AI(人工知能)は物事をすばやく処理できるので、実は新聞記者に向いているのでは?と考える方もいますよね。そうなんです。AI(人工知能)にたくさんの新聞やWebのニュース記事を覚えさせ、それを使って記事を作成しています。実際に日本経済新聞社ではAI(人工知能)の新聞記者がデビューした際は、決算書の内容をまとめ多くの記事を書いていました。
この他にも、AI(人工知能)はオリンピック、甲子園を始めとしたスポーツの実況記事を書いたり、大活躍しています。またSNSを巡回してニュースを拾い集めたり、ついにはAI(人工知能)と人間が一緒になって新聞を作成するというケースもあるのです。なかなか多種多様な活躍をしていますよね。
そこで今回は「AI(人工知能)が新聞記者になった事例」をご紹介いたします。
世界一速い!オリンピックでAI(人工知能)が速報記事を流す
新聞記者にとって、スポーツ記事の速報を流すのも重要な役割ですよね。私は仕事柄、なかなかスポーツをリアルタイムで見ることができないので、速報って本当にありがたいです。そこに、AI(人工知能)なら、人間よりも早く速報を流すことができるのです。
平昌オリンピックでは、韓国通信社のAI(人工知能)が作成したニュースが配信する試みを行いました。これはAI(人工知能)に国際オリンピック委員会が蓄積した競技結果と、過去のオリンピックの結果の速報記事のデータを集めて分析し、速報記事を作成したものです。このとき、AI(人工知能)そのデータのまとめ方だけでなく、過去に新聞記事を書いた人の文体・記事のパターンなども合わせて学習しています。
実はリオオリンピックでも、ワシントン・ポスト社が試合結果など短い記事を作成していましたが、本格的な導入はこれが初となりました。韓国通信社では平昌オリンピック開催時に、この速報記事を集めた「ロボットニュース」というサイトで公開しておりました。人間の手で書き直す作業が必要ない、という点で「世界一速い速報」が謳い文句となっています。実際に、羽生選手の金メダル獲得のニュースは、ほぼ競技終了時刻と同じ時間に作成されたとのことです。さすが素早いですよね・・・!
いずれスポーツの速報でAI(人工知能)を使うのが一般的になる・・・ということもあるかもしれません。
甲子園の結果を知らせる「おーとりぃ」
AI(人工知能)が試合の結果をお知らせするだけでなく、試合の分析を書いた新聞記事を書いた、となると興味がわきますよね。株式サイトの運営をやっている「みんかぶ」は朝日新聞社と共同でAI(人工知能)記者「おーとりぃ」を開発しました。これはAI(人工知能)野球のスコアブックを読み込み、そのデータを元に高校野球についての記事を作成する仕組みです。実際に2018年の甲子園では全試合戦評記事を作成しています。
「おーとりぃ」が作成した新聞記事の内容は、おもに勝ち負けが決定的になった瞬間、注目の選手、ナイスプレーの瞬間などです。実際に試合を見ていないので臨場感ある表現はできないのですが、今後は地方大会も含めてわかりやすい試合の記事を作成して行く方針とのことです。
もしかしたら、今後高校野球の試合の記事を書くのに「おーとりぃ」が大活躍するということがあるかもしれません。
SNSからも情報を集めたニュースサイト「FASTALERT」
新聞記者の仕事の1つにネタ探しとしてSNSを眺める仕事もあるでしょう。私も前々職が新聞記者だったのでそんなことをやったな・・・と思い出しました。でも、これからの時代はAI(人工知能)が簡単に情報を集め、新聞のような記事を作成してくれるのです。
JX通信社が開発した「FASTALERT」では、AI(人工知能)が交通事故や事件などの情報を自動で集めてくれます。これまで事件や事故、災害などを報道する際は警察や消防に電話する、という地道な作業を行っていました。しかし現在、それらの情報はtwitterでの目撃情報のほうが早く情報が流れる事が多いですよね。「FASTALERT」では、この情報をAI(人工知能)で収集できるのです。そしてAI(人工知能)が情報を集めて公開しているサイトが「NewsDigest」です。
もちろん、AI(人工知能)が集める情報が間違って発信されたらどうしよう?という心配もあるかもしれません。しかしJX通信社ではAI(人工知能)が収集された情報は必ず人間が取材に行っているので、信頼できる情報を集めているのです。
AI(人工知能)が活用できることによって、新聞記者がこれまで気が付かなかった事件・事故に気がつくようになったり、より新聞記者が取材などに集中できるようになるといいですよね。
AI(人工知能)と人間の共作で新聞を作成!
これまで「簡単な情報を集めたり伝える」という機能が強かったAI(人工知能)でしたが、中部経済新聞では、ついに人間とAI(人工知能)が協力して書いた記事を新聞の紙面上に掲載いたしました。
記事は中部経済新聞の創刊70周年を記念したもので、AI(人工知能)中部経済新聞の過去の記事を読み込ませ、「中部経済新聞社の歴史」「創刊当時の苦労」「中部地域の経済」「今後の展望」などの内容を含めています。そして、「戦後」「創刊」などのキーワードを設定し、その読み込ませた情報を抽出し、変換ミスや語尾の乱れなどはあえてのこしました。そこに、最終的に人の手を入れて確認しながらこの記事を作成しました。
漢字変換や語尾などにはまだまだ発展の余地を残しつつも、いずれ、「AI(人工知能)と人間が新聞の朝刊(夕刊)を一緒に作りました!」という未来になればいいですよね。
以上、「AI(人工知能)が新聞記者になった事例」をご紹介いたしました。
- オリンピックでの速報記事
- 甲子園での試合分析記事
- SNSで情報を自動で集める
- AI(人工知能)と人間と一緒に歴史・動向などをまとめる記事
など、スポーツやその他のニュースの報道の場面で役立っている事がわかりましたよね。確かに膨大なデータを分析するのはAI(人工知能)が得意としていて、反面、人間の方は一つのことに関して洞察を深める、取材で実際に話しを聞くなど得意分野が分かれています。そのため、(元新聞記者としては)簡単なスポーツの実況やニュースの報道などはAI(人工知能)、実際の取材で関係者に話を聞いたり、関連した情報を提供しつつ意見を述べていく点は人間、などの棲み分けができるようになるといいですよね。
参照元
AI活用で「報道の機械化」進めるJX通信社、テレビ朝日やフジらから数億円を調達
AI記者に生身の記者が勝負を挑んでみた
【平昌五輪】韓国通信社、AIで速報配信 羽生選手「金」も即記事化
AIが高校野球の戦評記事を即時作成 朝日新聞社が開発
“記者ゼロ”AIで報じる「JX通信社」29歳社長が見据えるニュースの産業革命
AIが電通報の記事を書いた~中部経済新聞のプロジェクトに見る「AIの未来」~
AAI記者が記事執筆 中部経済、創刊70周年で
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