いまや人工知能(AI)の発展が目まぐるしく、「もしやそろそろ人間以上に賢くなるんじゃないか・・・?」って危機感を持つ人もいますよね。これだけ賢くなっていて、いまや人工知能(AI)が仕事を奪うとも言われているので、「人工知能は人間を超えるかもしれない」なんて声も聞こえてくる今日このごろ。私もAIZINEの記事を読むたびに「人工知能(AI)はきっと私よりも賢くなるよな・・・」なんて考えてしまいます。
そんな中、東京大学准教授でディープラーニング研究の第一人者とも言われている松尾豊氏が出版した「人工知能は人間を超えるか〜ディープラーニングの先にあるもの」では、「人工知能(AI)が人間を超えている部分はあるけれども、人工知能(AI)が完全に人間を超えたり、人間を支配したりすることはない」としています。これを聞くとなんだか聞くと安心しますよね。
それでは、今回は「『人工知能は人間を超えるか』から見えてくる私達の未来」について、私が読みながらの感じたことも含めて考察してみました。
犯罪者がつかまりやすくなり、治安がよくなる!
誰でも自分の周りで事件が起こったら、怖いですよね。幸いにも私は犯罪にあったことはないのですが、たとえば家の近くにパトカーが停まっていたりすると、やはり「何があったんだろう?」と気になったり、「事件とかだったら怖いな、気をつけて歩かなきゃ・・・」ってドキドキしてしまいます。しかし、これからはそんなドキドキが減ってより安全になるかもしれません。
勘のいい人は、「人工知能(AI)はあらゆるデータから特徴をつかんであれこれ予測できるなら、そのデータを使って犯罪を防ぐこともできるのではないか?」なんて考えるかもしれませんよね。そうなんです、近年では「警察」がこれまでの犯罪者のデータを使って犯罪を予測する、といったことで人工知能(AI)を使うことが増えてきています。
※人工知能(AI)を警察で使っている事例はこちら
※人工知能(AI)が事件を起こす前に犯罪を防ぐ取り組みについて取り上げている記事はこちら
「人工知能は人間を超えるか」でも、もし人工知能(AI)が普及すると「治安がよくなるのではないか」と予想しています。
たとえば、防犯・監視にしても、まず人工知能(AI)によってカメラに映る個人を識別できる様になるかもしれない。(中略)まず企業がそれを導入し、学校も導入するといった形で、防犯カメラによる監視ネットワークができあがっていく可能性は十分ある。このような監視ネットワークと過去の犯罪履歴のデータベースがセットになれば、犯罪防止にもなるだろうし、犯罪がおきたときも犯人逮捕につながる情報がもたされる可能性が高まる可能性がある。治安も良くなるかもしれない。
つまり、ディープラーニングによる画像認識の技術によってそれぞれの人の顔を認識できるようになったことと、過去の犯罪履歴などのデータベースによって、犯罪者個人の特定が可能になりました。それにあわせて人工知能(AI)搭載の防犯カメラの導入が進んでいくことで、導入している企業・学校間でネットワークが取れるようになり、情報の共有することで犯人逮捕がスムーズになり、犯罪が減るだろうと予想されているのです。
ただ、この部分には「個人のプライバシーが侵害されているのではないか?」と心配する声も上がっていることは事実です。とは言うものの、この防犯カメラのネットワークが広まれば、全体的に治安が良くなっていくのではないかと考えられています。
現在以上に「倫理」を重視する必要がある!
最近では私達の周りでも、Pepperくんがショッピングセンター、ゲームセンターなどあらゆる場面で活躍していますよね。でも、もしPepperくんが悪口等々、話し始めてしまったらとても不快な気持ちになるでしょう。実際にこれまで、人工知能(AI)が喧嘩をして思いやりのある人なら言わないようなひどい発言を行うこともありました。(それを記事にしたのがこちら)
この対策について、「人工知能は人間を超えるか」では以下のように語っています。
まず、先ほどの「人工知能が人間を征服する心配をする必要がない」という話と同じで、「技術の現状」に対する認識を正しく持つ必要がある。機械と人間が入り混じるしゃかいになってきたのは紛れもない事実であり、その意味で、人間の知的処理の幅はより広がっており、人間の社会はそれに適応している。一方で、シンギュラリティで議論されているような、『真に自己を設計できる人工知能』の実現は遠く、現在のところ、その糸口さえもつかめていない。これが技術の現状である。
これをざっくり言うと、人工知能(AI)はまだ2〜3歳の子供のように、やってはいけないことの区別がついてない状態なのです。このため、今まで以上に人工知能(AI)にやっていいこと、悪いこと、つまり「倫理」を教える必要があると推測しています。実際に、人工知能学会倫理委員会も人工知能(AI)が暴走することがないか、常に最悪の未来に備えあれこれ議論しているのです。
また、このような倫理を学ぶのは「人工知能(AI)自身」だけでなく、「人工知能(AI)を開発する人」「人工知能(AI)を使う人」など社会全体で学ぶ必要がある、とされています。そうなると、人工知能は人間を超えるかどうかは、私達人間が人工知能(AI)にその判断を教えられるかどうかにかかっているかもしれません。
人工知能(AI)がよりクリエイティブになる!
よく人工知能(AI)に取って代わられない仕事の代表格に「クリエイティブな仕事」が挙げられますよね。実際に以下の記事でもその内容について取り上げています。
ところが、「人工知能は人間を超えるか」ではそんなクリエイティブの領域に人工知能(AI)が入ってくる可能性があることを指摘しているのです。とはいうものの、「そもそもクリエイティブ全然イメージが湧かない!」なんて方もいるかもしれません。「人工知能は人間を超えるか」では、「創造性については2種類に分けられなければならない」とした上で、以下の2種類のように分類しています。
1.個人の中で日常に起こっている創造性
→簡単に言うと、「気づきを得る」。概念の獲得、特徴量を獲得すること。ある複数のことを説明する際に1つの要因を掴むことができると、スッキリ説明できるようになること。(例:今より5分早く家を出れば、1本早い電車に乗ることができる)
2.社会的な創造性
→簡単に言うと、「新しいことを思いつく」。「社会の中に以前考えた人がいるかどうか」(前例があるかどうか)で、今までやったことがないことを考える(例:誰もやったことがない、新しいゲームを考える)
この2種類の創造性はひたすら試行錯誤によってどんどん学習するのですが、人工知能(AI)が発展することで、今までできなかったクリエイティブの領域でも可能になるということなのです。
また、松尾豊氏は「もしかすると音楽や絵画といった芸術の世界にも、このような試行錯誤による人工知能の進出が広がるかもしれない」としています。では、実際の「人工知能は人間を超えるか」での予想を見てみましょう。
「いい音楽」から特徴量を学習し、それを真似して、組み合わせて新しい音楽をつくる。その評価を得ては学習し、つくるといいうことを繰り返せばよい。映画やTV番組などのコンテンツ制作、ファッションや職などでもこの方法が主流になることが考えられる。
つまりこれも人工知能(AI)にたくさんの音楽を聴かせることで「ヒットしそうな音楽」の判別が出来るようになり、特徴を学んで実際に作曲する・・・を繰り返していき、ひたすらその歌手の持つ癖などもつかめるようになるかもしれない、ということです。
ちなみにこちらが人工知能(AI)が作曲した事例を紹介した記事が↓となります。
また、このような自動作曲が広まるとどんな未来が見えてくるのか、と言う予測も立てておりますので、興味が湧いてきた方はぜひこの記事を見てみましょう。
作曲にはこれまでいろんな音楽理論などの知識が必要だったのですが、人工知能(AI)がもし作曲をしてくれるようになったらこのような専門知識がなくても作曲できるようになるので、作曲できる人が増えるかもしれません。また、作曲だけでなく文書作成や絵を描くことも、人工知能(AI)を使うと今よりも簡単にできるようになるでしょう。
ということで、「人工知能は人間を超えるか」から読み解いた、私達の未来像について考察してみました。
- 防犯カメラのネットワークで、今よりも治安がよくなる
- 私達が人工知能に「倫理」「マナー」を教えていく
- 人工知能(AI)がクリエイティブになる
など、明るい未来が待っている(かもしれない)ことがわかりましたよね。人工知能は人間を超えるかもしれないですが、人工知能(AI)だけでなく人工知能(AI)を扱う私達にもいいところがあったり、人工知能(AI)の扱い方について改めて考えていく必要があるでしょう。(だからきっと私にもいいところがあるはず!と信じたい・・・)
人工知能(AI)がどんどん発展していくと同時に、私たちの生活の中に人工知能(AI)が浸透していっています。そのため、人工知能(AI)と人間のお互いの長所を生かしていければ私達も人工知能(AI)にとっても生きていきやすい社会が作れるかもしれないですよね!
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