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AI(人工知能)×カウンセリングによる医療資格とプライバシー問題

AI(人工知能)×カウンセリングによる医療資格とプライバシー問題

営業職や保育士、介護士など「人と深く接する仕事」は、AI(人工知能)に奪われない仕事と言われています。しかし、じつはそんな「人と深く接する仕事」の1つである「心理カウンセラー」を行えるAI(人工知能)が、すでに登場しているのです。もしかしたら驚く方も多いですよね。

心理カウンセラーは、人が人である証拠とも言える「心」を癒やす職業です。人ではないAI(人工知能)とはもっとも遠いとも思えるそんなセンシティブな職業と言えるでしょう。そのような仕事を、AI(人工知能)に行わせることには、いくつかクリアしなければいけない問題があるのです。

今回は、ついに登場したAI(人工知能)によるカウンセリングについて、その問題点を医療資格やプライバシーなどと絡めながら、詳しく解説します。

AI(人工知能)がカウンセリングしてくれる

カウンセリングのイメージ

現在、AIカウンセリングは、感情認識するAI(人工知能)などの要素技術の段階から、アメリカのWoebotのように、会話を通してカウンセリングを行う段階へ進んでいます。つまり、AI(人工知能)が患者の悩みなどを聞いて、適切な回答ができるようになっているのです。

そんなAIカウンセリングに、魅力を感じる人は少なくないでしょう。相手は機械ですので、同じことをいくら繰り返して尋ねても答えてくれますし、恋人や家族にすら言えないような悩みも体裁を意識することなく打ち明けられるでしょう。また、夜中や早朝など、本当に話を聞いて欲しい瞬間に、いつでも声を掛けられるのは、人のカウンセラーにはとても難しい課題ですよね。

そのため、じつはAIカウンセリングの潜在的な需要はとても高いと考えられているのです。しかし、便利な技術には必ず落とし穴がありますので、確認していきましょう。

AIカウンセリングで打ち明けた話はデータベースに登録される

データのイメージ
現在のAI(人工知能)の多くは、ビッグデータを使った深層学習によってその能力を進化させています。つまり、AIカウンセリングであれば、カウンセラーと患者の会話とその結果、そのときの表情や声色などが登録された巨大なデータベースをもとに学習しています。そして、従来のAI(人工知能)と違って現代のAI(人工知能)は、運用に入ってからもその運用中の情報を蓄積して学習を重ね、より賢くなっていくのでしょう。

つまり、AIカウンセリングを受けるということは、その会話の内容などがすべてデータベースへ登録されるということになります。通常の会話と違って心理カウンセリング中の会話は、患者さんにとってとても繊細な内容で、誰にも漏らすことがないという信頼関係の下に会話されています。その内容が、じつは記録されているというのは、プライバシーの侵害ともとれるもので、気分の良いものではありませんよね。

しかし、安心してください。ビッグデータというのは、個々の情報を情報元と紐づけることはありませんし、紐づけるデータそのものが記録されません。そのうえ、ほとんどの場合は会話のすべてではなく、会話を構成する要素に分解された形でデータが残されるのです。そのため、会話の内容も「こんな雰囲気の話をした」程度しか記録されていません。そのため、AIカウンセリングをしたところで会話の内容が漏れてしまうことなどありません。むしろ、物理的に漏れることがあり得ないという点では、人のカウンセラーよりもプライバシーは守られていると言えるかもしれません。

AIカウンセリングに心理師の資格はとれるか

心理士のイメージ
今年になって、日本でもようやく臨床心理士の国家資格である「公認心理師」ができました。その国家試験の内容では、公認心理師には、厳しい倫理観が求められています。その内容は単純な守秘義務ではありません。患者が「どんな気持ちでその話をしているのか」というところまで考慮したもので、その会話の内容が守秘するに値しないようなものでも、患者が信用して話をしてくれたとして明かさないといった強い倫理観に基づいた責務が課せられているのです。

機会であるAI(人工知能)にそんなことができるのかを疑問視する声はゼロではありません。例えば、Aさんとの会話の内容を告げることで、Bさんが回復する見込みがあるとき、仮にBさんに話したことがAさんに知られることはなくとも、人の場合は別の方法を考えることが多いでしょう。それは、「倫理に背いて話してしまったという後悔」への恐れが影響していると言えますよね。

しかし、後悔を学習する機会がないAI(人工知能)は、治療できることを優先して話してしまう可能性があります。そのため、残念ながら今の段階ではAI(人工知能)が、臨床心理士の資格をとるのは難しいでしょう。同様の理由で、民間の資格である臨床心理士も簡単にはとれそうにありません。

つまり、AIカウンセリングは、あくまでも補助的な位置になるわけです。公認心理師や認証心理士の管理の下、初期診断のための基本情報の収集や、安定した状態を保つ薬代わりや心の病を予防するための道具として、AIカウンセリングが活躍する可能性が強いと推測されます。

 

さて、今回はAIカウンセリングの問題点、プライバシーや医療資格についてお話ししました。AIカウンセリングは、冒頭にお話ししたように、AI(人工知能)だからこそ話しやすく、いつでもどこでもカウンセリングを受けられる大きなメリットがあります。しかし、まだ生まれたばかりということもあって、プライバシーや倫理観的な問題が指摘され、普及の妨げとなるような情報も流れています。

しかし、ここで説明したように、プライバシーについても倫理観についても、AIカウンセリングの特徴をしっかりと理解して、役割を明確にすることで解消される問題です。AI(人工知能)は私たち人間よりも遥かに優秀になりつつありますが、万能ではありません。まだまだできないことはあるのです。その点を理解してすみ分けすれば、これほど心強い友人はいないでしょう。「ちょっとした悩みを気兼ねなく話せる友人がいつでもそばにいる」そんな安心感を誰もが持てる未来が、もうすぐそこまで来ているのです。

参照元 AIの普及が生み出す新たな課題はプライバシー--MS責任者 -
公認心理師
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