI(人工知能)導入の道筋が見えてきます。
さらに、どのようなデータが必要で、どうやって集めるのか、を掘り下げていくだけでAI(人工知能)にどう働いてもらうのかを明確にすることもできます。
このように、通常の問題解決手順さえできればAI(人工知能)の導入は難しいものではありません。今までAI(人工知能)導入はとても高いハードルのように見えていたかもしれませんが、決してそうではないと思っていただけたでしょう。
この手順を使って、是非これを機会にAI(人工知能)を導入し、貢献度アップを目指してみてはいかがでしょうか。