2020年オリンピックに向けて変わるロボット×日本の未来 | AIZINE(エーアイジン)
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2020年オリンピックに向けて変わるロボット×日本の未来

2020年オリンピックに向けて変わるロボット×日本の未来

2020年に開催予定の東京オリンピック、世界からはロボット先進国である日本が一体どんな新技術を披露してくれるのか、大変注目されていますよね。東京オリンピックの大会組織委員会は大会ビジョンとして「史上最もイノベーティブ(革新的)で世界にポジティブな改革をもたらす大会とする」を掲げています。ロボット先進国である日本は、2020年オリンピックへのロボットによる施設内案内や交通移動サービスなどの提供により、人間とロボットとの共生社会を訴求できると期待されています。

そこで今回は、2020年オリンピックに向けて開発が進められているロボットのうち、特にAI(人工知能)に関連するロボットとして案内ロボット、ロボットタクシーおよび警備ロボットについてお伝えします。

案内ロボット

交通のイメージ

2020年オリンピックでは多言語翻訳機能を備えたロボットが会場の他、空港や駅などの交通機関や観光地に配備され、オリンピック開催期間中に海外から訪れる観光客に対し、さりげなくも行き届いた「おもてなし」を提供できると期待されています。

既に羽田空港において、案内ロボットに関する大規模な実証実験を2度実施済みで(2016年度17社参加、2017年度7社参加)、2017年11月からは都庁内における実証実験を実施中のようです(5社参加)。

今回は、都庁内実証実験に選定されている5つのロボットのうち、日立製作所のEMIEW3(エミュースリー)について説明します。

日立製作所:EMIEW3(エミュースリー)

  • 2足ながら、歩行ではなく車輪により人と同じ速さで動き回ることができます(ペッパー君との差別化ポイント)。
  • 「リモートブレイン」と呼ばれるクラウド上の音声/画像を処理する頭脳とのやり取りを基本としています。また、施設に設置された複数のネットワークカメラからの情報も活用して、自分がいる環境で何が起きているかを理解します。
  • 立ち止まっている人を認識すると自ら近づいて声をかけ、日本語以外の多言語対応による会話が可能です。また、他の複数のEMIEW3と情報共有することにより協同で対応することも可能です。
  • 音声としては小学校低学年の男の子の音源を合成し採用しています。大人の声では違和感あるため、アクセント等を敢えて幼稚にすることにより親近感を与えるようにしています。また、複数の人から同時に話し掛けられた場合には、それぞれの声を認識/判別のうえ、1人1人に個別に対応することができます。

いやー、オリンピック期間でなくてもEMIEW3君とは、ぜひ一度おしゃべりしてみたい気持ちになりますよね。

なお、EMIEW3君はオリンピック専用ではなく、様々な言語対応が求められる空港や駅での施設内案内のために開発された案内ロボットです。今後はEMIEW3君のような案内ロボットが各地の空港/駅で、海外からの観光客をもてなすシーンを見ることができそうですね。

ロボットタクシー

タクシーのイメージ

2015年11月、安倍首相は2020 年の東京オリンピックまでにロボットタクシーによる完全自動運転車の実用化を目指すことを発表しました。1964年の東京オリンピックでは新幹線で世界中を驚かせた日本が、2020年オリンピックでは無人ロボットタクシーで世界に日本の技術力をアピールできるかもしれません。

2020年のロボットタクシーの実現により各会場へのアクセスが容易になり、交通渋滞の解消も期待されていますが、ロボットタクシーは東京オリンピックだけでなく、今後過疎化/高齢化が進む地域の「足」として、地方自治体からも大きく期待されています。

地方自治体ではバス等の公共交通網の縮小が続いており、過疎化と高齢化が進む中で交通の利便性確保が深刻な問題となっています。この問題に対し、乗務員が不要なため運賃の大部分を占める人件費がかからないロボットタクシーは、安価な交通手段を地方自治体に提供できる救世主として期待されているのです。

なお、2020年のロボットタクシー実現にあたっては技術的課題の他に道路交通法(運転者の乗車が前提)等の規制の問題があります。規制の問題については国による対応が待たれるところですが、自動運転技術の開発スピードに比べて法整備が遅れているのが気になるところです。

警備ロボット

警備のイメージ
2018年4月、2020年の東京オリンピックに向けて警備業界首位のセコムと2位の綜合警備保障(ALSOK)が異例のタッグを組み話題となりました。

ライバル2社が手を組んだ背景には警備業界の深刻な問題である人手不足があります。オリンピック開催期間中は海外からの観光客の出入国増加に伴う治安の悪化や、テロ対策のさらなる強化といった課題もあり、実は2社がタッグを組んだだけでは人手不足問題は解決できていません。

そこで期待されているのが警備ロボットです。2020年オリンピックで求められている警備業務としては、入場者の手荷物検査、会場などの巡回警備および交通誘導がありますが、2020年オリンピックで警備ロボットが対応するのは巡回警備です。

警備ロボットは不審者特有の行動を学習したAI(人工知能)による不審者検出機能を持っています。さらに移動可能な警備ロボットには以下のようなメリットがあるようで、2020年オリンピックを契機に警備ロボットの普及が進むものと予想されております。

  • 固定の監視カメラや人間の目では、どうしても発生してしまう死角を補うことができる
  • 移動する警備ロボットの存在が見えるだけでも犯罪の抑止力になる

 

さて、今回は2020年に向けて開発が進められているロボットとして、案内ロボット、ロボットタクシーおよび警備ロボットについてお伝えしました。いずれも2020年オリンピック以降は、私達の生活にも大きなメリットをもたらしてくれそうですね。

  • 案内ロボットがさりげなくも行き届いた「おもてなし」を提供します
  • ロボットタクシーが各会場へのアクセスを容易にし交通渋滞を解消します
  • 警備ロボットが2020年東京オリンピックの安全を守ります

今回お伝えしたロボット以外にも、2020年オリンピックにおいて世界へのアピールが期待されているAI(人工知能)技術としては、体操審判、会場入場時の顔認証技術、会場近辺の混雑緩和システム、熱中症リスク予測システムおよび顔/全身画像による人物検索システムなどがあります。

2020年オリンピックは、まさに日本のAI(人工知能)技術の見本市で、日本の先進性を世界中にアピールできる絶好のチャンス!日本人選手の活躍と共に、日本のAI(人工知能)技術の活躍にも期待しましょう。

参照元 東京五輪:2020年の東京は人工知能の見本市「競技の判定への導入も」
東京都、オリンピックに向けロボットによる観光客案内を実証実験
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EMIEW3とロボットIT基盤
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