近年、働き方改革という言葉をよく耳にするようになり、社員の副業を認めたり、労働時間の削減に取り組む企業が増えてまいりましたが、みなさんの職場環境はいかがでしょうか。
今後、日本は間違いなく少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が進み、ますます労働生産性の向上が求められることとなるでしょう。
そんな中、業務を効率化するためにAI(人工知能)を導入する企業も徐々に増えてきております。特に演算能力や記憶能力が人間よりもはるかに高く、その部分に特化した業務の効率化はAI(人工知能)の独壇場と言えるでしょう。
例えば、コールセンターなどの問い合わせ業務では、顧客からの質問に対して、膨大な数の対応事例から最適な回答を探す必要がありますが、こういった業務の効率化にはAI(人工知能)が活躍します。その結果、サポートの人員を削減することが可能となります。
このように、業務効率化に大きく貢献するAI(人工知能)ですが、はたして、AI(人工知能)を導入するだけで、全ての業務を効率化することができるのでしょうか?
残念ながら、そんなにオイシイ話は存在しないそうです。しかし、AI(人工知能)の導入時に、あることをするだけで、高い確率でAI(人工知能)導入が成功することが分かっています。
そこで今回は、必ず業務効率化を成し遂げるためのAI(人工知能)の導入について解説をいたします。
過剰な助っ人信仰
まずは、みなさんはAI(人工知能)に対してどのようなイメージをお持ちですか?
- 人間よりも早く仕事をこなしてくれる
- データを分析して、新たな発見をしくれる
- なんでも解決してくれそう
このように、多くの方が、肯定的なイメージを持っており、なんなら、超大物助っ人外国人が来日するぐらいのワクワク感をお持ちなのではないでしょうか。
しかし、蓋を開けてみると、今まで期待していたほどの効果が現れないことだってあり得ます。驚くことに、実際に業務効率化のためにAI(人工知能)を導入した企業の集計を取ると、意外な結果が見えてきました。
ご覧のように、効率化のためにAI(人工知能)を導入して効果があったのは、たったの1割しかないのです。せっかく、大きな期待を持って迎えた助っ人が戦力になっていない現実がここにあるのです。
では、なぜこのような結果が出てしまったのか、原因はどこにあるのか、について検証してみましょう。
AI(人工知能)導入の実情
さらに、アンケートには別の質問があり、「定型業務を自動化・AI化する業務見直しの実施状況」について聞いています。つまり、AI(人工知能)導入前に業務分析を行ったかを尋ねています。
その結果、労働者の24.0%、マネージャの37.4%が業務見直しを実施したと答えています。
逆に、約6割以上の企業が業務分析を実施していないことが分かります。
実に、効率化に対する過剰な期待感だけで業務分析をせず、AI(人工知能)を導入した企業のなんと多いことか、お分りいただけるでしょう。これでは効率化は期待できそうもありません。
では、本当に業務を効率化するためのAI(人工知能)導入とは、なんでしょうか?
やることはたったひとつ、自分と向き合う
先ほどは、業務分析をせずにAI(人工知能)を導入してしまった側について着目しましたが、逆に、効率化のためにしっかりと業務分析を行いAI(人工知能)導入の効果があった側の意見について解説します。
前述のように、わずか約1割の企業がAI(人工知能)を導入して効果が現れたと回答していますが、その中でも、次の2つが特に労働時間の削減に効果があったと回答しています。
・属人化している業務を標準化する業務見直し ・定型業務を自動化・AI化する業務見直し
このように、効率化が顕著に現れているのは、本来AI(人工知能)が持つ「決まったことを正しく早く行うことができる」という優位性を活かせていると言えるでしょう。
即ち、自社の業務分析を行うことで、AI(人工知能)に任せて良い業務とそうでない業務を明確にすることができるようになります。
つまり、業務の効率化のためにAI(人工知能)を導入する手順はこのようになります。
- 業務の分析を行う
- 属人化した業務や定型業務を洗い出す
- これらの業務をAI(人工知能)に任せる
今回は、業務効率化ができるAI(人工知能)の導入について解説いたしました。
当然と言えば当然ですが、AI(人工知能)に限らず、新たなシステムを導入するためには、十分な業務の分析が必要だとお分かりいただけたことでしょう。
闇雲にAI(人工知能)に業務を任せるのではなくAI(人工知能)の特性を理解した上で、業務を任せることが重要です。このあたりは人間と同様、AI(人工知能)も適材適所の考え方が必要です。
近年、AI(人工知能)の進化には目を見張るものがありますが、まだまだ人間がAI(人工知能)をコントロールしてあげる必要があります。そのためには、業務分析をしっかりと行い、AI(人工知能)の特性を活かすために、どのような業務を何をAI(人工知能)に任せるべきかを考えることが重要です。
今後、皆さんのまわりでも業務の効率化のためにAI(人工知能)を導入する機会が増えることでしょう。その時は、しっかりと業務分析を行い、そして、AI(人工知能)の気持ちになって、「どの業務なら気持ち良く業務ができるのか」こんなことを想像しながらAI(人工知能)にお仕事をお任せすれば、史上最強の助っ人として活躍してくれることでしょう。
参照元
AIを導入・活用して労働時間が減少した人は約1割、その原因は?
「働き方改革研究センター調査2018」に基づくレポート第二弾
AI導入効果についてのアンケート結果(約2600社)
19.61% 導入済みだが必要性が分からず活用できていない
23.56% 導入済みだが必要性がなく活用できていない
18.27% 導入済みだで必要性を理解しているが活用できていない
27.01% 導入し活用しているが労働時間に影響なし
11.55% 導入・活用し労働時間が減少した(効果があった)