AIが経営サポートするなんて言うと、財務会計ソフトがちょっと頭良くなったようなやつを想像してしまいますよね。せいぜい「ビッグデータを活用して需給を予測し、生産や注文を最適化する」というようなことくらいでしょう。
ところが調べてみると、現状は想像を遥かに超えていたのです。今や製造、営業、マーケティングなどあらゆる分野でAIが経営サポートを行っています。
「でもあれでしょ、AIが経営サポートするって言っても、そういうのは大企業や、IT関連の会社の話で、ウチみたいな中小企業には縁のない話でしょ」いえいえそんなことはありません。
今回は、大企業やハイテク企業の他に、中小企業の業務改善や生産性向上にAIが経営サポートして成功した事例も紹介します。
訊けばすぐに答えてくれる「Hitachi AI Technology/H」
ではまず大企業の方から。日立製作所が開発中のAIが経営サポートするシステムは、経営上のテーマを入力すると、そのテーマに関する情報をネットからかき集めて分析し、わずか80秒程度で回答を出してくます。
例えば
このシステムは「Hitachi AI Technology/H」といい、開発者によれば、膨大なデータの相関を読み解くことから、人間ではなかなか見つけられないような、思いがけない答えを導き出してくれるのが大きな特長だということです。
では次に中小企業の例を紹介しましょう。
商品を置くだけでレジがすんじゃう
レジの自動化といっても、デパートで進み始めたセルフ生産レジのことではありません。株式会社ブレインは、画像認識機能によるレジ装置を開発し、現在では全国のパン屋さんなどで導入が進められています。
このシステムがあれば、新しいレジ係を雇っても、パンの種類を覚えてもらう必要がありませんから、教育コストが下がりますよね。日本のパンに慣れていない外国人でもすぐにレジができます。また、1つずつバーコードを読み取る手間も省けますから、レジの前にお客さんが並ぶことも少なくなるでしょう。
AIが経営サポートする場面は、効率化ばかりではありません。サービスにも使えるんです。
最新テクノロジーで古き良き人間関係を実現
鶏ポタラーメンTHANK(サンク)と言えば、新感覚のポタージュスープが美味しいお店。何とこのラーメン屋さんでAI(人工知能)とロボットを活用した「顧客おもてなしサービス」が始まりました。
このお店では、スタッフがリピーターの顔を覚えておくような、お客さんとのポタージュのような濃密なコミュニケーションを目指していました。目指してはいたのですが、諸般の事情でなかなか理想通りにはいかなかったそうです。
そこで思い切って、ロボットがスタッフの代わりにお客さんの顔を覚えるシステムを導入したのでした。
ロボットはヴイストン株式会社が提供する卓上型コミュニケーションロボット。そしてシステムを開発したのは、日本マイクロソフト株式会社と株式会社ヘッドウォータース。
「あなたのことを思い出すので僕にお顔をみせてください」と愛らしい外観のロボットに話し掛けられるだけでもちょっと嬉しい。その上、名前を呼んでくれたり、まだ食べてないメニューを勧めてくれたりして、常連気分を味わえます。
AI(人工知能)が経営サポートしてくれると言うと、財務会計の効率化やビッグデータを使った需給予測を思い浮かべますが、今回は、それとは違う方向でAIが経営サポートするシステムを紹介しました。
メディアでは「AI(人工知能)が仕事を奪う」というような見出しが人々の不安を煽るように乱れ飛んでいます。しかし、日本では中小企業の課題は、むしろ人手不足であり後継者不足です。その解消のためにも、AI(人工知能)は大いに活用するべき、と言うよりせざるを得ないでしょう。
テクノロジーによる効率化と言うと、何だかぎすぎすして人間味が薄い感じもします。けれども可愛いデザインのロボットが接客してくれると、ほっこりと穏やかな気分になるでしょう。そんな風に、柔らかく暖かくAIが経営サポートしてくれると良いですよね。
参照元
AIを活用するための組織の条件【第1回】人間の支援をめざす日立のAI
株式会社ブレイン
日本初!AIとロボットを活用した顔パスサービス開始 鶏ポタラーメン THANK 日本マイクロソフトが提供するクラウド型“顧客おもてなしサービス”を導入
「我々は東南アジア市場に参入すべきです。その理由は3つあります。1つは……」合成された女性の声で返事が返って来ます。