学生も企業も参加できる!今、注目の人工知能学会の活動を紹介 | AIZINE(エーアイジン)
AI(人工知能)ニュース

学生も企業も参加できる!今、注目の人工知能学会の活動を紹介

講演のイメージ

人工知能学会の正式名称は、一般社団法人人工知能学会。ちょっと厳めしいで、漢字ばっかりです。もちろん、専門家が多数参加する、この分野の研究と普及のための学会なのですが、間口は意外と広く「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うこと」(「設立趣意書」より引用)の基礎から応用まで、関連する全てを範囲としています。

入会案内を見ると、資格等の制限が書いてありません。どうやら、年齢や学歴に関らず、入会金と会費さえ払えば、誰でも入会できるようです。会員数約4,400名(2017年3月末現在)の学会です。関連する勉強をしている学生さんや、仕事で関ることになった人はもちろん、ただ興味があるだけの人でも入会できるようです。それでは、どんな活動があるのか、見てみましょう。

人工知能学会の主な活動

活動のイメージ

箇条書きにすると

  • 人工知能学会全国大会の開催
  • シンポジウムや研究会、人工知能セミナーの開催
  • 学会誌・論文誌の発行
  • 書籍監修

といったものです。

全国大会は年に1度開催され、2018年は鹿児島が会場でした。

期間中あいにくの雨が続く中、2,572名 という全国大会過去最多の参加人数。さまざまな発表があり、高度に専門的な認知科学の発表もあれば、「農業とAI」とか「漁業とAI」という発表や、もちろん、技術・工業系の応用に関する発表もあり充実しています。

素人でも面白そうな発表タイトルをいくつか挙げてみましょう。

  • 製品マニュアル文からの質問自動生成
  • エゴグラムに基づいたコミックキャラクタの性格分類
  • Twitterデータを用いた政治的論点の抽出と政治家分類
  • ユーザ好みのスキャットを強化学習する初音ミクとのジャムセッションシステムの開発
  • 公的であり私的:ファン研究炎上の分析
  • コミックの読書意欲を増進させる要素に関する分析

娯楽的なものではなく、全て真面目な研究機関や企業の研究者による発表です。なかなか面白そうでしょう。

発表の数は膨大なので、次回参加しようという人は、事前にプログラムなどを入手して、どれを見るか目星を付けておかないと、右往左往するばかりということになりそう。

人工知能学会のシンポジウムや研究会も日本全国で数多く開催されていますが、専門家でない人が興味を引かれるのは、やはり「人工知能セミナー」でしょう。

例えば、2018年8月に開催された第74回人工知能セミナーのタイトルは「AIトレンド・トップカンファレンスNIPS報告会」というもので、「世界最先端のAI研究開発動向が1日でわかる!」という副題が付いています。
概要だけでもわかれば嬉しいですよね。

人工知能学会の研究会は第一種と第二種に分かれていて、第一種は主に基礎的な研究第二種は主に応用的研究のようです。「インタラクティブ情報アクセスと可視化マイニング研究会」などは、予備知識なしにいきなり飛び込んでも太刀打ちできそうもありませんが、「社会におけるAI研究会」や「知識・技術・技能の伝承支援研究会」など、意外と身近な感じの研究会もあり、かなり活発な活動をしています。

専門家ではない素人にはあまり縁のない話かも知れませんが、人工知能学会の会員は、全国大会、研究会などへの参加だけでなく、研究発表と学会誌への論文投稿もできますよね。

では次に、その学会誌について。

人工知能学会誌の内容はどんなものか

学会誌のイメージ

人工知能学会誌は、非会員でもネット通販などで購入することができますが、会員には毎号送られて来ます。

「2018年7月号」の目次を見てみましょう。

特集は「物理学とAI」、「意識とメタ過程」
の2つです。
記事タイトルには「量子レザバー計算─量子多体実時間ダイナミクスの機械学習への応用─」などという、いったいこれは日本語かしらと思うものもあれば、「痛みを感じるロボットの意識・倫理と法制度」とか「省察という意味での自己意識」とかいった、妙に哲学的なものもあります。

思考や推論の能力をどこまでも高めようとする研究の方向と、人間の意識や心を機械で再現しようとする研究の方向があることわかり、興味深いですよね。

人工知能学会誌を見ても、専門家以外には、内容の全てを理解することは到底不可能ですが、ぱらぱらとめくっていれば、どんな研究があって、どんなことが問題になっているか、くらいは何となく想像できる(ような気がする)し、少なくとも、頻出する言葉がキーワードなんだろうなあ、ということはわかります。

これは、学会誌に掲載されている記事や論文とは直接関係はないのですが、人工知能学会の学会誌は2014年から、誌名を「人工知能学会誌」から「人工知能」と変更しました。それにともない、表紙デザインをそれまでの固い感じのものから、ポップな女の子のイラストに変更しています。

これについては賛否両論あり、ネット上で議論になったりしましたから、今でも検索すれば当時の意見が読めるでしょう。さまざまな解釈や趣味があるでしょうが、「専門家だけではなく、より広い人々に訴えかけたい」という編集発行者の気持ちは伝わりますよね。

 

AIを想い描くイメージ

人工知能、AI、機械学習、ビッグデータ、ディープラーニング、量子コンピュータ、こういう、先端IT技術の用語は毎日メディアで目にしますし、IoTであらゆるものがネットに接続される、何て聞かされると、何が起こっているのか気になります。

何か自分にはわからないところで、凄い研究がなされていて、知らない内に手に負えないことになるのじゃないかしら。もしかしたらもうなっているのじゃないかしら。不安にもなるでしょう。

人工知能学会の活動について知れば、少なくとも、先端IT技術が怪物ではなく、その向こうには血の通った人間が居て、研究したり開発したり管理したりしているのだということがわかって、ほっとします。

そうしている内に少しずつ、人工知能に対する理解が進めば素敵ですよね。

参照元 人工知能学会 (The Japanese Society for Artificial Intelligence)

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました