日本では、様々な企業や研究機関がAI(人工知能)技術の開発分野でしのぎを削っています。そんな企業や研究機関が一堂に会し、開発や研究の成果を発表するAI expoという展示会が、年に一度、開催されています。
AI expoは、日本最大のAI(人工知能)の専門展で、2018年4月に開催された第2回には3日間で4万人以上もの来場者が訪れた大盛況のイベント。そこでは、AI(人工知能)の開発を手がける企業や研究機関とその技術を活用したいと考える企業との間での、商談やビジネスパートナーの獲得が行われ、出展されるAI(人工知能)技術は、ディープラーニングや機械学習、自然言語処理やビッグデータなど多岐に渡ります。
AI(人工知能)といえば、IT業界というイメージが強くありますよね。しかし、AI(人工知能)の活躍の幅は、IT業界だけにとどまりません。AI expoでは、「日本のお家芸」であるモノづくりで活躍するAI(人工知能)も出展されていました。
そこで今回は、AI expoに出展された製品やサービスの中から、モノづくりに役立つものをお伝えします。
手書きの図面を認識するAI(人工知能)
土木や建築、モノづくりの分野において、製品のDNAとでもいうべき重要な図面。図面が完成したら、その図面から、どの部品や材料がどのくらい必要かを見積もり、工費や制作費を割り出す「積算」と言われる作業を行わなくてはなりません。
コンピューターで描かれた図面であれば、専門ソフトを利用して積算を行うことができますが、手書きの図面の場合、ソフトが利用できないため、時間や手間がかかってしまうでしょう。
AI expoでは、そうした問題を解決するソリューションが出展されていました。
株式会社システムズナカシマでは、手書きの図面に描かれている部品をAI(人工知能)が自動で認識し、自動で集計するシステムを開発しています。このシステムを利用することによって、
時間のかかる作業を支援し、効率化するソリューションとして活躍が予想できますよね。
製品の品質をチェックするAI(人工知能)
次に、製品の品質に関するAI(人工知能)です。
工場のラインで製造される製品は、同じように作られても、どうしても不良品が出てしまうもの。ですから、製品の品質をチェックし、基準に満たないものは除いていく検品の作業が不可欠です。しかし、この検品の作業を人の目で行う場合、製造量が多ければ多いほど、それをさばけるだけの作業員を雇わなければなりません。また、複数の作業員で行うと、人によって、OKかNGかの判断が異なり、基準が一定にならないでしょう。
このように検品を人の目で行う場合、人件費がかさんだり、基準が一定にならなかったりといった問題があります。
そうした問題を解決してくれるAI(人工知能)がAI expoで出展されていました。それは、株式会社日立ソリューションズ・クリエイトの「AIプラス 検査・判定ソリューション」。
この「検査・判定ソリューション」は、
この技術があれば、人手不足で困っているモノづくりの現場も、大助かりです。
機械の故障を事前に察知するAI(人工知能)
たくさんの機械を扱う工場では、一つの機械が故障しただけで、製品の生産が滞ってしまいます。とはいえ、機械の故障が起きないように、常にメンテナンスを行っていては、製品を効率的に生産することができません。そういったジレンマとも言える問題を解決してくれるAI(人工知能)がAI expoで出展されていました。
株式会社オプティムは、
それまでは、
製品の生産を滞りなく進め、生産性向上に役立つソリューションだと言えますよね。
AI expoでは、紹介してきたように、手書き図面の認識、製品の品質検査、機械の故障の事前察知など、モノづくりの世界で活躍するAI(人工知能)の出展も多くありました。AI(人工知能)といえ、ITというイメージが少し変わりましたよね。
これから日本のモノづくりの現場は、深刻な人手不足に陥ることが予想されます。このままでは、日本のモノづくりの現場は衰退の一途をたどることになるでしょう。しかし、AI expoに出展された技術は、現場の負担を減らし、生産性を向上させるソリューションになり、「日本のお家芸」であるモノづくりをさらに発展させてくれます。
AI expoでは、今回紹介したモノづくりに役立つAI(人工知能)技術は、もちろん、他にも様々な分野で活用できるAI(人工知能)技術が出展されています。ビジネスパーソンの方は、自社の問題を解決してくれそうなAI(人工知能)を探しに、今後のAIエキスポや他の展示会に出かけて新しい技術に触れてみましょう。
参照元
AI・人工知能 EXPO