ウィキペディアよりわかりやすい!AI(人工知能)の歴史 | AIZINE(エーアイジン)
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ウィキペディアよりわかりやすい!AI(人工知能)の歴史

ウィキペディアよりわかりやすい!AI(人工知能)の歴史

AI(人工知能)の歴史を知りたいからウィキペディアを見てみたけど、語句説明だけでなく、全体像をわかりやすくまとめてあるものはないのかな・・・と思っている方もいらっしゃいますよね。

確かに、ウィキペディアではAI(人工知能)の歴史について充実した内容がまとめられているのですが、その要点だけまとめてある記事があってもいいですよね。要点だけといっても、簡単すぎず、流れがしっかり理解できる記事があれば助かるはずです。

そこで今回は、AI(人工知能)の歴史について、ウィキペディアよりわかりやすく‼を目指して、要点をお伝えします。またAI(人工知能)の歴史について理解しやすいように、第一次AI(人工知能)ブーム、第二次AI(人工知能)ブーム、第三次AI(人工知能)ブームの3つとその特徴についてに分けて解説していきましょう。

第一次AI(人工知能)ブーム:1950年代後半~1960年代の特徴は「推論と探索」

第一次AI(人工知能)ブームのイメージ

第一次AI(人工知能)ブームは1950年代後半から1960年代で、AI(人工知能)に非常に注目が集まった、歴史上初めての時期です。なお、AI(人工知能)の歴史はブームと「冬の時代」が繰り返されているため、今回のように三つのブームに分けられているのです。科学技術研究にもブームがあるなんて、親近感がわきますし、面白いものですよね!

さて第一次AI(人工知能)ブームでは、コンピューターによる「推論」や「検索」が可能となり、その結果、特定の問題に対してですが、答えを出すことができるようになりました。では、その推論や検索とは何かを具体的に説明していきましょう。

まず推論とは、さまざまなルールを統合して、矛盾のない結論を導き出すための手法で、例えば三段階で結論を出す手法(三段論法)があります。有名な例としては次のような文があげられます。
哲学者ソクラテスは人間である

すべての人間は死ぬ

つまりソクラテスは死ぬべきものである
そして検索とは、データの集合から条件に合うものを見つけ出す手法で、後に述べる機械学習や推論の基盤となる技術です。データの数が少なかったり、条件が簡単だったりする場合は比較的単純に済みますが、データの数が多く、条件が複雑になるとさまざまな工夫が欠かせません。

このような推論と探索が可能になったと聞けば、AI(人工知能)で高度なことができるように感じますよね。しかしその当時の技術ではコンピューターが思考できることは非常に限られていて、迷路の解き方や定理の証明のような単純な問題に答えは出せても、複雑に要因が絡み合っている現実社会の問題には全く役立たない程度の性能であることが見えてきました。

結果としてブームは去っていき、この第一次AI(人工知能)ブームで明らかになった「ルールが決まったゲーム上でしか、探索と推論ができない」という問題は、トイプロブレム(おもちゃの問題)と呼ばれています。

第二次AI(人工知能)ブーム:1980年代の特徴は「エキスパートシステム」

第二次AI(人工知能)ブームのイメージ

第二次AI(人工知能)ブームは1980年代で、AI(人工知能)の歴史上で二回目に人工知能が盛り上がった時代です。1980年代といえば、家庭用コンピューターが広く普及した時代でもありますよね。このようなコンピューターの小型化も、AI(人工知能)ブームを後押ししました。

このブームでは、AI(人工知能)に知識を与えることで実用可能なレベルまで引き上げられ、さまざまな「エキスパートシステム」というものが誕生しました。エキスパートシステムとは、専門的な知識をコンピューターに教え込むことで、専門家のような振る舞いをさせるようにするもので、現実の複雑な問題をAI(人工知能)に解かせるために試みたシステムです。

その他にも、この第二次ブームにあたる1982年から1992年までの11年間、日本でも政府が、当時の通算産業省の管轄下に新世代コンピュータ技術開発機構という財団を作って第五世代コンピュータプロジェクトを推進するなど、人工知能(AI)に関心が高まりました。
このプロジェクトは、日本の従来型のコンピューターでは世界に太刀打ちできないということから、多額の費用がかかるAI(人工知能)につながる技術を開発しようと政府が介入したのです。その額540億円というから驚きですよね。

結果として日本は推論の速度が世界一位のコンピューターの開発に成功しましたが、当時のコンピューターは自ら必要な情報を収集、蓄積することはできず、全ての情報を人為的にコンピューターに入れてやらなければなりませんでした。でも世の中にある膨大な情報を、全てコンピューターが理解できるように記述することは難しいですし、情報入力を人為的に行なう以上、扱う情報を特定の領域に限らなければなりませんよね。

このように実用化できないという限界や、矛盾するルールにあふれていることから、第二次AI(人工知能)ブームは去っていきました。

第三次AI(人工知能)ブーム:2000年代から現在の特徴は「ディープラーニング」

第三次AI(人工知能)ブームのイメージ

第三次AI(人工知能)ブームは、2000年代から現在まで続いており、AI(人工知能)の歴史でも、現在進行形に位置づけられるものです。第三次AI(人工知能)ブームのキーワードは「ディープラーニング」で、最近よく耳にする言葉ですよね。

このディープラーニングは機械学習の一種で、機械学習とは人工知能(AI)自身が知識を獲得する手法です。従来の機械学習では、たとえば「バナナ」というものを認識させたいときに人間が「細長く黄色い物」と教えることで、人工知能(AI)は見せられたものがバナナか否か判断できるようになります。
これだけでもすごいことですが、さらにこれを上回るのがディープラーニングです。ディープラーニングを用いれば、1000本のさまざまな形態のバナナを見せるだけで、黄色だけでなくときどき緑のバナナもある、皮がつるつるしている、中の身は白い、といった特徴を抽出することができるんです。

とてもすごい技術ですよね。このような技術を応用して、IBMワトソンがクイズ番組で人間に勝利したり、「アルファ碁」がプロ棋士に勝利したりするということが起こりました。

ディープラーニングはニューラルネットワークをベースにしていますが、元の意味は人間の脳の仕組みのことです。人間の脳のように無数のニューロンのつながりをコンピューターで再現して、より正確な判断能力を持たせることが実現したのです。

この時期にAI(人工知能)の実用化がうまくいった理由としては、コンピューターの性能の向上が挙げられます。たとえば2000年代に入ってからコンピューターがより小型化、性能向上していったというのは読者の皆様も身近で感じたことでもありますよね。

この小型化、性能向上に加えてインターネットの普及検索エンジンの高性能化、そしてクラウドでの膨大なデータ(ビッグデータ)の管理が容易になったことが、AI(人工知能)のレベルアップにつながっていったのです。

ところで、まだまだ未来になりますが、2045年には「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼ばれるものを迎えると予想されています。シンギュラリティは人工知能研究の学者であるレイ・カーツワイル氏により提唱された概念で、AI(人工知能)が人間の知能を超え、人間には予測できないほどのスピードで社会変化が起こるというものです。AI(人工知能)の歴史の先にはシンギュラリティが待っているのかどうか、今、熱く議論されているところです。

 

まとめイメージ

さて、今回はAI(人工知能)の歴史について、ウィキペディアよりわかりやすく、要点を下記のように三つのブームに絞ってお伝えしました。

  • 第一次AI(人工知能)ブーム(1950年代後半~1960年代)は、「推論と探索」
  • 第二次AI(人工知能)ブーム(1980年代)の特徴は、「エキスパートシステム」
  • 第三次AI(人工知能)ブーム(2000年代から現在)の特徴は、「ディープラーニング」

AI(人工知能)の歴史を振り返ってみると、AI(人工知能)は最近始まったものではないことがわかりますよね。第一次AI(人工知能)ブームの始まりは1950年代後半から始まり、これは家庭にコンピューターが普及する以前のことでした。半世紀以上昔の事であると考えると感慨深いものがあるはずです。

AI(人工知能)を歴史的に見ると、現在は第三次AI(人工知能)ブームにあります。最後に述べたように、シンギュラリティがこれから待ち受けているという説もありますから、これからAI(人工知能)がどのような形で発展していくのか、楽しみでも、不安でもありますよね。

AI(人工知能)はこれからますます発展していくので、よりAI(人工知能)が身近にある世界が待っていると考えられます。AI(人工知能)の歴史を振り返ることで理解を深め、現在、そしてこれからのAI(人工知能)と私たちの関係に思いをはせてみましょう!

参考文献:
AIとは何か

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  1. 通りがかり より:

    > そして探索とは、データの集合から条件に合うものを見つけ出す手法

    コンピュータ・サイエンスの用語としては、「データの集合から条件に合うものを見つけ出す手法」は、「探索」ではなく「検索」です。

    「探索」は特定の制約条件を満たす物を探すことです。データの集合から(その中に存在する答えを)探しているのではありません。

    ×新生代コンピュータ技術開発機構
    ○新世代コンピュータ技術開発機構

    > このようなディープラーニングを可能にさせた技術は、ニューラルネットワークというもので、

    ディープラーニングはニューラルネットワークをベースにしていますが、ニューラルネットワークによってディープラーニングが可能になったわけではないので、その説明はおかしいです。「ディープラーニングはニューラルネットワークをベースにしていますが」が適切な表現です。

    • タケル タケル より:

      通りがかりさん

      ご指摘ありがとうございます!
      修正いたしました。

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  1. 通りがかり より:

    > そして探索とは、データの集合から条件に合うものを見つけ出す手法

    コンピュータ・サイエンスの用語としては、「データの集合から条件に合うものを見つけ出す手法」は、「探索」ではなく「検索」です。

    「探索」は特定の制約条件を満たす物を探すことです。データの集合から(その中に存在する答えを)探しているのではありません。

    ×新生代コンピュータ技術開発機構
    ○新世代コンピュータ技術開発機構

    > このようなディープラーニングを可能にさせた技術は、ニューラルネットワークというもので、

    ディープラーニングはニューラルネットワークをベースにしていますが、ニューラルネットワークによってディープラーニングが可能になったわけではないので、その説明はおかしいです。「ディープラーニングはニューラルネットワークをベースにしていますが」が適切な表現です。

    • タケル タケル より:

      通りがかりさん

      ご指摘ありがとうございます!
      修正いたしました。

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