株式売買はいつ値が下がるかわからないのが怖いですよね。まだ下がらない、まだ下がらないと思っていたら、次の日にはまさかの大暴落なんてことも。
しかし、世間では人工知能(AI)を用いたディープラーニングによって株価の予測ができるのではないかという話題をよく耳にします。
これがもし本当なら、一日中PC画面の前に張り付いているトレーダーなどはいなくなり、人工知能(AI)に株価を見張らせ、人工知能(AI)が儲かると判断した時に勝手に売買させるようにすれば、人間は何もしなくても儲けることができますよね。
これは噂ではなく、本当で、現在ディープラーニングを用いた株価の予測が行われようとしていますが、ディープラーニングを使って株価予測をするなんて、本当に可能なのかなんだか不安になってしまう事でしょう。
さて、うまい話ばかり耳に入ってきますが、株価予測を任せるには危険な点がいくつかあります。ですので、今日はディープラーニングを用いた株価予測での気を付けるべき3つの落とし穴についてお伝えいたします。
ディープラーニングで株価予測はこうやってする!
ディープラーニングで株価を予測する際に一番有力だと言われているのがLSTM(long short-term memory)と言われており、LSTMとは、ざっくりいうと時系列的に学習し、次に来るものを予測できるというものです。
例えば、1,2,3,4ときたら次は5ですよね。LSTMに、1,2,3,4,5という文字列を繰り返し学習させると、1,2,3,4の次は5であるとLSTMは予測をすることができるんです。
そして、株価も時系列的なものであり、ディープラーニングを用いてLSTMに株価の動き方を学習させれば、正確な予測ができるのではないか、といったものです。
それでは、実際にLSTMを使用した株価予測の結果と、落とし穴とも言える気を付けたいポイントについて見ていきましょう。
第一の落とし穴は、ディープラーニングによる株価予測の精度はまだまだ
こちらはディープラーニングによる株価予測と、実際の株価を比較した日経平均株価のグラフです。
縦軸が株価で横軸が日数、青の線が予測した株価、オレンジの線が実際の株価になります。
予測した線と実際の株価の線がほぼ一致しているように見え、一見すると予測は成功しているようですが、グラフの拡大画像を見ると意外とそうではないことがわかります。
そしてこちらのグラフでは、実際の株価の線(オレンジ)よりも予測した線(青)が遅れて同じようなグラフを描いていることが分かります。
これは実際の株価の動きから、ディープラーニングは同じような株価が続くだろうと予測することが多いため、後を追いかけるようなグラフが出来上がっているのです。
つまりパッと見のグラフが、株価予測を成功しているように見えるところが1つ目の落とし穴です。同じ動きを予測しているだけでは、まだまだ予測の精度が高いとは言えないので要注意です。
第二の落とし穴は、ディープラーニングまだまだ人間頼み
AI(人工知能)はすごいから、株価予測も完璧にこなすと思ってしまいますよね。まずディープラーニングがすごい理由は、その膨大なデータから機械学習し、その時点で最善と思われる結論を出すことです。
しかし、強味である膨大なデータは人間が入力したものを組み合わせて結論を出しているに過ぎません。つまり入力したもの以上の結論は出せないということです。
将来的にAI(人工知能)がデータを自力で収集できるようになると話は別ですが、現在のようにデータを人力で入力しなければ、精度の高い予測するには難しく、データ不足になりがちです。
ディープラーニングが株価予測の大きな変化に対応するには、実の所、人間の力が重要になっている現状が、2つ目の落とし穴と言えます。
第三の落とし穴は、そもそもディープラーニングは株価予測に向いてない
下記画像は2007年1月から2017年7月までの日経平均株価の売買シミュレーションですが、人工知能(AI)を使って10年間株取引をしたらどうなるかという実験です。
縦軸が利益で、このグラフを見るとプラス収支よりも圧倒的にマイナス収支の方が多いが分かります。つまり儲からない。ディープラーニングによる株価予測で株取引を行っても損をしてしまうということなんです。
でも、研究が進み、もっと大きな統計データを使い、学習の精度がさらに増せばやはり株取引にディープラーニングを用いて儲けることは可能なんじゃないの?と思われる方も多いかもしれません。しかし、それでもディープラーニングで株価予測をすることは難しいんです。
そもそもディープラーニングが得意な分野とは、1,2,3,4ときたら次は5が来ると言った客観的状況から、明らかに正しいと思えるものを学習によって見つけることです。
その点、株価の変動は今の時点でプラスマイナス0だとして、次の瞬間にプラスになるか、マイナスになるかの判断が必要となり、ディープラーニングの得意な判断分野とは言えません。
例えば「ニュースでこんな出来事があったから、次の日には株価があがるだろう」といった予測を人間はすることができますよね。 もっと具体的に言うと、任天堂Switchが発売された後は、任天堂の株価が爆上げしましたが「Switchは面白いハードだから売れる」というのがわかる人間には、予想可能な出来事だったでしょう。しかし、人間の心情を交えた判断ができない人工知能(AI)には難しい予測なんです。
完全そうに思えるディープラーニングですが、人間の心情や世界情勢の変化など、突発的で数学的に予測できない部分が3つ目の落とし穴と言えます。
今回は、ディープラーニングの株価予測で気を付けるべき3つの落とし穴をお伝えしました。
- パッと見のグラフが、株価予測を成功しているように見えるが、同じような株価が続くだろうと予測だけという落とし穴
- 機械学習で自動で学習しているように見えるが、もとになるデータが人間の力が重要になっているという落とし穴
- 人間の心情や世界情勢の変化など、突発的で数学的に予測できないという落とし穴
つまり、まだまだディープラーニングは株価予測に向いていないと言えそうです。
実は人工知能(AI)やディープラーニングは万能ではなく、ディープラーニングは政治、経済など、人間の心情や感情などあいまいな部分を多く含んだ物事の予測には、不向きであるとわかりました。
こういったことの判断は、やはり人間に任せていくしかないかもしれません。しかし、政治経済などもビックデータという形にしてしまえば、統計学が使えるので人工知能(AI)にも活躍の場はあるかもしれませんし、人工知能(AI)は2045年には人間を超えるとも言われています。
現時点ではディープラーニングが不向きな分野も、いずれは改善されていくはずで、未来ではディープラーニングを用いた株価予測が当たり前!なんて未来が待ってるかもしれませんよね!
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