AI(人工知能)やロボットの普及で、私たちの生活は驚くほど進化を始めましたよね。高度な機能を持ったAI(人工知能)が、疲れることなく24時間働き続けることで、「なくなる仕事」が大量に出てくるのではと不安に感じる人も多いことが現状です。
野村総合研究所は、これから15年で今ある仕事の49%が消滅するとも分析しています。たしかに情報分析力や記憶力、スピーディーで正確な処理能力はAI(人工知能)の得意分野。この能力を生かして、自動運転やロボット、工場の生産などはもちろん、今まで人間にしかできないと思われていたような知的な仕事にまで浸透し始めています。
今後も、人間のようにちょっとしたミスや疲れを知らないAI(人工知能)は、企業の利益を増やし、ますます進化していきます。何だか人間としては焦ってしまいますよね。
というわけで、今回はAI(人工知能)のすご過ぎる発展で、予想される「なくなる仕事」と「なくならない仕事」をお伝えします。それだけでなく、将来は明るい!?と思えるような、 AI(人工知能) によって「新しく増える仕事」についてもご紹介していきましょう。
AI(人工知能)の発展で「消える職業」「なくなる仕事」一覧
2013年にオックスフォード大学の研究チームが、AI(人工知能)の発展により、10年後に「消える職業・なくなる仕事」702業種を発表して話題になりました。
では、気になる「消える職業・なくなる仕事」の一部をみていきましょう。
- 銀行の融資担当者
- スポーツの審判
- 保険の審査担当者
- 給与・福利厚生担当者
- データ入力
- 電話オペレーター
- 動物のブリーダー
- ネイリスト
- パラリーガル、弁護士助手
- 娯楽施設の案内員、チケットもぎり係
- 仕立屋(手縫い)
- 図書館員の補助員
- 彫刻士
- 簿記・会計・監査の事務員
- メガネ・コンタクトレンズの技術者
- 建設機器のオペレーター
- 塗装工、壁貼り職人
などが代表的な例になります。また「データ入力」や「電話オペレーター」などは仕事がマニュアル化されているので、すでに一部の企業ではAI(人工知能)が活用されていますよね。
また、ホワイトカラーの象徴といえる金融機関でも、AI(人工知能)による自動化が進んでいます。窓口業務は激減し、データから特定の個人や企業の信用度を推測する「AI(人工知能)による信用審査」も実現されています。融資業務もAI(人工知能)に頼る時代になるでしょう。
「動物のブリーダー」や「仕立屋」なども、決められたルールに従って、仕事がルーチン化されやすいので、AI(人工知能)の進歩で「なくなる仕事」と考えられています。
さらに塗装工や彫刻士など、高度な職人技が必要とされる仕事でさえも、AI(人工知能)は大量のデータからパターンや傾向を見つけ、長期間の修行をすることなく技術を身に付けることが可能になります。
では、ここからは同じ職種でも「なくなる仕事」と「なくならない仕事」があることをお伝えしていきましょう。
AI(人工知能)が発展しても「なくならない仕事」とは
ここまで読み進めてくださった読者の中には、AI(人工知能)によって、こんなにたくさんの仕事がなくなってしまうのか…と悲観している方もいますよね。でも、まだまだ人にしかできない仕事もたくさんあるのです。
そこで、人にしかできない仕事を分野別にご紹介していきましょう。
情報処理
オペレーターやデータ入力はAI(人工知能)によって「なくなる仕事」とされていますが、データサイエンティスト(ITやビジネスに精通するデータ分析やマーケティングを行う専門家)や情報セキュリティー人材は、AI(人工知能)の発達に伴い、ますます重宝されるでしょう。
医療
AI(人工知能)に処方箋や薬歴などのデータを学習させることで、薬剤師の服薬指導をするシステムが開発され、米国では処方箋を調合するロボットまで活躍しています。ちなみに今のところでは、ロボットによるミスはほとんどありません。
ですから薬剤師は「なくなる仕事」になるかもしれませんが、個々の患者へのきめ細かいアドバイス業務は、人間にしかできない仕事ですよね。
つまり毛細血管をつなぐなどの手技は、ロボットではまだ課題が多いといえます。手術中は何がおこるかわかりません。そのため、緊急時には人間の柔軟な判断も必要となるでしょう。
警備・防災
AI(人工知能)を搭載した警備ロボットの実験が始まり、警備員もAI(人工知能)によって「なくなる仕事」にあげられています。AI(人工知能)警備ロボットは、センサーとカメラを内蔵することで異常を感知し、AI(人工知能)の学習機能で判断精度もどんどん高まっています。このように24時間疲れなく警備してくれるのはありがたいですよね。
一方、消防士や自衛官のように仕事がマニュアル化されず、緊急時の素早い人的な判断が必要になる職種は「なくならない仕事」にあてはまります。
教育
小学校や中学校の先生、児童福祉司など生徒との高度なコミュニケーションが必要な教員は「なくならない仕事」になるでしょう。「いじめ」問題も増えつつある現在、人の気持ちがわかる人間だからこそ対応できることは多いですよね。
ですが、学力を伸ばすことを目的とする塾講師は「なくなる仕事」になるかもしれません。つまずき問題の原因を見つけてくれるAI(人工知能)タブレット教材なども開発され、自分のペースで自宅学習する時代も近いです。
法務
司法書士や行政書士などは、AI(人工知能)によって登記手続きや書類作成の自動化が進み「なくなる仕事」になるかもしれません。
また弁護士や裁判官も、訴訟のために、大量のメールや文書などから必要な証拠物を探し出す作業は、すでにAI(人工知能)が肩代わりしています。さらには過去の裁判資料から妥当な判決を下すという実験もされていますが、やはり人を裁くという意味では、最終判断は人であってほしいですよね。
経営
経営コンサルティングなど新たなひらめきで、経営判断をする創造的な仕事はなくならないでしょう。AI(人工知能)が新しいサービスを生み出す、ベンチャー企業を設立するというようなことは難しいからです。
でも過去の経験のみで経営判断をするような社長は、AI(人工知能)に仕事を奪われる可能性があります。過去のデータを適格に分析するのが得意なAI(人工知能)は、経営が悪化する前兆があるとすぐに警告を発してくれ、人間よりはるかに頼りになりますよね。
具体的には、面接や書類の精査など雑用は分身AI(人工知能)に任せて、自分の得意とする事業計画をゆっくり練る時間を作るためとのこと。合理的ですがSFの世界に近づきすぎて、少し恐ろしい気持ちにもなりますよね。
ここまでAI(人工知能)の発展で、「なくなる仕事」と「なくならない仕事」をみてきましたが、ここからはAI(人工知能)によって新たに生み出されたり、需要が増える仕事をご紹介しましょう。
AI(人工知能)のすご過ぎる発展で「増える仕事」とは
たとえばAI(人工知能)にデータ分析をさせても、最終的な確認、判断は人がやることになりますよね。その分野のスペシャリストは必要になります。
先ほども少し触れましたが、近年活躍しているデータサイエンティスト(ITやビジネスに精通するデータ分析やマーケティングを行う専門家)は、国内外で不足し、アメリカの調査会社によると日本では将来的に25万人ものデータサイエンティストが不足するとも言われています。
また、AI(人工知能)やロボットを企業に導入する際は、それを手助けするロボットアドバイザーのような仕事や、AI(人工知能)が自ら学習するようになると、その管理方法などを指導するAI(人工知能)インストラクターのような仕事も必要になりますよね。
それに、産業用ロボットが多く活用されることで、ロボットをメンテナンスする「ロボット管理者」のような新しい仕事も生まれてきます。
教育の分野でも、学校でプログラミング教育やAI(人工知能)を取り入れた授業が増えると、AI(人工知能)の知識を的確に教える教員も増やさないといけないはずです。
そのほか、これからの企業はさまざまなニーズ、課題に沿ったAI(人工知能)開発がますます必要となるので、AI(人工知能)エンジニアには仕事が殺到し、引っ張りだこになるに違いありません。
こうやって見ていくと、AI(人工知能)によって「なくなる仕事」もありますが、「新しく増える仕事」もたくさんありそうで、少し安心しますよね。
さて今回はAI(人工知能)のすご過ぎる発展で、「なくなる仕事」と「なくならない仕事」をお伝えしてきました。
AI(人工知能)の発展で「なくなる仕事」は、ホワイトカラーと呼ばれてきた事務系の仕事が多い結果が出ました。決められたルールに沿って作業すればよい仕事は、AI(人工知能)に代替されやすいですよね。
また、AI(人工知能)は決められたゴールまでの最短距離の道筋を提示する能力は高いとされていますが、ひらめきや創造性を必要とする仕事は向きません。
ですから人間の起業家のように、どんどん新しいアイデアを出したり、教員やカウンセラーのように、コミュニケーション力が必要な仕事は「なくならない仕事」として貴重になっていきます。つまり、AI(人工知能)の発展によって「なくなる仕事」は増えますが、その反面、AI(人工知能)が活躍する時代を支えるため、新しく増える仕事もたくさん出てくるに違いありません。
これからは、AI(人工知能)が得意なことはAI(人工知能)に任せ、私たちは人間にしかない応用力、柔軟性や発想力などを鍛えていくことが、AI(人工知能)とうまく共存していく鍵になりますよね!
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子 2018
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