昨今、ネットや新聞、テレビなどでAI(人工知能)という言葉に触れる機会が急激に増えていますよね。実際に、大企業やスタートアップなどにより、AI(人工知能)をビジネスに活用する例が次々と誕生しています。そのAI(人工知能)導入において特に注目されている分野に、「検品」があります。
AI(人工知能)の検品が高く評価をされているのは、精度の高い画像認識システムが使われているからです。AI(人工知能)のディープラーニング(深層学習)による画像認識システムを利用すると、画像や動画内からある決まった特徴を持つモノだけを検出できます。
つまりAI(人工知能)の検品は、工場の生産ラインで異物が混入したり不良品があれば、的確に見つけて取り除く、という使い方ができます。この記事を読めば、AI(人工知能)の検品の現状が理解できるので、検品作業の効率化に役立つに違いありません。
そこで今回は、AI(人工知能)の検品が導入される理由やメリット・デメリット、さらに、導入事例や上手く活用するポイントについてお伝えします。
AI(人工知能)による検品とは、どんな仕組みか
AI(人工知能)による検品は、ディープラーニング(深層学習)による精度の高い画像認識システムにより、特定の特徴を持つモノだけを検出する仕組みです。例えば、みかんの検品をみてみましょう。
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さらに、AI(人工知能)に、キズがあり商品化できないみかんや規格外のみかんの画像データを大量に学習させれば、その特徴を認識できるようになるため、検品に活用できます。その精度は熟練作業員と同等かそれを上回るのだとか。
熟練作業員は、みかんのヘタの大きさや色、皮の質感やきめの細やかさなどを経験則で見分けて、品質の良し悪しを判別します。AI(人工知能)は、人が教えずとも勝手に色やきめの様子などを特徴量として数値化して学びとり、独自のアルゴリズムで特徴づけて、自ら判別する能力を育て上げます。このAI(人工知能)の画像認識技術により、日々さまざまな工場で大量の検品作業が行われています。
なぜAI(人工知能)の検品が次々と導入されているのか
AI(人工知能)の検品が続々と導入されている理由は、その画像認識技術の精度が高いためです。従来のAIの画像認識は、ディープラーニング技術がなく、認識させたい対象物(犬や猫など)のなかで、さらに注目させたい特徴(目や耳)をあらかじめ人間が設定する必要がありました。ところが、その特徴量はあまりに多すぎて、人の手では限界がありました。また、従来の人が作り上げたアルゴリズムでは、判別できるレベルがマニュアル通りの域を出ず限定されている点も課題です。
しかし、新たに開発されたディープラーニングでは、自動抽出が可能になりました。人が手を貸さずとも大量のデータを学習して、未知の画像でもその正体を判別できるまでの精度を手に入れたのです。そしてディープラーニングによるAI(人工知能)の検品では、指数関数的に判別精度が上昇します。
よって、AI(人工知能)の検品により、ネジやボルトの細かな欠損やキズ、食品内の糸くずや髪の毛に到るまで、かつては見落としていた不良品の多くを検知することが可能になりました。また、なかには想定以上のリスクまで類推して、事前に提示する機能を持つものも存在するので、破損や怪我などのトラブルを未然に防ぐこともできます。
AI(人工知能)による検品を使うメリット・デメリット
AI(人工知能)による検品のメリットは、「生産性の向上」「品質の向上」「危険予測が可能」の3点、デメリットは、「導入コストが高い」「大量データの保管先の確保が大変」「過学習の修正が必要」の3点です。順に見ていきましょう。
メリット1:一人当たりの生産性の向上
今まで検品は人が行うことが多かったので、時間とコストがかかる点が課題でした。ところがAI(人工知能)で検品を行うと、それまで人の手で行っていた検品作業が、すべて自動化されるためスピードが上がります。さらに人件費を抑えられるので、コスト削減と一人当たりの生産性が向上します。
メリット2:品質の向上
AI(人工知能)を使った検品は、品質の向上が期待できます。目視で行う検品では見落としが多く、習熟度によって異常検出の精度も均一化できません。AI(人工知能)の検品なら人では気づけない細かな異常を検知できるため、品質の向上はもちろん、社外での評価向上もあるでしょう。
メリット3:危険予測が可能
AI(人工知能)は、学習機能に長けているため、実装以降も時間の経過とともに検品能力は向上し続けます。また、精度が上がるだけでなく、起こりうるリスクを検知して事前に警告する機能を持たせることも可能です。これはAI(人工知能)のディープラーニングならではの画期的なメリットですよね。
デメリット1:導入コストが高い
AI(人工知能)の検品は、専用の画像カメラや周辺機器、ソフトなど導入時にコストがかかります。場合によっては、工場内のレイアウトを変更する必要があり、什器の処分や入れ替えの予算確保も必要でしょう。
デメリット2:大量データの保管先の確保が大変
AI(人工知能)は、検品に限らずデータを大量に使用するため、その保管先の確保が必要です。社内のオンプレミスで処理するなら、サーバーの増設やストレージ更新のうえ大容量ディスクを追加する必要があります。他社のクラウドに預ける場合でも、そのコストや外部漏洩を警戒しなければなりません。
デメリット3:過学習の修正が必要
AI(人工知能)といえども決して万能ではなく、画像データを読み込んでも意図した検出ができるかは、稼働してみないと分かりません。とくに、過学習といって知っているデータでは対応できても未知のデータには対応できず極端に精度が下がることがあります。これが原因で品質や作業効率を下げてしまうので、入念な調整作業が必要です。
AI(人工知能)による検品を導入した事例
AI(人工知能)による検品を導入して成功した例を紹介しましょう。
車のバックミラー国内トップシェアを誇る株式会社村上開明堂は、鏡の表面をAI(人工知能)で検品しています。もとのシステムでは、60%という精度の低さで、人が最後に目視で検査し直す二度手間が問題でした。
ところがディープラーニング技術を導入すると、精度が97%にまで大幅アップ。さらに自信度まで判定する独自システムを設定して、自信度が低ければ人による目視検査に回す体制にすることで、精度が99%となり、作業員の負担は7割削減できました。
また、ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングでは、拡大を続ける商品需要に対応するべく倉庫での検品作業にかなりの人手を割く必要があり、人件費削減と作業の効率化が課題でした。そこでAI(人工知能)を導入すると、画像認識技術により検品の自動化やピッキングの最適化、さらに配送仕分けや荷物量に応じた配送箱容積の最適化などが可能となりました。これにより約100人の従業員を10人にまで省人化でき、大幅なコストカットと作業効率の向上が実現しました。
さらに、食品メーカーのキユーピーでは、離乳食の材料に1日100万個以上のポテトを使いますが、均一でないポテトの品質をチェックするのは機械では難しく、すべて目視で行っていました。よって検査員への負担軽減と作業時間短縮がかねてよりの課題でした。そこでAI(人工知能)による検品を導入したところ、検査速度は2倍に向上。目視による検査員の疲労をなくし、作業効率化が実現しました。
AI(人工知能)の検品をうまく活用するポイント
AI(人工知能)の検品システムは、自社のニーズに合った機能と精度にカスタマイズする必要があります。よって、それを可能にする適切なベンダーの選定と課題の絞り込みは必須です。そしてその課題解決のためにどの様なシステムを導入する必要があるのか、よく社内で議論をしたうえで話を進めましょう。
また、導入後も適宜、過学習の修正作業やメンテナンスが必要なため、AI(人工知能)に精通した人材の確保も忘れてはなりません。その担当者と業者を交えて、大量に発生するデータの保管法や設備の準備についても入念に詰める必要があります。
AI(人工知能)といえども、決して万能ではないので過信は禁物。慎重に一つずつ段階を踏み、間違いのない体制で実装できるように万全を期しましょう。
さて今回は、AI(人工知能)の検品が導入される理由やメリット・デメリット、さらに、導入事例や上手く活用するポイントについてお伝えしました。
AI(人工知能)の検品は、ディープラーニング(深層学習)による精度の高い画像認識システムにより、特定の特徴を持つモノだけを検出する仕組みです。人が物を覚えたり学習する際の脳内のニューロンの働きをベースにしたニューラルネットワーク。これを活かしたディープラーニング(深層学習)により、従来の機械学習と比べて検品の精度は飛躍的に向上しました。
目視では不可能な域まで検知する技術の高さは、多くの企業で評価され、続々と導入が進んでいます。ただ、AI(人工知能)による検品にもメリットとデメリットがあります。
メリットは、「生産性の向上」「品質の向上」「危険予測が可能」の3点、デメリットは、「導入コストが高い」「大量データの保管先の確保が大変」「過学習の修正が必要」の3点です。
株式会社村上開明堂やユニクロのように、AI(人工知能)による検品を導入して検査精度が格段に向上、従業員の負担や人件費も大幅に削減されたという目覚ましい成果を出している例もあります。ただし、導入の際には、その必要性を社内でよく議論し、ニーズに合った検品システムにカスタマイズする必要があります。また、AI(人工知能)に精通した人材の確保や大量に発生するデータの保管手段についても入念な準備が必要です。
AI(人工知能)の検品技術は目を見張るものがありますが、その開発領域は、これからもますます広がって行きます。どのような画期的なシステムが登場するのか、これからも目を離さないようにしましょう。
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