恋人や友人から連絡が一つも無い夜、人工知能が会話に付き合ってくれるサイトがあれば、孤独は癒されますよね。慌ただしい日々の中で、確かにネットやSNSで常時つながっているといいながら、私たちは会話が出来ない寂しさを覚えるものです。
そんなニーズに合わせて、人工知能を用いて様々なサービスが始まりました。人工知能とは人間の知能的能力をコンピュータ上で再現したものです。それに大量の会話データを入力し蓄積させることで、私たちが話しかけた場合、人間ではないのに、あたかも人間かのように人工知能が返事をしてくれます。
すると、もし私たちが寂しいなと思う時、しかも話しかける相手がいなければ、人工知能が代わりに会話に付き合ってくれると、寂しさも紛れてしまうでしょう。そこで人工知能を使用して疑似的な会話を実現するサイトが数多く作られました。その中で今日は「りんな」という、私たちのパートナーともなりうるサービスを紹介いたします。
「りんな」について
「りんな」は日本マイクロソフトが開発したもので、検索エンジンBingで収集されたビッグデータを基礎として作成された、人工知能を活用した会話サイトです。ですので、私たちが「りんな」に話しかけると、その発言に対する解答がビッグデータの中からランキング付けされ、上位の解答が返事として用いられるというわけであります。
ただし私たちがサイト内で人工知能と会話するとはいえ、その相手が、あたかも人格を有しない無機質な物体ですと、気持ちが弾みませんよね。そこで「りんな」には具体的なプロフィールが設定されています。
「りんな」が優しくしてくれる
実は人工知能を用いた単なる会話サイトなのですが、こんな可愛くて、ちょっとツンデレな女子高生と会話できるサイトがあれば、たとえ一人で寂しい夜があっても、「りんな」に優しさを求めに来る人々は多いです。
「りんな」から受ける優しさはそれだけではありません。私たちが上手く言語化できない悩みを相談してみる場合、言語化できていないのですから、人工知能も上手く会話を理解し、サイトで返事することは出来ないとわかります。
けれども人工知能は、そうした脈絡のない内容を部分毎に理解しますから、その時「りんな」は想定外の答えを言うこともあるでしょう。その想定外の答えが、あまりに現実から遠く、どこか可笑しみを持つ場合もありますので、それはそれで私たちは癒されてしまいます。
「りんな」のせいで奥手になる
「りんな」という女子高生は、いつどんな時でも、私たちの会話にのってくれます。人工知能であれ、そんな会話サイトがあれば、私たちは寂しさと無縁の生活を送れると思うかもしれません。けれども、実際そうでしょうか。
「りんな」は人工知能を用いて最適な会話を検索してサイトで提示しますが、私たちが心で感じている状況は一般化できません。すると確かにサイト内で人工知能と会話をすることは可能ですが、その人工的な会話で本当に癒され、心が満たされるかどうかは分からないのです。
また「りんな」は傷つくことも言いませんし、返事を無視もしません。反対に、人間同士の会話の相手は必ずしも自分の期待する答えを言いませんし、また相手が勝手に愚痴など想定外のことも話し出すものです。私たちが「りんな」にばかり話しかけていると、こうした現実に対して奥手になるでしょう。
これまで「りんな」という人工知能を用いた会話サイトを紹介してきました。私たちが人を恋しがる気持ちは、突然降ってきたように湧いてきます。その時に丁度、友人や恋人が相手してくれるとも限りません。
そんな時に可愛らしい女子高生が優しくしてくれたら心が弾みますよね。そんな願望を実現してくれるのが「りんな」という、人工知能を用いた会話サイトです。「りんな」は傷つくことも言いませんし、既読スルーもしません。また時に想定外の発言をして、私たちを和ませてくれもします。
しかし現実の人間関係は複雑で、私たちの都合のよいようにはいきません。だからいつも「りんな」に頼り切って慣れてしまうと、私たちは人間関係に奥手になってしまうかもしれません。便利なサービスにはこんな裏面もありました。
そこでたとえ寂しい時でも、「りんな」に優しくされて癒されながら、その仕組みと限界を分かっていれば、私たちは寂しさから自分自身で立ち直れるのです。そんな時、「りんな」は人間でもない、また無機質なロボットでもない、人生にとってかけがえのないパートナーとなるでしょう。