料理を画像認識で識別!AI(人工知能)チャレンジコンテストとは | AIZINE(エーアイジン)
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料理を画像認識で識別!AI(人工知能)チャレンジコンテストとは

料理を画像認識で識別!AI(人工知能)チャレンジコンテストとは

AI(人工知能)が画像を認識する精度や、精度を高めるアイデアを競うコンテストが行われていることを知らない方は多いですよね。

2017年に開催された「第1回AI(人工知能)チャレンジコンテスト」は、個人・団体を問わず学生や社会人を対象としたコンテストで、AI(人工知能)の技術の開発や画像などのビッグデータを活用する能力が競われました。

第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストは「料理の画像をどれだけ正確に検出・分類できるか」というテーマで行われ、日本最大の料理レシピサービスを展開するクックパッド株式会社から、10万点にものぼる料理画像が提供されました。1枚に多数の料理が載っているもの、料理の種類の分類が困難なものもあって、参加者の方々もかなり悪戦苦闘していたようです。

そこで今回は、第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストとはどのようなコンテストなのか、また第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストの結果や、参加者の反響などをお伝えしていきましょう。

AI(人工知能)チャレンジコンテストを主催する「人工知能技術戦略会議」とは?

人工知能技術戦略会議のイメージ

AI(人工知能)チャレンジコンテストを主催するのは内閣府と文部科学省、そして人工知能技術戦略会議という団体です。

AI(人工知能)の技術やビッグデータの活用、またそれに伴う産業構造・就業構造の変革は大きな課題となっています。その具体的な推進体制として、安倍総理の指示を受けて創設されたのが産学官、すなわち民間企業や学術研究組織、国や自治体などあらゆる分野のスペシャリストが結集した「人工知能技術戦略会議」です。

「人工知能技術戦略会議」はAI(人工知能)技術の研究開発を進めるとともに、AI(人工知能)の社会実装を推し進めることを目的としています。今回のAI(人工知能)チャレンジコンテストはその目的の一環であり、幅広い分野からAI(人工知能)を開発し、活用できる人材の発掘や育成を目指したものといえるでしょう。

第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストの概要

コンテストのイメージ

第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストの概要をお伝えしましょう。

テーマ:料理画像データから、料理の領域の検出と料理の種類の分類をする
部門:①料理領域検出部門②料理分類部門
データ:料理画像データ10万枚(①料理領域検出部門3万枚②料理分類部門7万枚および料理カテゴリの情報25種類)
課題:料理画像データを使用して、各部門における画像認識アルゴリズムを作成する
賞:各部門ごとに最高精度賞10名+アイデア賞5名

部門について詳しく説明すると、①料理領域検出部門はAI(人工知能)が料理画像から料理をきちんと検出できるのかを競います。料理画像には料理が写っている部分と、テーブルや背景など料理とは関係のないものが写っている部分がありますから、AI(人工知能)が料理の部分だけをきちんと検出できるのかが問われるわけです。さらに2種類、3種類の料理が写っている画像もありますから、これをきちんと別々の料理としてすべて検出できるかが順位に差がつくを分けるポイントになりそうですよね。

料理画像に写っている料理が何なのかをきちんと分類することができるのかを競うのが②料理分類部門です。料理分類部門の7万枚の料理画像にはパン、麺類、スープといった大まかなラベルがついているものもありますが、パンの中でもサンドイッチなのか、食パンなのか、菓子パンなのかといった細かい分類をしなければなりません。さらに大まかなラベルすらついていない画像もあるので、一筋縄ではいかなさそうです。

第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストでは、期間内に何度もAI(人工知能)による料理画像の検出や分類に挑戦し、最終的に各部門ごとに精度が高かった上位10名と、あわせて提出したAI(人工知能)の試みに関するレポートについてアイデアが面白いと認められた5名に賞金や賞品が授与されました。賞品にはNintendo3DSやNvidiaのグラフィックボード(ディスプレイに画像や映像を映すための部品)といったものも用意されていたようです。

第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストは、クックパッドが全面協力

クックバッド

クックパッドとは、さまざまな料理のレシピを検索したり、また自作の料理のレシピを投稿したりすることができるWebサイトです。これを運営するクックパッド株式会社が第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストに全面協力し、10万枚にもおよぶ料理画像のデータを提供しました。

また料理画像は6種類の大まかなラベルがついているものもありますが、料理分類部門ではさらに細かい分類をしなければなりません。

パン:サンドイッチ、スライスパン、菓子パン、テーブルブレッド(ロールパンなど)
麺:そうめん、うどん
パスタ・グラタン:クリームパスタ、グラタン、和風パスタ、オイル系パスタ、トマトパスタ
ごはん:炊き込みご飯、丼、カレー、チャーハン、リゾット、寿司
スープ:味噌汁、ポタージュスープ
スイーツ:チーズケーキ、クッキー、マフィン、パイ、パウンドケーキ、プリン

料理分類部門は上記の25種類のカテゴリに分類しなければなりません。パンや麺といった大まかなラベルがついている画像は比較的分類しやすいですが、ラベルが付いていない画像の方が圧倒的に多いのです。人間が見てもどう分類したらいいのかわからない画像もあったりして、AI(人工知能)チャレンジコンテスト参加者の悪戦苦闘ぶりが目に浮かんできそうですよね。

第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストの結果は?

結果のイメージ

第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストの開催結果は次の通りです。

総参加者数:631名
総提出件数:2732件(平成29年1月10日~3月31日・81日間)

参加者には個人的に興味があって参加したという方から、大学の研究室で日頃からAI(人工知能)について研究しているという方までさまざま。序盤から75%近い認識率のデータが提出されており、以降はこれをベースに各参加者が何度も試行を繰り返して、2732件という総提出件数となったようです。最終的には料理領域検出部門、料理分類部門とも80%を大きく超える認識率を獲得した参加者が上位に入っていました。

コンテスト終了後には上位入賞者の表彰式を兼ねた懇親会が開かれ、参加者のAI(人工知能)チャレンジコンテストについての感想もあがっていました。

  • 大量の画像データが入手できることや、他の方と公平にスコア比較できることが、勉強と研究のモチベーションにつながった
  • 画像認識はすでに手法がかなり確立されてきているが、ラベルなしの訓練データがあるのが工夫のしどころとして面白いと思った
  • 最初はpython(プログラミング言語)のコードもほとんどわからない素人だったが、コンテストを通して多くを学習でき、有意義な時間だった
  • こういった機械学習系のコンテストが日本でもっと盛んになればよいと思う。

今回のAI(人工知能)チャレンジコンテストは、画像データの認識率をスコアという形で明確、かつリアルタイムに公表しており、それを目標に多くの参加者が何度も研究を重ねて競うという形でした。参加者にとっても目指すものがわかりやすく、3か月という開催期間中、モチベーションを高いレベルで維持できたようです。

 

さて、第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストがどんなコンテストなのか、またコンテストの結果や参加者の反響についてお伝えしてきました。

  • AI(人工知能)チャレンジコンテストは、AI(人工知能)の普及と発展を目的に組織された「人工知能技術戦略会議」によって主催された
  • 第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストは、料理画像の領域検出や料理の分類の正確さを競うコンテストだった
  • 第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストはクックパッドの全面協力のもと、10万枚におよぶ料理画像データが提供された
  • 第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストは600名以上が参加し、スコアを競うという内容がわかりやすく好評だった

クックパッドの料理画像をAI(人工知能)に認識させ、料理領域の検出や料理の種類の分類の正確さを競った第1回AI(人工知能)チャレンジコンテストは、600名もの参加者とのべ2700件もの提出数があり、好評のうちに終了しました。

第2回AI(人工知能)チャレンジコンテストはまだ開催されていませんが、次回はどのようなテーマで行われるのか、とても気になりますよね。

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